周辺環境と他生物を受け入れる建築
都内の緑豊かな公園の池のほとりに建つ〈鶴岡邸〉(設計:武田清明建築設計事務所)。
多様な植栽で覆われ、ヴォールト形状が連続して現れる建築物には、目を奪われる。
また室内や屋上でも、周囲の環境と一体化した特異な光景が広がっている。
1階にオフィス兼週末住居を構える武田清明氏に、この建築の特徴と設計で考えたことを解説いただき、動画でまとめた。
Movie & photographs: toha
〈鶴岡邸〉
所在地:東京都練馬区
用途:住宅・事務所
クライアント:個人
竣工:2021年
設計:株式会社武田清明建築設計事務所 https://www.kiyoakitakeda.com
担当:武田清明、作山美幸
構造設計:鈴木 啓(ASA)、長谷川理男(ASA元所員・oha代表)
施工:株式会社太平建設
家具:株式会社サインクラフト
照明:竹内俊雄
外構:ACID NATURE 乙庭
造園:上田 亮、新保博巨(越後苔匠)
設備:株式会社振東工業
電気:小松電気工事株式会社
防水:田島ルーフィング株式会社
型枠:有限会社五十嵐建設
建具:株式会社源元
石積み:大貫石材株式会社
工事種別:新築
構造:鉄骨造
規模:地上3階
敷地面積:258.27m²
建築面積:111.59m²
延床面積:206.72m²
Detail & Material
「外にある環境を巻き込み、人間以外の他生物を受け入れる建築を目指した」という武田氏。
各所にその考えを実現し、同時に暮らしやすくするための工夫が施されている。
武田清明建築設計事務所が設計した〈鶴岡邸〉のTECTUREページ
https://www.tecture.jp/projects/2432/posts
■ヴォールト形状のRCスラブと鉄板の壁面
ヴォールト形状のスラブは、水の流れを考慮した結果として生まれたもの。集まった水が、鉄板で覆われたコアの中を通り、地面へとつながる。
■約110種類の植物
敷地内や屋上には、多種多様な植物が植えられている。前面道路に面した部分の植栽は目隠しや日除けとなる。また、キッチン付近ではハーブや果樹など食べられる植物を配置。
■特注テーブルと飛騨産業の椅子
ラワン材の天板とスチールの脚を組み合わせた、オリジナルのテーブル。スチール脚には構造の鉄骨柱と同じ防錆塗装が施されている。「Prescelto チェア」など、飛騨産業のダイニングチェアはあえて1種類とせずに1脚ずつ異なるモデルに。
■スライドストッカー / ekrea Parts
キッチンのコンロ脇の下部には、幅の狭い3段の引き出し収納を組み込んだ。スパイスや調味料を入れて活用する。
■床:フローリング「Cオーク」 / アトムカンパニー
幅広で長尺のフローリング材で、表面に凹凸が現れた材料を選択。
■ステンレス オープンアイボルト / 水本機械製作所
コンクリートのPコン跡を利用してボルトを取り付け、さまざまなモノを吊る際に使用。
■照明:特注ペンダントライト
ライティングクルーに依頼し製作したオリジナルのペンダントライト。ソケット部はスチールのバイブレーション仕上げ。ランプは、設置する個所によってクリア / 半分ミラー / レフランプの3種類を使い分けている。
■照明:特注スタンドライト
武田氏が趣味的に収集している石材とスチール材を組み合わせて製作した、オリジナルのスタンドライト。1つとして同じものがない個性的な石を選ぶことができるライト「暮らしの石」は、〈鶴岡邸〉で定期的に開催される販売展示会で販売中。
暮らしの石 https://www.kurashinoishi.com