FEATURE
Iconic Chinese architectures
5 iconic Chinese architectures with various meanings
FEATURE2022.08.31

インパクトだけじゃない! アイコニックなクセつよ中国建築

氷、樹木、輪、宝箱、岩… さまざまな意味を持つ中国のアイコニックな5つの建築

中国の建築と言われて、とにかくインパクトのある、思わず二度見してしまうような建築をイメージする方は少なくないと思います。

しかし、これらの建築はただインパクトを重視したのではなく、開発地区の象徴や自然との対比など、さまざまな意味を持っています。

ここからはそれぞれのインパクトのある、アイコニックな建築がどのような意味を持っているのかに注目しながらプロジェクトを紹介します。

まるで氷のキューブ!? 〈ICE CUBES〉

ICE CUBES / Zone of Utopia+Mathieu Forest Architecte

Photograph: ArchExist

【ICE CUBES】
設計:ゾーンオブユートピア、マシューフォレストアーキテクト

〈平原新地区文化観光センター(通称:ICE CUBES)〉は、屋内スキー場の計画も進むウィンタースポーツに特化した中国の新しい観光地区の建築的なシンボルとして建てられた、氷のような建築です。

このプロジェクトは建築的なシンボルとなることで、地区を一体化させる強力な指標となることを目的としています。

氷が積み上がったようなシンプルでアイコニックな建築の実現のため、氷の結晶を表現した複層プリントガラスパネルやファサードに構造体を見せない工夫が盛り込まれた建築です。

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ICE CUBES / Zone of Utopia+Mathieu Forest Architecte

Photograph: ArchExist

ICE CUBES / Zone of Utopia+Mathieu Forest Architecte

Photograph: ArchExist

ICE CUBES / Zone of Utopia+Mathieu Forest Architecte

Photograph: ArchExist

ICE CUBES / Zone of Utopia+Mathieu Forest Architecte

Photograph: ArchExist

群生する樹木!? 〈メタセコイアの森のレストラン〉

〈メタセコイアの森のレストラン〉

© 2021 IN BETWEEN / GOA

【メタセコイアの森のレストラン】
設計:GOA(Group of Architects)

〈メタセコイアの森のレストラン〉は、中国・江南地域の伝統的な水辺に建つ村である善湾(シャンワン)村に建っています。中国政府が打ち出した、農業、文化、観光産業が中心となって農村の活性化を図る「呉江美国」プロジェクトの起点となる場所に位置する建築です。

広大な湿地帯に隣接する、水と空と村が織り成す壮大な風景の中に建つ〈メタセコイアの森のレストラン〉は、建築というよりも、自然の中に溶け込むランドスケープのような存在となっています。

平坦な地形の中で唯一スカイラインを描く存在であるため、周囲に植るメタセコイアのイメージを、幾何学的な建築言語である四角錐に抽象化し、建築のアイコンとして表現しています。

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〈メタセコイアの森のレストラン〉

© 2021 IN BETWEEN / GOA

〈メタセコイアの森のレストラン〉

© 2021 IN BETWEEN / GOA

〈メタセコイアの森のレストラン〉

© 2021 IN BETWEEN / GOA

うねるメビウスの帯!? 〈ループ・オブ・ウィズダム〉

〈ループ・オブ・ウィズダム〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

【ループ・オブ・ウィズダム】
設計:パワーハウス・カンパニー

〈ループ・オブ・ウィズダム〉は新たな開発地区における最初の建物として、未来のコミュニティの象徴的なランドマークとなり、未来の住人を惹きつける役割を担っている建築です。そのため、一際目を引きながらも身近な存在となるよう、屋上には回遊できる遊歩道を備えた真っ赤な流線形のリング形状となっています。どの角度から写真をとっても映えるため、〈ループ・オブ・ウィズダム〉はSNS上ですぐに成功を収めました。

最終的な開発として、〈ループ・オブ・ウィズダム〉の敷地の隣には学校の建設が予定されています。
学校が完成した際には〈ループ・オブ・ウィズダム〉は、図書館やオリンピックサイズのランニングトラックを備えたスポーツセンターとして、地域の中心的な役割を果たしながら、第二の人生を歩んでいきます。このように長寿命であることが、この建物における本質的なサステナビリティを実現しています。

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〈ループ・オブ・ウィズダム〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

〈ループ・オブ・ウィズダム〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

〈ループ・オブ・ウィズダム〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

砂に埋れた宝箱! 〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター〉

〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター(Service Center of the Galaxy Camp in the Zhongwei Desert)〉

©︎ Jin Weiqi

〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター(Service Center of the Galaxy Camp in the Zhongwei Desert)〉

©︎ Jin Weiqi

【ギャラクシーキャンプ・サービスセンター】
設計:3andwich Design

近年、中国・中衛市の沙坡頭(さはとう)観光地区の砂漠観光は盛り上がりを見せています。そんな中、新たに開発されたキャンプが〈ギャラクシーキャンプ〉です。この地の主要な建物として、ケータリングや総合受付などのキャンプを支えるサービスを提供するだけでなく、キャンプ全体のシンボルとしての役割も担っています。

中衛市は黄河と砂漠という特異な地理的条件と自然環境から多くの遺構が残されており、元朝の初代皇帝チンギス・ハーンは、沙都(現在の沙坡頭)を経て現在の中衛市を占領した、といった歴史ももっています。

その長い歴史から砂漠が秘めている物語のメタファーとして「砂に埋もれた宝箱」がコンセプトとなっています。また、二重屋根や外皮のパンチング加工によりエネルギー消費を抑えた、意匠性と環境配慮の両立した建築です。

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〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター(Service Center of the Galaxy Camp in the Zhongwei Desert)〉

©︎ Jin Weiqi

〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター(Service Center of the Galaxy Camp in the Zhongwei Desert)〉

©︎ Jin Weiqi

〈ギャラクシーキャンプ・サービスセンター(Service Center of the Galaxy Camp in the Zhongwei Desert)〉

©︎ Jin Weiqi

まさに岩…! 〈音の礼拝堂〉

〈音の礼拝堂(Chapel of Sound)〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

【音の礼拝堂】
設計:OPEN

万里の長城を有する渓谷のふもとに建つ〈音の礼拝堂〉は、自然そのものを集め、反映し、共鳴させた、最も純粋な音の体験を追求している半屋外の小ホールです。地元の岩を砕き、骨材として使用したコンクリートでできた荒々しい外観は、まるで太古の昔に谷底に落ちてきた奇岩のような、時代を超えた異質な存在感を放っています。

ホールの形状は、人間の耳の音響特性から着想を得て形づくられており、ソフトウェアによるシミュレーションを行い、ホールの形状を音質的に最適化してあります。構造体の上部と側面にある開口部は、好ましくない残響を回避するための吸音エリアとしても機能しています。

コンサートがない日には、鳥や虫のさえずり、そよ風や雨粒の音に静かに耳を傾けることができ、この不思議な空間の中で、自然は刻々と変化するシンフォニーを奏でます。

演奏だけでなく、地域の集会や瞑想の場としての個人利用も可能なこのコンサートホールは、音楽と自然の音に耳を傾けたい人にとっての神秘的な「音の礼拝堂」となる空間です。

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〈音の礼拝堂(Chapel of Sound)〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

〈音の礼拝堂(Chapel of Sound)〉

©︎ Zhu Runzi

〈音の礼拝堂(Chapel of Sound)〉

©︎ Jonathan Leijonhufvud

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