FEATURE
The future realized by TECTURE's
"Batch Sample Request Function"
Interview with Shuhei Yamane
FEATURE2023.11.22

TECTUREに「サンプル一括請求機能」が追加。その狙いとは

山根脩平代表インタビュー

建築業界向けの空間デザインプラットフォーム「TECTURE」は2023年7月に「サンプル一括請求機能」を新たに追加し、リリースしました。

空間デザインプラットフォーム「TECTURE」が新たに建材サンプル一括請求機能をリリース! TECTUREの会員IDひとつで複数メーカーの建材サンプルをまとめて手配できる!

この新機能は「TECTURE」に登録されている多くの建材情報から、メーカーを横断して建材のカットサンプルをまとめて一括請求できるようにしたもの。設計者にとって必須の作業であり、煩雑な手配となる「建材サンプルの請求」にかかっていた時間を一気に圧縮できます。
また、これまで複数社から個別で配送していたサンプルの輸送を集約することで、輸送時に発生する環境負荷の低減にも貢献します。

今回の新機能について、tecture株式会社の山根脩平代表に、その狙いと目指すところを語ってもらいました。

山根脩平 | Shuhei Yamane

1984年生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業後、隈研吾建築都市設計事務所入社。その後LINE株式会社にて空間ブランディングの組織を立上げ。2019年2月、tecture株式会社を設立し、8月より現職。2020年6月に建築・設計者向けの画像検索プラットフォーム「TECTURE」、業界情報に特化したメディア『TECTURE MAG』をリリース。
隈研吾事務所では住宅からホテル、歌舞伎座までさまざまなスケールの物件を担当し、海外の大型物件も多数マネジメント。その後LINEでの経験を通して、ソーシャルメディアの可能性、アクティブ・オープンな働き方が設計業界と大きく異なることを肌で感じ、tectureを起業するきっかけとなる。tecture設立後、「空間デザインのみらいをつくる」をミッションに掲げ、設計業界の未来を明るく、より面白くするプロダクト作成に日々没頭する。

INDEX

  • TECTUREのミッション「空間デザインの未来をつくる」
  • 日々更新される建材。「どうすれば検索しやすくなる?」
  • データベース化することで生まれる新たな出会い
  • 建材の検索からサンプル取り寄せまで「ワンストップで」
  • 環境負荷を大幅に削減。デザイン業務をサステナブルに
  • メーカー側にも大きなメリット
  • 『TECTURE MAG』読者へのリーチが可能
  • 事例を見たユーザーだから「サンプルの採用率が高い」

TECTUREのミッション「空間デザインの未来をつくる」

tecture株式会社では、「空間デザインの未来をつくる」をミッションに掲げています。空間デザインに関わる、建築家やインテリアデザイナーなど、設計者が抱える業務をサポートし、この業界全体の課題を解決していくことで、彼らのクリエイティビティをより高めていきたいと考えています。そのことによって、社会をもっと美しく、おもしろい建築物が出現し、ひいては世の中全体が豊かになっていくことを目指しています。

この新機能について触れる前に、まず空間デザインプラットフォームである「TECTURE」が目指すことについて、説明させてください。

建築業界では、設計者の業務時間の48%(TECTURE調べ)が、「最適な建材を探す」「カタログから建材を取り寄せる」といった作業に費やされていることが、業界全体の課題となっています。これは長時間労働を生み出す原因の1つにもなってきましたし、設計者たちのクリエイティビティを阻害する大きな問題だと考えています。この「検索する」という課題に対し、建物の事例や建材・家具の情報について横断的で網羅的なデータベースをつくり、情報を取り出しやすくすることで解決したいというのが、TECTUREの開発当時からのミッションです。

日々更新される建材。「どうすれば検索しやすくなる?」

建材のデータは、日々変わり続けています。次々と新たな商品が生まれる一方で、廃番になるなどして流通しなくなった商品、デザインが変更となった商品もあります。また、カラーバリエーションだけでなく、昔と比べて商品が持つ機能もどんどん増えています。こうした情報を紙ベースで更新したり発信したり、あるいは情報をキャッチアップするには無理があります。

だからこそ、それらの情報をオンラインでデータベース化し、どのように整理すれば「検索しやすくなるか」を考えてきました。私は、紙の建材カタログで何かを探すという作業は、なくしていくべきだと思っています。そのために、建材データに色や価格、スペック、機能を適切にラベリングしてオンラインデータベースにしたものがTECTUREです。

従来の紙のカタログではメーカーごとにしか目的の商品を探すことができませんが、TECTUREではECサイトのように「黒 タイル 1万円以下」のように検索をかけるだけで、登録されているメーカー商品についてメーカーを横断して検索できます。

データベース化することで生まれる新たな出会い

これによって、目的のものが探しやすくなることはもちろん、同時に「新しい出会い」や「気付き」をユーザーに与えられると考えています。「これまで使ったことのないメーカーだったけれども、こんな商品があるんだ!」といったセレンディピティをもたらすことができ、それは建築家やインテリアデザイナーのクリエイティビティにもつながるはずです。

一方で、TECTUREでは建物データのデータベース化も進めています。建築物のデータベースと、建材のデータベースを融合させることで、建物からでも建材からでも、どちらからでも必要なデータにアクセスできるようになります。例えば「この建材は、○○建築事務所が手掛けた◇◇プロジェクトに使われています」といったことが1回の検索でわかるようになりました。建材が使われている実例に瞬時にアクセスできるだけでなく、ある建築物や空間がどのようにデザインされ、その中にどのような建材が使われているのかも、直感的に認識できます。

このようにTECTUREは、設計者を新たな建材と「マッチング」させる、これまでにない出会いの場になっていると考えています。

建材の検索からサンプル取り寄せまで「ワンストップで」

今回新たにリリースした「建材サンプル一括請求機能」は、各メーカーの建材を横断的に検索できるだけでなく、サンプルを取り寄せるところまでワンストップで実現できるサービスです。

先述したように、設計者の業務の半分は「探す」という仕事が占めているのですが、その中には「サンプルを取り寄せる」という作業も含まれています。1つの建築プロジェクトでは、大規模な場合には200商品ほどの建材を使用します。床材、壁材、タイルやカーテンなど、カテゴリごとにそれぞれ10種類ほどの商品を比較検討したとすれば、2,000商品のサンプルを取り寄せる必要があります。

2,000もの商品を各社のサイトなどにアクセスしたり、問い合わせたりして取り寄せるだけでも、設計者には非常に大きな手間と時間、業務の負担がかかっていました。アンケートでは、多くの建築設計事務所でこうした「検索」や「サンプル取り寄せ」業務が負担だと考えていることがわかりました。それは建築物の法規チェック作業を凌ぐほどでした。

 

私自身も経験がありますが、複数社にサンプル請求をすると各社に送付先はもちろん、請求者の個人情報やプロジェクト情報なども伝えなければなりません。メールや電話が基本ですが、入力フォームを用意しているメーカーでも、感心するようなUI/UXとなっているところは稀ですし、入力フォーマット自体がバラバラなので、ホームページごとにIDとパスワードをつくるために同じ情報を何度も入力し、エラーが出て再入力……といったことは珍しくありません。非常にストレスがかかるだけでなく、10社のサイトでアカウントをつくると、それぞれのIDとパスワードを設定し記録する必要があります。

「サンプル請求機能」は、TECTUREに登録されている多くの建材情報から、メーカーを横断して建材のカットサンプルをまとめて、TECTUREのID1つで一括請求できるようにしたものです。設計者にとって必須の作業でありながら、非常に煩雑な業務となっていた床材や壁材、タイルやカーテンなどのカットサンプルの取り寄せ業務を、一気に効率化することができます。

感覚的にはAmazonなどのようなECサイトで比較検討し購入するようなフローで、数クリックで完結できます。誰もが使いやすいよう、UI/UXにもこだわってデザインしました。

環境負荷を大幅に削減。デザイン業務をサステナブルに

また、この新機能では、各社各メーカーのサンプルをまとめて請求することができるとともに——以下は私が重要と考えている部分なのですが——請求したサンプルは「まとめて」届きます。これからは、建築家自身も環境のことを真剣に考えなければいけない時代だと考えています。各社へバラバラに請求することで、それぞれのサンプルは別々にトラックで輸送され、1つひとつにたくさんの梱包材が使われ、その梱包材は届くたびに廃棄されます。

例えば5社のサンプルをTECTUREの「サンプル請求機能」で請求してもらえれば、それらはTECTUREの自社倉庫から1回の配送でまとめて届きます。単純計算で、配送にかかる環境負荷を5分の1にできるのです。

建築物自体の環境負荷を削減しようという取り組みが世界的に進む中で、建築家やデザイナーが設計を行う過程においても、環境負荷は抑えていくべきです。TECTUREの「建材サンプル一括請求機能」は間接的にですが、そうしたことにも貢献できると考えています。

倉庫での仕分けと梱包の様子

この機能の実現は我々としても大きな覚悟が必要なサービスですが、時間をかけてさまざまな仕組みづくりを検討し、今回ようやくリリースできたことで、環境問題という地球規模の課題解決に微力ながら貢献できるのではないかと考えています。

システムづくりにあたっては、提携している倉庫での管理システムも検討と吟味を重ねました。複数メーカーのサンプルを扱うことで出荷ミスが起こりやすくなるのではという懸念もあったのですが、最適な管理システムを構築しつつ、梱包も過剰にならないよう、Amazonと同じ自動梱包システムを導入しています。可能な限り自動化することで再配送につながるエラーをなくすとともに、適切な梱包で複数のサンプルを最適に配送できる仕組みを整えました。

従来であれば、メーカーによってはサンプル請求から配送まで1週間かかることも珍しくありませんでしたが、TECTUREでは午前中請求で当日発送が可能になっています。

メーカー側にも大きなメリット

建材サンプルを無料で提供するには、メーカーにとっては配送料を含め、多くのコストがかかっています。コロナ禍によってサンプルの配送数が増え、そのコストが経営課題になっているメーカーもあります。「サンプル請求機能」のシステムを構築するに際して、単に建築家やデザイナーにとって便利なサービスであるだけでなく、建材メーカー側にも十分なメリットがある仕組みづくりが重要だと考えていました。

メーカーの具体的なメリットとしては、TECTUREの「サンプル請求機能」にエントリーしてもらうことで、個別の配送コストを抑えられます。また、受注管理や在庫管理・出荷作業をすべてTECTUREが管理するため、従来それらにかかっていた作業時間や人件費をほぼゼロにすることができ、担当者は営業やマーケティングといった本来の業務に集中できます。メーカーはサンプルをTECTUREに預けるだけで、管理画面をチェックするほかは何もする必要がありません。

またメーカー側とはオンラインで管理画面を共有するので、メーカーの担当者はそのダッシュボードから注文者情報だけでなくプロジェクト情報や設計ステータス、プロジェクト名など、今後の営業支援となるリード情報を自動でデータ取得できる仕組みになっています。それらの情報は出荷情報とも連携していて、いずれもリアルタイムで閲覧することが可能です。

『TECTURE MAG』読者へのリーチが可能

加えて、サンプルの情報は、月間25万人のユーザーがアクセスする国内最大規模の空間デザインメディア『TECTURE MAG』の読者層に向けて発信することができます。先述したように、TECTUREでは建材のデータベースを構築し、さまざまな建築物データベースとマッチングさせてユーザーに提案していますが、それと同時に『TECTURE MAG』のキュレーションや編集によって、さまざまな切り口でそのサンプルを取り上げることができます。

建材メーカーの視点に立てば、TECTUREはヘビーユーザーがアクセスするプラットフォームですが、『TECTURE MAG』はより潜在的な「ライトユーザー」が集まる場所です。このライトユーザーの中には、将来の建築家、未来のデザイナー、あるいは新築やリフォームを検討しているような、近いうちに「施主」になる人たちも少なくありません。SNSの浸透によって、個人が建材の品番まで調べてメーカーに問い合わせ、さまざまな場所で活用する、発信するといった事例も増えています。

情報の流れが、旧来のような「設計者から施主へ」だけでなく、「施主から設計者へ」と逆流する状況も見られます。これはメーカー側にとってもビジネスをスケールアウトしていく上で見落としてはいけない部分だと思いますし、そうした変化の中で、ライトユーザーが数多くアクセスする『TECTURE MAG』は、建材や建築に関する情報発信の強力なプラットフォームになっています。

事例を見たユーザーだから「サンプルの採用率が高い」

建材や建築についての情報を広く発信する『TECTURE MAG』は、ユーザー側にとっては「知る」から「(建材などの商品を)使う」までをワンストップで体験できる場であり、それは、メーカー側にとって「顧客接点」の場でもあります。

従来、Webカタログで商品画像を見たユーザーは、実際にその商品を使う場所を想像し、その想像をさらに膨らませるために商品サンプルを取り寄せていました。しかしTECTUREのユーザーや『TECTURE MAG』の読者は、実際の事例を見た上で「このサンプルがほしい」と考え、具体的なイメージを固めた上でその確認のためにサンプルを取り寄せる人が多い。どちらのほうがサンプルの採用率が高いかを想像してみれば、おそらく後者であることは間違いありません。

今後、より多くのメーカーと扱うサンプル、商品の数を増やしていきたいと考えていますし、このサービスについて広く知ってもらいたいと考えています。ユーザーの方々には、まずは登録して使ってみていただき、ぜひ感想やご意見をお寄せいただければと思っています。

そしてtecture株式会社では、多くのポジションでメンバーを募集しています。
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