FEATURE
The world's beautiful airports by architects: 20 + α
FEATURE2024.08.17

旅の目的地のひとつ?!海外の空港20選+α

建築家が設計した美しい空間が、旅をもっと特別にする空港特集

旅行は目的地だけでなく、そこにたどり着くまでのプロセスもまた特別な体験です。特に、世界各地にある名建築家が手がけた美しい空港では、建築そのものが目的地に匹敵する魅力を放ちます。

本特集では、海外の空港20選と、海外の建築家が手がけた国内の空港を通じて、旅の新たな楽しみ方をご紹介します。

また、なかなか旅行に出かけられない方でも、この記事を通じて世界を巡る気分を味わっていただければ幸いです。

北アメリカ

【アメリカ合衆国】ニューヨーク × エーロ・サーリネン
〈ジョン・F・ケネディ国際空港 第5ターミナル(TWAホテル)〉

Photo by Meinzahn / iStock

翼を広げた鳥を思わせる〈ジョン・F・ケネディ国際空港 第5ターミナル〉は、サーリネンの代表作の1つです。1994年にニューヨークの歴史的建造物指定、2005年には国家歴史登録財に認定されました。2001年以降閉鎖されていたが、2019年、リノベーションを行い、新たに設計した客室棟を隣接する〈TWAホテル〉として蘇りました。

竣工:1962年

 

【アメリカ合衆国】コロラド × フェントレス・アーキテクツ
〈デンバー国際空港〉

Photo by Faina Gurevich / iStock

〈デンバー国際空港〉は、雄大なロッキー山脈から着想したデザインとなっており、山脈の息を呑むような景色を背景に建つ世界最大級の引張膜構造に覆われた建築が、すべての訪問者の記憶に残る印象を与えます。ターミナルに入ると、彫刻的な屋根の下には広大な空間が広がっており、自然光は半透明の材料を通してターミナル全体を照らしています。

竣工:1995年
フェントレス・アーキテクツ公式サイト:https://fentressarchitects.com/project/denver-international-airport/

ヨーロッパ

【スペイン】マドリード × リチャード・ロジャース
〈アドルフォ・スアレス・マドリード・バラハス空港 第4ターミナル〉

Photo by SvetlanaSF – stock.adobe.com

〈アドルフォ・スアレス・マドリード・バラハス空港 第4ターミナル〉枝のように伸びるカラフルな柱と、ターミナルに自然光を取り込む天窓がアクセントとなっている波型の屋根が特徴的な空港です。この連続性のある空間は、明確な出発・到着導線を生み出しつつ、将来的な空港の拡大に合わせて建物を段階的に拡張することができるようデザインされています。

竣工:2005年
RSHP公式サイト:https://rshp.com/projects/transport/terminal-4-barajas-airport/

 

【スペイン】ビルバオ × サンティアゴ・カラトラバ
〈ソンディカ空港(ビルバオ空港)〉

Photo by BrasilNut1 / iStock

1990年、国内線にのみ対応するよう建設された〈ソンディカ空港〉は、ビルバオの北で成長するバスク地方の交通ハブとして機能することができずにいたため、サンティアゴ・カラトラバによるターミナルが新たに設計されました。この複合施設の組織的・建築的中心は大きなガラス張りのホールであり、空気力学に基づいた屋根の鉄骨構造は、飛行場に向かって上方に広がり、管理エリア、レストラン、待合室にまたがっています。

竣工:2000年
サンティアゴ・カラトラバ公式サイト:https://calatrava.com/projects/sondica-airport-bilbao.html

 

【ドイツ】ミュンヘン × ヘルムート・ヤーン
〈ミュンヘン空港〉

Photo by chris-mueller / iStock

東京駅八重洲口の〈グランルーフ〉なども手がけた世界的に活躍する建築家ヘルムート・ヤーンが1999年に手がけた空港です。建設当時、空港が小さな都市のように多様なサービスを提供し始めていた中で、〈ミュンヘン空港〉は複合的な機能を建築的に明確に表現した最初の空港となっています。空港の中で、巨大なキャノピーが覆う中央の広場はこの複合施設に不可欠な核となる存在であり、小売店、ホテル、レストランといったサービス機能同士を接続しつつ、飛行機から鉄道や車へのスムーズな移行を促します。

竣工:1999年
Jahn/公式サイト:https://jahn.studio/work/munich-airport-center/

 

【フランス】リヨン × サンティアゴ・カラトラバ
〈リヨン空港駅〉

Photo by SanderStock / iStock

〈リヨン空港駅〉は、リヨン空港の交通の改善のために設計された、空港と直結した鉄道駅です。利用者の流れをスムーズにすると同時に、刺激的で象徴的な「地域の玄関口」となる、中央ホールの上部構造の飛び立つ鳥のようなドラマチックなフォルムが特徴的な建築となっています。

竣工:1994年
サンティアゴ・カラトラバ公式サイト:https://calatrava.com/projects/lyon-saint-exupery-airport-railway-station-colombier-saugnieu.html

 

【アゼルバイジャン】バクー × Autoban
〈ヘイダル・アリエフ国際空港〉

Photo by saiko3p / iStock

アゼルバイジャンの首都バクーにある〈ヘイダル・アリエフ国際空港〉の新ターミナルは、実験的でジャンルにとらわれないアプローチを得意とするスタジオAutobanによる内装建築と体験型デザインを特徴とした空間です。従来の空港の、空洞の多い空間や非人間的な体験といった常識を覆すデザインとなっており、ターミナルの乗客スペース全体に広がる印象的な木製の繭は、歓迎と発見の感覚や、出会いの機会や隠れ家のような空間を生み出し、カフェ、小売店、その他のアメニティを備えたさまざまな大きさの繭は、建築とアートが融合した風景をつくり出しています。

竣工:2014年
Autoban公式サイト:https://autoban.com/en/project/transport/heydar-aliyev-international-airport

 

【ノルウェー】オスロ × Nordic Office of Architecture
〈オスロ・ガーデモエン空港〉の拡張

Photo by uskarp / iStock

Nordic Office of Architectureが設計した〈オスロ・ガーデモエン空港〉拡張プロジェクトは、BREEAM優秀評価を達成したは世界で最初の空港建築です。長さ300mの発着場を追加することで、既存のターミナルのサイズを2倍まで拡張しています。また、さまざまなサステナブルなアプローチを採用した建築となっており、滑走路に積もった雪は、敷地内にて保管することで夏の間の冷房機能として活用し、建物全体に天然素材を使用、木部はすべて北欧の森林から調達した木材を採用しており、リサイクルスチールと、火山灰を混ぜた環境に優しいコンクリートを全体を通して使用しています。

竣工:2017年
Nordic Office of Architecture公式サイト:https://nordicarch.com/project/oslo-airport-expansion

 

【イギリス】エセックス × フォスター アンド パートナーズ
〈ロンドン・スタンステッド空港〉

Photo by claudiodivizia / iStock

フォスター アンド パートナーズが1991年に設計した〈ロンドン・スタンステッド空港〉は、すべてのサービスを地下に置くことで、当時の典型的な空港のレイアウトを一新しました。樹木のような柱に支えられた屋根の下、空港のメインコンコースは、広くてフレキシブルな、自然に照らされた空間となっています。

竣工:1991年
フォスター アンド パートナーズ公式サイト:https://www.fosterandpartners.com/projects/stansted-airport

 

アジア

【中国】北京 × フォスター アンド パートナーズ
〈北京首都国際空港 第3ターミナル〉

Photo by YuanGeng – stock.adobe.com

2008年の北京オリンピックのゲートウェイとして完成した〈北京首都国際空港 第3ターミナル〉は、設計から建設までわずか4年で完了したプロジェクトです。統一感のある空間を生み出す屋根には天窓が開けられており、利用者の方向感覚を助けつつ、建物の奥深くまで日光を取り込みます。早朝の太陽からの熱取得を最大化する南東向きの天窓や、エネルギー消費を最小限に抑える統合環境制御システムなど、さまざまなパッシブ環境設計コンセプトが取り入れられた、サステナブルな建築です。

竣工:2008年
フォスター アンド パートナーズ公式サイト:https://www.fosterandpartners.com/projects/beijing-capital-international-airport

 

【中国】北京 × ザハ・ハディド・アーキテクツ
〈北京大興国際空港〉

Photo by KILOVISION / iStock

北京市内の中心部から南に46kmの地点に位置する〈北京大興国際空港〉は、首都の既存の空港の混雑を緩和するために開発された空港です。より効率的な輸送・交通ハブとして設計されており、空港の中央から5方向に放射状に伸びる発着場が、ヒトデのようなユニークな外観を生み出しています。

竣工:2019年
ザハ・ハディド・アーキテクツ公式サイト:https://www.zaha-hadid.com/architecture/beijing-new-airport-terminal-building/

 

【中国】深圳 × マッシミリアーノ&ドリアナ・フクサス
〈深圳宝安国際空港 第3ターミナル〉

Photo by ZZ3701 / iStock

〈深圳宝安国際空港 第3ターミナル〉の象徴的な要素は、構造を包み込む内部と外部のダブルスキンによるハニカムモチーフであり、二重構造とすることで、内部空間に取り込んだ自然光による光の効果を生み出しています。外装は、部分的に開くことができる異なるサイズの金属とガラスのパネルで構成されています。

竣工:2013年
マッシミリアーノ&ドリアナ・フクサス公式サイト:https://fuksas.com/shenzen-airport/

 

【マレーシア】クアラルンプール × 黒川紀章
〈クアラルンプール国際空港〉

Photo by SuriyaDesatit / iStock

マレーシアの空の玄関口である〈クアラルンプール国際空港〉は、「森の中の空港、空港の中の森」というマレーシアならではのコンセプトのもと、設計されました。円錐形の柱が支える特徴的なHPシェルの屋根は、その稜線部分がトップライトとなっており、内部空間を自然光で満たしています。

竣工:1998年
黒川紀章建築都市設計事務所 公式サイト:https://www.kisho.co.jp/j_index.html

 

【タイ】バンコク × ヘルムート・ヤーン、ヴェルナー・ゾベック、マティアス・シューラー
〈スワンナプーム国際空港〉

Photo by tomgigabite / iStock

〈スワンナプーム国際空港〉はヘルムート・ヤーンと建築家兼構造エンジニアであるヴェルナー・ゾベック、建築設計に気候工学を導入した建築家マティアス・シューラーのコラボレーションにより、国際コンペに勝利し実現したプロジェクトです。熱帯気候であるタイに新しい玄関口を建設するという課題に対し、それぞれの専門分野を統合することで、建築とエンジニアリングへの新しいアプローチを生み出しました。到着ホールと出発ホールは全面ガラス張り、アーチ型のコンコースはガラスと半透明の膜を交互に組み合わせた構成となっており、到着した乗客にこの地域の緑豊かな美しさを伝えています。

竣工:2006年
Jahn/公式サイト:https://jahn.studio/work/suvarnabhumi-airport/

 

【シンガポール】チャンギ × サフディ・アーキテクツ
〈ジュエル・チャンギ空港〉

〈ジュエル・チャンギ空港(Jewel Changi Airport)〉

©︎ DarrenSoh

〈ジュエル・チャンギ空港〉は、5階の高さから流れ落ちる水や屋内庭園が特徴的な空港です。チャンギ空港の既存ターミナルをつなぐように計画されており、空港における交通の要所というメイン機能を維持しつつ、シンガポールの人々や海外からの旅行者のための集いの場へと拡張しています。また、庭園内にはマーケットやさまざまなアトラクションが組み込まれており、ショッピングやエンターテイメント、社会活動のための目的地という空港の新しいモデルを確立しています。

竣工:2019年
サフディ・アーキテクツ公式サイト:https://www.safdiearchitects.com/projects/jewel-changi-airport

空港の中に水が流れ落ちる森!?サフディ・アーキテクツが設計した 空港の既存ターミナルをつなぐ屋内庭園〈ジュエル・チャンギ空港〉シンガポール

 

【インド】ムンバイ × SOM
〈チャトラパティ・シヴァージー国際空港 第2ターミナル〉

〈チャトラパティ・シヴァージー国際空港第2ターミナル〉

© SOM

〈チャトラパティ・シヴァージー国際空港 第2ターミナル〉は、インドの金融とテクノロジーの中心地として成長するムンバイを象徴するとともに、地域の伝統建築にインスパイアされた建築です。ターミナルの建築には、柱や屋根に施された格子状の装飾から、コンコースに差し込む光を和らげる装飾窓まで、あらゆるスケールで地域の模様やテクスチャーが取り入れられています。また、隣接する既存空港を稼働させながらの建設という、複雑な課題にも対応し設計が行われたプロジェクトでもあります。

竣工:2014年
SOM公式サイト:https://www.som.com/projects/chhatrapati-shivaji-international-airport-terminal-2/

ムンバイの先進と伝統の側面を象徴する空港ビル、SOMが設計した、伝統的なモチーフを空間全体に散りばめた〈チャトラパティ・シヴァージー国際空港第2ターミナル〉インド

 

【ヨルダン】アンマン × フォスター アンド パートナーズ
〈クィーン・アリア国際空港〉

Photo by Markus Mainka – stock.adobe.com

世界で最も古くから人が住む都市の 1 つであるアンマンへの主要な玄関口として機能するように設計されたこの空港のデザインは、場所の感覚と地元の文化に共鳴しています。地元の建築技術と、夏の昼と夜の気温差が激しいアンマンの気候に応えるため、建物はすべてコンクリートでつくられており、その高い熱容量がパッシブな環境制御を提供します。モザイク状の屋根を構成する一連のコンクリート・ドームが建築の大きな特徴となっており、将来のシームレスな拡張を可能にするために各ドームはモジュール式ユニットとして構築された空港です。

竣工:2005年
フォスター アンド パートナーズ公式サイト:https://www.fosterandpartners.com/projects/queen-alia-international-airport

 

【フィリピン】マクタン島 × Integrated Design Associates
〈マクタン・セブ国際空港 第2ターミナル〉

Photo by Christiane Lois Dating / iStock

〈マクタン・セブ国際空港 第2ターミナル〉は、はフィリピンで2番目に大きな空港の交通需要に対応するため、計画された国際線用の新ターミナルです。将来の変化に対応するため、ターミナルは段階的に拡張することができるよう、モジュール設計により構成されています。また、木造の上部構造は、地元の職人によって構築することができるよう設計されています。

竣工:2018年
Integrated Design Associates公式サイト:http://www.ida-hk.com/project/mactan-cebu-international-airport-terminal-2/

日本

大阪 × レンゾ・ピアノ
〈関西国際空港旅客ターミナル〉

Photo by jikgoe / iStock

大阪湾の人工島に建てられた〈関西国際空港旅客ターミナル〉は、イタリアを代表する建築家レンゾ・ピアノが、当時Renzo Piano Building Workshop Japanの代表取締役であった岡部憲明とともに設計した建築です。

竣工:1994年
Renzo Piano Building Workshop公式サイト:https://www.rpbw.com/project/kansai-international-airport-terminal

世界各地には、ここでは紹介しきれていない美しい空港がまだまだあります。目的地の途中で旅を彩る空港に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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