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建築家・谷尻 誠が Kasthall(カスタール)のラグを選んだ理由

PRODUCT2021.10.19

Kasthallのラグは、家の中でもっとも長く過ごす場所に

1889年にスウェーデン西部の小さな町、Kinnaで創業したラグメーカー、Kasthall(カスタール)。同社は長きにわたり、最上級のウールとリネンを用い、注文を受けてから職人が1枚1枚仕立てるオーダーメイドのラグをつくり続けてきました。生産効率が優先される現代ではめずらしい、手間暇かけたものづくりを行うラグメーカーです。

建築家の谷尻 誠氏が2020年から暮らす自邸〈HOUSE T〉は、趣のある型枠コンクリートの構造や、“本物”だけを集めたインテリアが大きな話題を呼びました。谷尻氏は、この住まいでもっとも長い時間を過ごすリビングに、Kasthallのラグを選びました。

Kasthall(カスタール)

谷尻誠自邸〈HOUSE T〉のリビングに敷かれているKasthallのラグ(Photo by Satoshi Shigeta)

「Kasthallのラグは、サンプルを見てひと目で気に入ったのですが、正直、一番驚いたのが値段でした。結構するなぁ!って(笑)。でも、よく考えてみると、僕が家の中でもっとも長く過ごす場所はリビングで、しかも床の上に座ることが多い。一番長く座る場所には、いいものを使わなくちゃだめだろうなって思ったんです。それに、洋服や車と違い、このラグは一生ものになりえるから、いい買い物なんじゃないかって。」(谷尻 誠 談 / 以下のカッコ囲いは谷尻氏のコメント)

谷尻 誠氏

Kasthallのラグについて語る谷尻 誠氏(Photo by Satoshi Shigeta)

「ふつうプロダクトって、時代に合わせて変わっていくことが多いと思うんですが、Kasthallはそうじゃない。もちろん変わっているのでしょうけれど、Kasthallは変わらない部分がある、一本芯の通ったメーカーのように感じました。」

まさに、Kasthallのラグづくりは、“クラシック”と“モダン”がキーワード。130年以上にわたり、ブランドが培ってきたラグの技術と知識、デザインを再構築したり、新たな素材や糸で表現を変えたりすることで、今に受け継いでいます。どこか懐かしさがありながら、いつの時代も古さを感じさせない。それがKasthallの真骨頂です。


#Kasthall YouTube公式チャンネル「Kasthallの工場の1日」(2019/03/14)

「僕は、現代建築をずっと作り続けてきて、40代に入って少しずつ疑問を感じるようになりました。かろやかで、細くて、シャープなものを追い求め続ける現代建築は、本当に気持ちがいいのかなって。明るいより暗い、軽いより重い、薄いより分厚いという現代建築と真逆のものへ関心が向き始めて、モダンで新鮮さをもちながらも、無骨で、昔からあるような雰囲気のものをどんどん求めていくようになりました。Kasthallはそのイメージにぴったりでした。」

唯一無二のラグが生まれる秘密

Kasthallで作るラグは、ウーブンラグとハンドタフテッドラグの2種類に大別されます。谷尻氏が選んだ「OTHELLO」は、経糸と横糸を直角に交差させて織り上げていく平織りのウーブンラグ。実は、Kasthallを象徴するのがこのウーブンラグで、手間のかかる複雑なパターンや、1枚の中に複数の柄を組み合わせるなど、織りでさまざまな表現にチャレンジしています。

Kasthall(カスタール)

2020年に発表した「Poetry(ポエトリー)」は、Kasthallのロングセラー「Arkad (アルカッド・1989 年発表)」を再構築したウールとリネンのウーブンラグ(Photo by Kasthall)

Kasthall(カスタール)

ラグづくりの工程で出る残糸をアップサイクルしたウール100%のウーブンラグ「Harvest(ハーベスト)」(Photo by Kasthall)

Kasthall(カスタール)

2021年に発表した「Tiles(タイルズ)」は、スウェーデンのデザインユニット、Claesson Koivisto Runeがデザイン。基布にパイルを打ち込むハンドタフテッドラグ(Photo by Kasthall)

Kasthallがとりわけこだわっているのが、糸の開発です。スタンダードな糸に加え、表面に輪状の糸が出るよう加工された撚り糸のブークレ糸、毛羽のある飾り撚り糸のシェニール糸の3種類を用いています。なかでもブークレ糸とシェニール糸は、自社工場で一本一本撚り合わせています。これらの糸を使い分け、奥行きのある独創的な表情をつくり出しているのです。

また、これらの糸はすべてリネンとウールという天然素材のみを使用しているのも特徴です。谷尻氏が選んだ「OTHELLO」はウール100%のラグになります。

Kasthall(カスタール)

Photo by Satoshi Shigeta

「手触りがめちゃめちゃ気持ちいいです。テーブルの下になっている部分がもったいないと思うぐらい(笑)。ウールって温かいイメージがあるかもしれませんが、全くそんなことはなく、一年中さらっとしていて快適ですね。」(谷尻氏 談)

ウールは吸湿性と放湿性に優れる素材で、冬は温かく、夏は気化熱が発生するため涼しいという特性をもちます。Kasthallで使用するウールは、洋服の世界でも高級とされているニュージーランド産の羊毛のなかでも、太くて白い原毛のみを厳選。その理由は、耐久性が高いうえ、漂白が不要なほどに白く、きれいな色に染まるから。サステナビリティへの意識が高いKasthallにおいて、漂白のために化学薬品を使用しなくて済むという点は、素材を選ぶうえで重要な要素となっているのです。

Kasthall(カスタール)

Photo by Satoshi Shigeta

残念ながら、現代の日本の住まいにおいて、ラグは椅子やテーブルなどの家具に比べ、優先順位が低いのが実情です。谷尻氏はなぜラグを住まいに取り入れようと考えたのでしょうか。

「僕は、ラグはアートみたいなものじゃないかと思っています。なくても空間は成立するけど、あれば空間が豊かになる。6歳になる息子には、このラグの価値はまだわからないと思いますが、こうしたものがきっと美意識を醸成していくはず。“本物”を身の回りにおいて生活することが、「こうしなさい、ああしなさい」っていろいろと言葉で教えるよりも大事なんじゃないかなって思うんです。」

Kasthall(カスタール)

Photo by Satoshi Shigeta

「あらためて、Kasthallのラグは買ってよかったです。Leicaのカメラを買った時と同じ感覚です。買う時は、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで買ったら、『これは早く買っておくべきものだったな』って。」(2021年3月 谷尻氏自邸〈HOUSE T〉にて収録)

谷尻 誠(たにじり まこと)氏 プロフィール
建築家・起業家
SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 代表取締役

1974年広島生まれ。2000年建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE設立。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京の2カ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外合わせ多数のプロジェクトを手がけるかたわら、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授なども勤める。近年において「絶景不動産」「21世紀工務店」「tecture」「CAMP.TECTS」「社外取締役」「toha」「DAICHI」をはじめとする多分野で開業、事業と設計をブリッジさせて活動している。

主な著書に『谷尻誠の建築的思考法』(日経アーキテクチュア)、『CHANGE-未来を変える、これからの働き方-』(エクスナレッジ)、『1000%の建築~僕は勘違いしながら生きてきた』(エクスナレッジ)、『談談妄想』(ハースト婦人画報社)などがある。
SUPPOSE DESIGN OFFICE 作品集として『SUPPOSE DESIGN OFFICE -Building in a Social Context』(FRAME社)がある。

SUPPOSE DESIGN OFFICEウェブサイト
http://www.suppose.jp


Kasthall(カスタール)とは
1889年にスウェーデン西部の小さな町、Kinnaで創業したラグメーカー。
日本国内では、2021年9月に初めて、東京・立川にKasthallショールームがオープン。ラグの全サンプルはもちろん、2021年の新作コレクションを実際に見ることができる。カスタールのものづくりを間近に感じられるスペースとなっている。

Kasthall(カスタール)

Kasthall(カスタール)

Kasthall(カスタール)

Kasthall ショールーム
所在地:東京都立川市高松町3-8-4 ファーレTKT3F
営業時間:11:00〜18:00
休業日:土日祝、年末年始
TEL.042-512-7291
※予約制

※この記事の詳細は、2021年8月にリニューアルした、Kasthall日本語版オフィシャルサイトでご覧いただけます。

Kasthall 日本語版オフィシャルサイト
https://www.kasthall.jp


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