大日本印刷(DNP / 本社:東京都新宿区)が製造・販売する「内・外装向けフッ素焼付印刷アルミパネル アートテック®」は、アルミニウムに直接印刷し、特殊仕上げを施した焼付金属化粧板。
高い耐候性と、少量多種生産によるデザインカスタマイズ性が特徴で、さまざまな建築に採用されています。
このアートテック®を数多くの物件に使用している建築家・隈 研吾氏に〈高輪ゲートウェイ駅〉〈パークコート赤坂檜町ザ タワー〉での採用経緯について話を聞きました。
品川から世界に、新たな文化を発信する玄関口が誕生
2020年3月、山手線49年ぶりの新駅として、JR品川駅と田町駅の中間、車両基地跡地に〈高輪ゲートウェイ駅〉は誕生しました。JR東日本が「Global Gateway」をコンセプトに、2024年度のまちびらきを目指して周辺の開発が続いています。
隈氏がデザイン監修を手がけたこの新しい駅は、白い膜屋根と木材が目を引く、従来の駅舎にはないような温かい空間につくり上げられています。
そんな木がふんだんに使われた〈高輪ゲートウェイ駅〉ですが、実は本物の木材と見間違えるような木目調の印刷パネルが多く使われています。
本物の木材と調和する意匠のアルミパネル
〈高輪ゲートウェイ駅〉の壁面には日本の伝統的な技法である「大和張り」の技法が使われています。木の板を互い違いに張って凹凸をつけるこの技法は、ホームやコンコース、改札など、さまざまなエリアで使われ、日本らしい和のエッセンスが感じられる空間を演出しています。
改札外の空間にもこの大和張りの個所が存在しますが、大日本印刷のフッ素焼付印刷アルミパネル「アートテック®」が使われ、また、高輪ゲートウェイ駅の駅名が掲げられた駅舎外部にも、同製品が使用されています。
木の意匠を再現しつつ長寿命化をかなえる
駅の空間ほとんどに木材を使っているにも関わらず、なぜ外装などでは「アートテック®」を活用したのか。その理由を隈氏に聞きました。
「高輪ゲートウェイでは、本物の木を使っている部分とアートテック®を使った部分が混在しています。しかし実際はほとんど分からないんですね、見た人は。
駅というのは他の建築以上に耐候性が必要で、傷んだりすると取り替えるときに電車を止めなければならないかもしれない。
駅舎のような、ある意味、工業化の象徴そのものみたいな建築物でさえ、これからは木の質感というのが必要になってくると思うんですね。そういったすごくデリケートな建物では、アートテック®のもっている耐候性はすごく重要で、必要とされる性能です」(隈氏 談)
〈高輪ゲートウェイ駅〉では、本物のような木目をつくり出す意匠性と高い耐候性が評価され、アートテック®が採用されたようです。
印刷独自の質感表現により、アルミ×木目・リン酸の意匠を実現
隈氏は〈高輪ゲートウェイ駅〉の設計以前にも、アートテック®をさまざまな物件で採用しています。
「赤坂に1本のヒノキを立てる。」というコンセプトのもと設計された〈パークコート赤坂檜町ザ タワー〉(2018年竣工)。
幹にあたるファサードの居室まわりには、ヒノキを意識した木目のアートテックが多様な色彩で使われています。グレー・ブラウン・イエロー・オレンジなど、1つの柄に対して複数の色が使われており、印刷だからこそできる意匠表現が高層ビルの外観を彩っています。
屋上には植栽が設置されており、そのまわりには木の葉を意識したリン酸柄グリーンカラーのアートテック®を複数色採用。
このタワーマンションでアートテック®を採用した理由について、隈氏は次のように語ります。
採用の決め手はデザインカスタマイズによる豊富な色バリエーション
「高層マンションというのは、やはり高層ビルですから、やはり耐候性というのは非常に重要な要素になってきます。私たちは耐侯性がありながらも、木というものを味わえるようなタワーマンションに挑戦してみたくなり、アートテック®を採用しました。ここでの決め手は色のバリエーションですね」(隈氏 談)
「高層ビルというのは階も重なってくるし、同じ調子の材料を使うと、単調な感じになってしまいます。
そのような場合に、アートテック®だと色を微妙に違えて木の質感を表現することができるので、単調な表情にならない高層ビルができました。これが今回の〈パークコート赤坂檜町ザ タワー〉で私たちが達成できたことではないかなと思っています。
20世紀の高層ビルというのは、同じもの、同じユニットを繰り返すことでつくられてきました。これからの高層ビルはもっと多様性とか、表情豊かなものが必要とされるので、アートテック®のような幅の広い素材は活躍すると思います」(隈氏 談)
樹種による木目の違いや色だけでなく、金属や石のテクスチュア、抽象柄といったさまざまな表現ができるアートテック®は、印刷技術によって可能となる「オーダーメイドの外装材」といえます。
加えて耐候性や耐久性、加工性、メンテナンス性を備え、周囲の他の素材と合わせても違和感なく使用できるとしたら、設計者のどんなリクエストにも応えてくれそうです。
(この記事は大日本印刷によるインタビューをもとに再編集したものです)
大日本印刷株式会社「アートテック®」
・天然木と合わせて使用しても違和感のない意匠レベル
・同柄でいろいろなカラーをつくることができるデザインカスタマイズ性
・完全外部でも使用可能な高い耐候性大日本印刷のアートテック®は物件によってその顔を変え、その物件のコンセプトや込められた想いを印刷の力で表現します。
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