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無印良品が"インフラゼロでも暮らせる家"の実証実験参加者を募集、2025年実用化へ向けて試泊時の意見を反映

[Report]館山 シラハマ校舎に設置されたプロトタイプのスペックとは?

PRODUCT2024.04.24

〈無印良品の家〉を展開するMUJI HOUSEが、自社で進めている「ゼロ・プロジェクト」で製作したインフラゼロでも暮らせる家[*1]、通称「インフラゼロハウス」において、プロトタイプに試泊する一般参加者を募集しています(2024年4月18日プレスリリース)。

開発中の「インフラゼロハウス」は、人が住まうために要する電気・ガス・給排水という設備基盤(インフラストラクチャー)を既存のライフラインに依存せず、モバイルユニットを移設・組み合わせることで、インフラ設備が整っていない場所でも人々が自由自在に暮らせることを目指したプロダクトです。

「ゼロ・プロジェクト」ローンチ時の発表内容

無印良品が「インフラゼロでも暮らせる家」の実証実験を開始、モノクロームとU3イノベーションズと連携して実用化を目指す

「インフラゼロハウス」のプロトタイプは、諸設備を1つのハコの中に集約した「ユーティリティ棟」と「リビング棟」の2つのユニットで構成され、それぞれが公道を走行できるトレーラーハウス用シャーシ(車台)の上に搭載され、千葉県南房総市白浜町にある多目的施設・シラハマ校舎[*2]の敷地内に並んで設置されています。

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

「インフラゼロハウス」プロトタイプ 外観 画像提供:MUJI HOUSE

「インフラゼロハウス」の2025年以降の実用化を目指すMUJI HOUSEでは、社員がプロトタイプで生活する実証実験を2023年11月より実施。さらに今回、広く一般からも実証実験への参加を募り、そこで得られるさまざまな意見・知見を製品の精度向上に反映していく計画です。

インフラゼロでも暮らせる家の試泊 実証実験 概要

試泊実施期間:以下の3つのタームを設定
1.第1ターム
試泊日:5月3日〜5月27日の週末
申込受付期間:4月18日〜4月24日
2.第2ターム
試泊日:7月12日〜8月5日の週末
申込受付期間:5月31日〜6月23日
3.第3ターム
試泊日:9月13日〜9月30日の週末
申込受付期間:8月19日〜9月1日
実施地:シラハマ校舎 敷地内
所在地:千葉県南房総市白浜町滝口5185-1(Google Map
※応募者多数の場合は主催者が選考して選定
試泊の条件:プロトタイプの住み心地や仕様・設備に関する課題・要望についてレポートを作成、提出すること
試泊日数:1泊~3泊程度
応募方法:特設サイトにて受付

特設サイト
https://www.muji.net/ie/infrazerohouse/form/

 


現地見学会レポート

『TECTURE MAG』では、募集開始の4月18日に現地にて行われたメディア内覧会を取材、プロトタイプの仕様を確認しました。

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

房総フラワーラインに接する複合施設・シラハマ校舎(やや高い土地にあるため、公道から敷地内は見えない) Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

画面中央:MUJI HOUSEが展開するインフラゼロハウス・プロトタイプ(周りの小型棟は〈無印良品の家〉[*1]) Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

左の黒いユニットがユーティリティ棟、右側がリビング棟(リビング棟のウッドデッキと階段は、2つのユニットをそれぞれシャーシで搬入し、据え置かれた後で施工されたもの) Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

ユーティリティ棟の屋根と南側壁面は太陽光パネルを採用。壁・屋根一体型とすることで、太陽の位置が低い朝方でも十分に発電ができることが実証されている。2名の居住で最大約3日分の蓄電が可能で、蓄電容量はスマートフォンなどで確認できる(画像提供:MUJI HOUSE)

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

ユーティリティ棟 内観 / キッチン(画像提供:MUJI HOUSE)
生活雑排水を浄化・循環利用する独自システムを備え、シンクから流れた水は浄化後に再利用できる

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

IHクッキングヒーターを備えたキッチンでの調理イメージ。太陽光パネルで発電した電力により、電子レンジやケトルも使用できる(画像提供:MUJI HOUSE)

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

ユーティリティ棟 内観 / シャワーブース(画像提供:MUJI HOUSE)
2人暮らしで1日あたりに必要な水量約200リットル分のタンクと、電気ヒートポンプ式給湯器エコキュートを標準装備。水循環システムで浄化した水を太陽光発電の電力で温め、給湯する

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

リビング棟 バイオトイレ(画像提供:MUJI HOUSE)
水を使わず、微生物が分解処理を行う。電気制御により、分解性能と消臭性を高め、排泄物や生ごみ、トイレットペーパーも分解可能。2名が居住することを前提に、1日に約20回程度使用できる

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

リビング棟 内観(画像提供:MUJI HOUSE)
広さは約12.15m²(3.68坪)、奥には無印良品の脚付きマットレスを2台設置

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

軽量化もあって木造のユニットの断熱は、「無印良品の家」での基本方針を踏襲し、気密性を高め、外側を高性能断熱材(写真は旭化成 ネオマフォーム)で覆っている(画像提供:MUJI HOUSE)

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

ユーティリティ棟の南面(太陽光パネル施工部分)を除き、ユニットの外装は杉板仕上げ Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

Wi-Fiアンテナ(画像提供:MUJI HOUSE)

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

[*1]MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」は法律上は住宅ではなく車両扱い(車検を通っているシャーシにユニットを搭載したトレーラーハウスとして公道を走行することができる) Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

Photo: TEAM TECTURE MAG

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

リビング棟は北側に玄関ドアを設けているが、ウッドデッキ側からも出入りできるように設計されている Photo: TEAM TECTURE MAG

「インフラゼロハウス」が実現を目指す「4つのゼロ」

インフラ・ゼロ
エネルギーや水を自ら生成する仕組みをつくることで既存のインフラに頼らない家に
2. カーボン・ゼロ
太陽光発電や廃棄物発電などの再生可能エネルギーを活用することで、温室効果ガスの排出を実質ゼロに
3.リビングコスト・ゼロ
取得したエネルギーの効率的な利用、廃棄・排泄物の処理コストをかけないことにより、生活に必要なエネルギーコストを実質ゼロに
4.災害リスクゼロ
生活インフラの自給自足とどこにでも移動ができる機能を備えることで、自然災害のリスクを回避

 

MUJI HOUSEでは、”居住”地の選択の自由度が高い「インフラゼロハウス」を世に送り出すことで、さまざまな個人の要求に応えるとともに、人々がより柔軟に暮らせる多極点居住が身近なものであることを具体的に提案します。かつ、現代社会における人口減による空き家問題や地方で顕著なインフラの老朽化、さらには自然災害への対応も開発条件に入れており、同プロダクトの供給をもって社会全体に貢献したいとのこと。

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」プロトタイプ

「インフラゼロでも暮らせる家」ティザーサイト
https://www.muji.net/ie/infrazerohouse/

「ゼロ・プロジェクト」開発記
https://house.muji.com/life/clmn/zero

開発責任者による解説動画


#無印良品の家|MUJI HOUSE YouTube:【開発者インタビュー】電気や水のない場所でも暮らせる未来の家とは?インフラゼロハウス開発者に話を聞きました|無印良品の家(2024/04/18)


[*1]「インフラゼロハウス」という表記について:MUJI HOUSEが公開している解説動画でも述べられているが、「インフラゼロハウス」は法律上は住宅ではなく車両扱い(車検を通っているシャーシにユニットを搭載したトレーラーハウスとして公道を走行することができる)

[*2]シラハマ校舎:旧長尾小学校(2012年に廃校)の跡地利用計画を南房総市が募集し、合同会社WOULD(ウッド)と良品計画の共同提案が採用され、2016年に誕生した多目的施設(運営:WOULD)。オフィス、宿泊施設、レストランなどで構成され、旧校庭の一部の区画には2017年に良品計画が販売した〈無印良品の小屋〉が点在する(詳細は良品計画 2017年4月プレスリリースを参照)

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