時代をつくる商空間デザインの数々のプロジェクトから、その切り口と手法を読み解き、設計に役立つヒント集となるような書籍『商空間のデザイン手法 時代をつくる発想34』が学芸出版社より7月に刊行されます。これを記念したトークイベントが、東京と大阪にてそれぞれ開催されます。参加者を募集中です。
本書の著者は、デザインジャーナリストの山倉礼士氏。2003年に商店建築社に入社後、月刊『商店建築』の編集に携わり、2017年まで同誌の編集長を務めたあと、オーストラリア・メルボルンに拠点を構え、同国と日本のインテリアデザインを世界に発信するバイリンガルのオンラインマガジン『IDREIT(アイドレイト)』を2020年に創刊。世界がコロナ禍に見舞われた同年の春には、空間デザイン系の学生への支援を目的に、卒業設計・卒業制作作品をインターネット上で募集し、『IDREIT』の特設ページで公開する「GRADUATION PROJECT」を立ち上げ、以降も継続して毎春実施されています。
山倉礼士(やまくら れいじ)氏 プロフィール
INTERIOR DESIGN COMMUNICATION Pty Ltd代表。
建築を学んだ後、2003年より商店建築社で月刊『商店建築』の編集に携わる。2017年まで同誌の編集長を務めた後、オーストラリアのRMIT王立メルボルン工科大学大学院にて、Master of Communication Design修了。現在はオーストラリア・メルボルンを拠点に、日本やオーストラリアのインテリアデザインを世界に発信するバイリンガルのオンラインマガジン『IDREIT(アイドレイト)』(2020年創刊)を発行、編集長を務める。
IDREITの活動と並行し、デザインジャーナリストとして、『AXIS』、『Casa BRUTUS』、『I’m home』などメディアへの寄稿も多数。オンラインマガジン『IDREIT』
https://idreit.com/
本書では、日本の商空間デザインに注目し続ける著者が3つの分類で事例を厳選。設計者への聞き取り・図面・自身の体験から、具体的に解説(取り上げているプロジェクトは、本イベント概要の次に掲載する目次を参照)。インテリアデザイナー・飯島直樹氏との対談では、2000年前後から現代までのインテリアデザインの軌跡を辿る内容となっています(飯島氏は帯文にも寄稿)。
登壇者:山倉礼士(『IDREIT』編集長)、飯島直樹(飯島直樹デザイン室)、浅子佳英(建築家、編集者、PRINT & BUILD)
飯島直樹(いいじま なおき)氏 プロフィール
1949年埼玉県生まれ。1973年武蔵野美術大学卒業後、日本のインテリアデザイン変革期にデザイン経験を開始した。杉本貴志氏が率いるスーパーポテトで「バーラジオ」「無印良品青山」などに従事、1985年に飯島直樹デザイン室を設立。
これまでに空間デザインを手がけたプロジェクトとして、伊丹十三邸、THE WALL、内儀屋、資生堂5Sニューヨーク、東京糸井重里事務所、野村不動産オフィスビルPMO、工学院大学ラーニングコモンズ、STONESなどがある。
著書に『casuisutica Naoki Iijima Works1985-2010』(平凡社、2010年)、『Melting Function 溶ける機能―飯島直樹のデザイン手法』(かたちブックス、2024年)がある。2011年-2016年工学院大学建築学部教授。飯島直樹デザイン室ウェブサイト
http://www.iijima-design.com/浅子佳英(あさこ よしひで)氏 プロフィール
1972年神戸市生まれ。建築設計事務所、インテリアデザイン事務所を経て、2007年タカバンスタジオ設立。2009年に東 浩紀氏らとともにコンテクチュアズ設立、2012年退社。
これまでの主な作品に、Gray」(2015年)、八戸市新美術館(2021年 / 西澤徹夫、森 純平との共同設計)などがある。
yoshihide asaco X @asaco4
https://x.com/asaco4
日時:2024年7月7日(日)15:00-16:30(開場14:45)
会場:二子玉川 蔦屋家電 2階 EVENT SPACE(Google Map)
会場定員:50名 ※アーカイブ動画視聴券あり(視聴定員なし、後日の配信)
参加費(税込):以下の3種(Eventmanager+でのチケット購入要)
1.会場参加(書籍『商空間のデザイン手法』付き):3,800円(書籍代3,300円+参加券500円)
2.会場参加(書籍なし):1,650円
3.アーカイブ動画視聴券:1,000円
主催:二子玉川 蔦屋家電
協力:学芸出版社
問い合わせ先:二子玉川 蔦屋家電 BOOK(TEL.03-5491-8550)
注意:
・配信は当日のリアルタイム配信ではなく、後日のアーカイブ配信(動画は配信開始から2週間視聴可能)
・会場では当日、主催者が写真・映像撮影を行う(後日にホームページ、SNS、イベントの告知などに使用する場合あり)
トークイベント詳細
https://book.gakugei-pub.co.jp/event-bd8ebad20e/
登壇者:山倉礼士、間宮吉彦(インテリアデザイナー、infix)
間宮吉彦(まみや よしひこ)氏 プロフィール
1958年大阪生まれ。1989年株式会社インフィクス(infix)設立。全国で飲食、物販などの商業施設の空間デザインをはじめ、あらゆるジャンルのインテリアから建築まで空間をトータルに手がける。特定の様式や主義にとらわれることなく、時代の欲するムードを表現し、その中に潜む普遍性を追求する。
大阪芸術大学デザイン学科教授、沖縄県立芸術大学非常勤講師。infix design inc. ウェブサイト
http://www.infix-design.com/
日時:2024年7月11日(木)19:00-20:30
会場:MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 4階イベントスペース(Google Map)
参加費:以下の2種(要予約) ※後日のオンライン配信なし
1.会場参加(書籍付き):3,850円(書籍代3,300円+参加費)
2.会場参加のみ(書籍なし):1,100円
※チケット代金は当日、会場のMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(1階レジカウンター)にて支払い
※支払い時に「参加者氏名」と申込完了時に付与される「受付ID」が必要
トークイベント詳細
https://book.gakugei-pub.co.jp/event-mjumeda0711/
『商空間のデザイン手法 時代をつくる発想34』目次
1章 RESTAURANT, BAR & HOTEL レストラン、バー&ホテル
1. 日本固有の美を伝える
01 ハイアット リージェンシー 京都:和のエレメントを抽象化する——白い格子のスクリーンで包まれたロビー
02 ホテル クラスカ:伝統の手仕事を再構成する——真鍮鋳物の照明と漆塗りのカウンター
03 松虎:最小限の光で漆黒の闇をつくる——カウンターの手元灯
04 ザ・ペニンシュラ東京:素材と職人技を生かしきる——千本格子を背景とするシャンデリア2. 唯一無二のオブジェクト
05 堀江 ブルー:運河沿いというロケーションから発想する——造船技術を用いた船型バーカウンター
06 アシエンダ デル シエロ:大胆なアートで表すスピリット——2万個のクリスタルで描くパイソン柄
07 マンダリンバー、鮨 そら/マンダリン オリエンタル 東京:日本の素材を手掛かりにしたラグジュアリー——ミラー仕上げの縦格子越しに見せる土壁3. 居心地を起点にする
08 ハウス 西麻布:スタイリングとインテリアデザインの目線を揃える——エージングで醸し出す“ 前からそこにあった気配
09 コール:“人の手がつくるものへの愛着” を集積する——テキスタイルで仕上げたドーム天井
10 ビジュウ:日常の延長に生み出された究極にくつろげるしつらえ——カウンターテーブルと一体化したバスタブ
11 DDD HOTEL:削ぎ落とし、必要なものだけを整える—— “ 落ち着き” を与えるカラースキーム2章 FASHION & RETAIL ファッション&リテール
1. 既成概念を覆す
12 ループウィラー:正統性のシンボルを掲げる——店頭に据えた旧式の吊り編み機
13 代官山 蔦屋書店/代官山T-SITE:街の文化的インフラとして書店を進化させる——3棟を貫通するマガジンストリート
14 ドルチェ&ガッバーナ青山店:世界観を拡張するインテリアとライティングのコラボレーション——光と影のコントラスト
15 伊勢丹新宿店:歓声の上がる百貨店——強烈な個性を見せつける “ パーク”2. 日本らしさの解釈と空間への展開
16 リスン京都:規則性に即興性を組み合わせる——瓦の上に配したディスプレイテーブルと丸鋼
17 菓匠 花桔梗:インテリア、家具、建築を境界なく整えていく——和菓子から想起した白い箱
18 イソップ 京都店:現代における日本の美学から導いた京都らしさ——蚊帳越しに見せる漆喰の壁
19 オルソー ムーンスター:惜しみない手間による、身体で感じるテクスチャー——あられこぼしのフィッティング
20 小田垣商店 本店:江戸後期の様式に倣い、仕上げ材を選定する——町家石の床とアートとしての石庭3. コンセプトを具現化するエレメント
21 ナイキ ワンラブ:シューズが街を彩る——巨大なシリンダー形ショーケース
22 CA4LA 表参道店:老舗の品格を伝えるディテール——精緻な壁面ディスプレイ棚と支柱
23 デサントブラン 福岡:ストックを上下に動かし空間に変化を与える——電動ウィンチにより高さを変えるハンガー什器
24 イグアナアイ 青山本店:建築の中にもう一つの箱をつくる——アルゴリズムを用いたアルミ製ドーム
25 beautiful people pop-up store unseen archives during the pandemic:解体時から逆算して導かれた施工方法——LGS を用いたインテリアと椅子3章 CAFE,WORKPLACE & MIXED-USE カフェ、ワークプレイス&ミクストユース
1. 街との関係性を見つめる
26 ミュゼ 大阪:公園の緑豊かな環境と賑わいを取り込む——街の風景となった、白い外壁と2層吹き抜けの大開口
27 プリティシングス:現場でオーナーと共に考え、図面化していく——カウンター内から歩行者と会話のできる距離感
28 ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前:経年変化した建物の力強さを残しながら地域にひらく——チョコレートづくりの工程を見渡すカウンター
29 メルセデス・ベンツ コネクション:通りに対して興味を引く仕掛けを折り重ねる——街ゆく人を引き込むカフェエリア
30 スクワット:最小の手数で、空き家に価値をインストールする——インディペンデントな実験的スペース2. 多様で自由な居場所をつくる
31 電通デジタル 汐留PORT:空間の秩序をコントロールする——都市計画的に導かれた分散配置のレイアウト
32 武蔵野美術大学 ゼロスぺース:ユーザーの行動観察から導いていく——石ころをモチーフにしたベンチ
33 シシ オフィス・プレスルーム:ワンフロアを上下に分割する——大地に見立てた一枚の鉄板
34 社食堂:おかんのいる食堂をワークスペースに“ 混ぜる”——シームレスに場を繋ぐ全開放できる建具対談 飯島直樹さんと語る、現代インテリアデザインの軌跡|飯島直樹(飯島直樹デザイン室) 山倉礼士(IDREIT)
著者:山倉礼士
装丁:ym design / 見増勇介・関屋晶子
判型:A5判
総頁数:192頁(カラー86頁)
定価:本体3,000円+税
発行日(予定):2024年7月15日
ISBN:9784761533038
版元:学芸出版社
書籍詳細
https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761533038