“絶滅の危機に瀕する空間に新たな価値を与える変異計画”の公募「RED SPACE MUTATIONS #01」が5月11日より始まっています。
本プロジェクトにおいて、失われつつある”絶滅の危機に瀕する空間(RED SPACE)”とされているのは、電話ボックス、ガソリンスタンド、遊休化した施設など。これらの空間を次代の社会資源として捉え直そうという試みです。
企画・主催はロフトワークおよび建築コレクティブ・RED SPACE。応募案は、ロフトワークが運営する公募・共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」[*]を通じて公開されます。

公募・共創プラットフォーム「AWRD」概略図
*.AWRDとは:企業・自治体・クリエイター・研究者・生活者など、多様なプレイヤーが共通のテーマに参加するためのプラットフォーム。一般的なコンペティションのように応募者同士を競わせ、完成度の高い作品を選ぶだけでなく、テーマへの理解や共感を広げ、研究・事業・共創の新しい基盤をつくることを重視している https://awrd.com/
テーマは「絶滅の危機に瀕する空間に、変異をうながせ。」
20世紀以降、日本の急速な近代化を実現するため、日本各地には駅や郵便局、ガソリンスタンドや、電話ボックスなど、同一規格によって大量生産されたインフラとして整備された空間が数多く生まれました。それらは、かつて生活や移動、消費、地域の交流を支える身近な社会基盤でしたが、技術革新、人口減少、産業構造の変化、制度の更新、ライフスタイルの変容により、こうした空間の多くは役割を失い、縮小・撤去・空洞化が進んでいます。
「RED SPACE」は、これらを単なる「時代遅れの空間」や「負の遺産」として扱うのではなく、過去の社会が残した大規模な空間資源として捉えます。すでに全国に分布している空間インフラに、次の時代に適応する“変異”を与えることができれば、新たに建築をつくるよりも大きな社会的インパクトを生み出せる可能性があります。
例えば、電話ボックスは一つひとつは数平方メートルの小さな空間です。しかし、それらが全国に分布する空間化したシステムとして捉えられたとき、通信、情報、避難、ケア、まちの対話、地域サービスなど、まったく異なる機能を担う新しいインフラへと更新できるかもしれません。
今回の公募では、特定の建物をリノベーションするアイデアではなく、空間の仕様、制度、運営、所有、収益、体験、テクノロジーまでを含めて再設計する提案を募集します。(主催者プレスリリースより)

電話ボックス:携帯電話の普及などを背景に、約14%まで減少した通信インフラ

ガソリンスタンド:自動車社会を支えてきたが、電気自動車の普及や後継者不足などを背景に約46%まで減少
「RED SPACE MUTATIONS #01」は、建築や都市計画を専門とする人だけを対象にした公募ではありません。問いの対象となる空間は、誰もが日常の中で見てきた場所です。そのため、本公募では、建築設計の専門スキルだけでなく、生活者としての観察、事業アイデア、地域での経験、制度への違和感、テクノロジー活用の発想、偏愛や妄想も重要な出発点になると考えています。
応募にあたっては、生成AI、画像生成AI、3Dツール、リサーチツール、プロトタイピングツールなどを活用しながら、自分のアイデアを視覚化・構造化して提案することも歓迎します。専門的な図面や建築パースに限らず、事業構想、サービスモデル、制度提案、体験設計、リサーチ、アートプロジェクトなど、多様な形式での応募が可能です。
本プロジェクトにおける公募の目的は、優れたアイデアを募り、表彰することだけではありません。「RED SPACE」が目指しているのは、絶滅危惧空間をめぐる問題意識を共有する人々が集まり、継続的に議論し、実験し、社会実装を進めていくためのプラットフォームをつくること。
応募者は、公募終了後に立ち上がる「RED SPACE COLLECTIVE」へ招待される予定で、応募者と審査員に加え、有識者、自治体、事業者、空間の所有者、地域住民などがプラットフォームに接続し、提案の具体化に向けた議論やプロトタイピング、実証実験の可能性を探っていく計画であるとのこと。
上位作品に対し、実装に向けた次段階の支援プログラムへの参加も検討されており、例えば「RED SPACE」展示会での作品展示、提案の具体化に向けたエスキースワークショップ、絶滅危惧空間を持つ事業者・自治体への提案機会、審査員や有識者との少人数レビューなどが予定されています。
RED SPACE 共同発起人からのメッセージ
「私は建築をバックグラウンドにしていますが、建築物を建てることだけが、空間を考える方法ではないと感じてきました。電話ボックスやガソリンスタンド、地方鉄道のような空間は、建築業界ではあまり語られてこなかったかもしれません。しかし、私たちの暮らしは、むしろそうした身近な空間によって支えられてきました。
RED SPACEは、消えゆく空間を保存するだけでなく、次の時代に適応する“変異”を与えるための実験です。建築だけで解決できないなら、法律家、エンジニア、行政、事業者、アーティスト、地域の人々と一緒につくればいい。今回の公募では、建築の外側からの視点や、生活者としての違和感、偏愛、妄想から生まれる提案にも出会いたいです。」(ロフトワーク LAYOUT ディレクター / 竹中遼成)「RED SPACE」共同発起人:竹中遼成氏(左)、平栗 圭氏(右)
私は20世紀の終わりに生まれた世代として、空間の近代化が終わった社会を生きてきました。20世紀は規格化された公共建築や都市計画によって、多くの課題を解決してきました。しかし、潤沢な空間資源があるにも関わらず、社会をみると人口減少や社会不安、貧困問題など、課題は山積しています。21世紀を生きる私たちは、これまでの建築の規格や都市計画のルールを再解釈・再編集することで、建築・都市の視点から改めて社会と向き合うことができるかもしれません。
このアワードで、素晴らしいアイデアが1つでも生まれれば、それは同じ課題を抱えた全国各地へと波及し、社会のあり方を変える可能性を秘めています。私たちもこれまで提案者の1人としてRED SPACEに取り組んできました。ぜひみなさんと一緒に、新しい社会の実現を目指していきたいです。(ロフトワーク LAYOUT ディレクター / 平栗 圭)

「RED SPACE 」公式ウェブサイト 画面
募集テーマ:絶滅の危機に瀕する空間に、変異をうながせ。
募集期間:2026年5月11日(月)〜7月26日(日)
対象:建築・都市計画・事業開発・テクノロジー・法律・行政・アート・リサーチ・地域活動など、領域を問わず応募可能
応募資格:年齢・国籍・専門分野・所属は不問、個人またはグループでの応募可能
審査基準:4つの観点「視点の新しさ」「未来洞察の視点」「社会実装の実現性」「波及可能性」を重視し、”絶滅危惧空間”が変異し続ける時代の実現に貢献する提案・研究・論考・取り組みを、多様な視点から審査する
審査員:馬場正尊(オープン・エー代表取締役、建築家、東北芸術工科大学教授)、松島倫明(『WIRED』日本版編集長、コンデナスト・ジャパン)、林 千晶(Q0代表取締役社長)、石川由佳子(アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー、一般社団法人 for Cities共同代表理事ほか)、松井 創(ロフトワーク、Chief LAYOUT Officer)
主催:ロフトワーク、RED SPACE
※詳細は下記「RED SPACE MUTATIONS #01」募集ページを参照
「RED SPACE MUTATIONS #01」募集ページ
https://awrd.com/award/red-space-mutations-01
「RED SPACE」インスタグラム
https://www.instagram.com/redspace.list/