岡本太郎(1911-1996)の芸術人生を振り返る、過去最大級の回顧展が、大阪中之島美術館にて開催中です(10月2日まで。終了後は東京、次いで名古屋に巡回予定)。
1970年の日本万国博覧会(大阪万博)にて、丹下健三(1913-2005)が設計した《お祭り広場》の大屋根をつらぬいて鎮座した巨大な作品《太陽の塔》の作者として、とりわけ建築関係者には印象強い作家、岡本太郎。晩年は縄文土器を礼賛する言質や作品などでも知られていますが、芸術家としてのスタートは抽象画でした。1929年に単独で渡ったフランス・パリでは、当時の抽象表現に影響を受けながら、画家としてのアイデンティティとキャリアを確立していきます。
1940年に帰国して後は、自らの芸術理念の核となる「対極主義」を提唱し、制作のみならず、『今日の芸術』、『日本の伝統』などの著作で文化・芸術論を展開するなど、論客でもありました。
大阪・万博記念公園をはじめ、都内の青山や銀座ほかでみられる彫刻や壁画は、人々の生活と風景の中でパブリックアートとして生き続け、「芸術は大衆のものである」という彼の信念そのものを象徴しているかのよう。没後もなお、多くの人々を惹きつける、20世紀の日本を代表する偉大な芸術家の1人です。
本展は、岡本作品のほぼすべてを所蔵する、川崎市岡本太郎美術館と岡本太郎記念館が主催者として参画し、両館の全面協力のもと、代表作や重要な作品が勢揃い。さらに、国内外の美術館からも出品され、過去最大級の岡本太郎回顧展となっています。
展示構成
第1章 “岡本太郎”誕生 —パリ時代—
第2章 創造の孤独 —日本の文化を挑発する—
第3章 人間の根源 —呪力の魅惑—
第4章 大衆の中の芸術
第5章 ふたつの太陽 —《太陽の塔》と《明日の神話》—
第6章 黒い眼の深淵 —つき抜けた孤独—
米国・ニューヨークのグッゲンハイム美術館からは、岡本の初期の代表作《露店》が、収蔵から初めて”里帰り”し、40年ぶりに国内で披露されるほか、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品や、未完となった1995年の作品《雷人》も展示されます。
大阪とは縁の深い岡本太郎ですが、意外にも、当地および巡回予定の愛知県での回顧展開催は、今回が初。
会期中は、講演会などの関連イベントも各種開催されます(詳細は大阪中之島美術館ホームページを参照)。
会期:2022年7月23日(土)〜10月2日(日)
会場:大阪中之島美術館 4F展示室
所在地:大阪府大阪市北区中之島4-3-1(Google Map)
休館日:月曜(但し、9月19日を除く)
開催時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
観覧料:一般(65歳以上を含む)1800円、高大生1400円、小中学生は無料
※日時指定制を導入(入場は30分毎)、日時指定券の事前購入を推奨
※会場ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策を実施
※各種割引は大阪中之島美術館ホームページを参照
主催:大阪中之島美術館、公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団、川崎市岡本太郎美術館、NHK大阪放送局、NHKエンタープライズ近畿
協賛:NISSHA、三井住友海上
大阪中之島美術館公式ウェブサイト
https://nakka-art.jp/
「展覧会 岡本太郎」特設サイト
https://taro2022.jp/