建築家の伊礼智(伊礼智設計室代表取締役)と、国産材CLTを活用した建築の普及を掲げる住宅メーカーのライフデザイン・カバヤ(岡山県岡山市)が運営する日本CLT技術研究所が、CLT住宅のコラボレーション商品を3月1日に発売しています。
2018年4月に発足した日本CLT技術研究所は、CLT(Cross Laminated Timber / 直交集成板)の活用方法を技術提供するフランチャイズチェーン。ローンチしたCLT住宅は、加盟店を通じて販売されます。
国産材を用いて「耐震等級3をストレスなく設計したい」という両者の想いが開発のきっかけになったとのこと。現状で実際に現場で実現できるのはCLTであるとし、この考えを普及させるため、伊礼氏に設計を依頼し、フランチャイズネットワークで展開させます。
プランは2タイプで、ともに約32坪(本稿1枚目の画像はイメージ模型)。
日本CLT技術研究所が2020年8月より販売している、独自のCLT工法「LC-core構法」を用いたCLT戸建住宅商品〈LAMI〉でのスケルトン&インフィルをベースに、耐震壁以外の雑壁の部分では自由度を持たせ、住まい手のライフスタイルを反映できるようにしているとともに、伊礼建築の思想を盛り込んだ設計となっています。
伊礼氏は今回の設計のポイントについて次のように語っています(日本CLT技術研究所のYouTubeチャンネルにて、3月3日に公開(限定公開設定)されたインタビュー動画(【伊礼 智さんインタビュー】「伊礼 智さんの考える間取りについて|日本CLT技術研究所)を『TECTURE MAG』編集部にて要約)。
「プランは2種類。開口部をある程度は固定し、外まわりはいじらずに、内部でのバリエーションがいろいろできるようにしたかった。
僕はアイワークスという企画型の住宅を工務店45社と一緒に取り組んでいて、僕が設計したものをシステム化し、それを工務店が自由に操るということをやっているが、工務店と一緒に取り組むとなると、その方式がいいと思う。CLTはメリットだけではなく、梁の制約や、設備の穴開けがやりにくいといったデメリットもある。この商品では設備のルートもきちんと考えて確保した。約32坪の小さな家だが、階段室をコアに、南北で奥行き感がある住まいとなっている。
ロフトを腰屋根にしたのもポイントで、設備の空間としてもいいし、予備的なロフト空間にしてもいい。ロフトがあることで、下から上に空気が流れ、風が吹き抜ける。
小さい家だけれども、1階のここは天井の低いところ、吹き抜けて天井が高いところといろいろとつくった。立体的で楽しい家になるのではないかと考えている。」
伊礼智インタビュー動画URL
https://www.youtube.com/watch?v=L8l_oJa0zJc
伊礼 智(いれい さとし)氏 プロフィール
有限会社伊礼智設計室 代表取締役1959年沖縄県生まれ。
1982年琉球大学理工学部建築工学科計画研究室卒業。1985年東京藝術大学美術学部建築科大学院修了。丸山博男+エーアンドエーを経て、1996年に伊礼智設計室開設。
2016年より東京藝術大学美術学部建築科非常勤講師伊礼智設計室 ブログ
http://irei.exblog.jp/
日本CLT技術研究所「伊礼智×CLT」特設サイト
https://nc-labo.jp/lp01/irei/