BUSINESS

妹島和世氏が設計する"エネルギーの未来をつくる工場"

パワーエックスが日本最大級の蓄電池組立工場〈Power Base〉を岡山県玉野市に建設

BUSINESS2022.06.23

自然エネルギーの爆発的な普及を実現することを目指す新進企業、パワーエックス (PowerX, Inc./ 本社:東京都港区)は、岡山県玉野市内に日本最大級の蓄電池組立工場〈Power Base〉を建設することを発表(2022年6月23日プレスリリース)。建物の内外観のイメージパースを公開し、設計を建築家の妹島和世氏(妹島和世建築設計事務所代表)が担当することをあわせて発表しました。設計・建設パートナーは奥村組。

パワーエックス 生産拠点〈Power Base〉

〈Power Base〉イメージパース(設計:妹島和世建築設計事務所)

〈Power Base〉は、太陽光、風力といった自然エネルギーをもとにつくりだす電力の安定的な供給を実現させるために、パワーエックスが不可欠と考える蓄電池(バッテリー)製品を生産するための拠点です。蓄電池製品は、電気自動車(EV)へのシフト、電力の需給調整、再生可能エネルギー発電のさらなる普及など、次世代型エネルギーの社会への大量導入を前提とした場合に欠かせないものとなります。

敷地内には、生産ラインだけでなく、研究開発センター、オフィスなどのスペースも設けられる予定で、エンジニア、オペレーター、技術者など、数カ年計画では百数人の雇用創出があると見込んでいます。

パワーエックス 生産拠点〈Power Base〉建設予定地周辺

〈Power Base〉建設予定地周辺(岡山県玉野市)
「電気の原料を船で運ぶ時代から、電気そのものを運ぶ時代へ」(パワーエックス YouTube公式動画より / 代表 伊藤正裕氏のプレゼンテーションより引用)

電気を生む原料ではなく電気そのものを運ぶ時代を見越した建設

建設地がある岡山県玉野市は、瀬戸内海と緑の山々に囲まれた港町。工場周辺の港(宇野港など)の水深が深いため、大型船舶が着岸できる利点があるとのこと。
また、周辺地域は「瀬戸内国際芸術祭」の舞台であり、妹島氏および氏が建築家の西沢立衛氏と共同で率いるSANAA(サナア)が設計した施設もあることでも国内外に知られる、直島(香川県)や犬島(岡山県)などの諸島とのフェリーも市内の港から発着。広く、瀬戸内のアート周遊ルートとの相乗効果も期待できます。

〈Power Base〉プロジェクト概要

建設地:岡山県玉野市内
延べ面積:28,272m²
主要設備:蓄電池製品組み立てライン、研究開発センター、オフィスなど
生産規模:5GWh(ギガワット)/ 年間
設計・建設パートナー:妹島和世建築設計事務所、奥村組
稼働予定(2022年12月追記):2023年年末より試験稼働開始、2024年春より本格量産開始予定

Power Base特設サイト
http://plant.power-x.jp/

パワーエックス 生産拠点〈Power Base〉

〈Power Base〉イメージパース(設計:妹島和世建築設計事務所)

パワーエックスの発表によれば、〈Power Base〉の建設予定地は、本州と瀬戸内海の島々をつなぐ玄関口の1つ、宇野港からほど近く、運河に面しているとのこと。この立地の特徴を活かし、建物と周辺の自然のスケールにあわせた大きな屋根の形状が妹島氏によって導き出されました。

パワーエックス 生産拠点〈Power Base〉

〈Power Base〉イメージパース(設計:妹島和世建築設計事務所)

大屋根は緩やかなカーブを描きながら、既存建物など周辺のさまざまなものとも関係をもち、その下に点在する大小のオフィス、研究開発センター、会議室といった各所を緩やかにつなぎます。さらに、プレゼンテーションルームはやや床レベルを上げ、瀬戸内の美しい海と島々が望めるように設計されているとのこと。

パワーエックス 生産拠点〈Power Base〉

〈Power Base〉イメージパース(設計:妹島和世建築設計事務所)

設計者 / 妹島和世氏コメント
「このプロジェクトを始めるにあたり、パワーエックスの伊藤正裕社長から、これからの”新しい働くための場所”、働き方について考えたいというお話をお聞きして、とても感銘を受けました。それを一緒に考えていけるということは、私たちとしても非常に興味深く、大切なことだと思い、とても光栄に思いながら、取り組ませていただいております。」

工場としては、オートメーション化を通じて、資源効率性を優先させた持続可能な生産環境の構築を目指します。敷地内の既存建物も活かし、周辺の自然や生態系と調和するとともに、誰もが訪れたくなる、そして繋がることができる、「新しい働くための場」として建設されます。

〈Power Base〉の年間生産能力は、最大5ギガワット時(GWh)を予定。これは年間で約1万台分の蓄電池製品に相当する量とのこと。
計画では、テスト生産は2023年より開始。続く2024年春よりEV急速充電器、定置用蓄電池などの製品の出荷が開始される予定です。

パワーエックス(PowerX, Inc.)会社概要
代表者:代表取締役社長兼CEO 伊藤正裕
設立:2021年3月22日
本社所在地:東京都港区赤坂 9-7-1ミッドタウン・タワー 43F
事業内容:大型蓄電池の製造および販売、 電気運搬船の開発および製造
蓄電池の導入で経済的な利益が得られる定置用蓄電池や、EV急速充電器、船舶電池、家庭用蓄電池を開発、2024年春以降に年間出荷開始予定。シリーズAラウンド前半41.5億円の資金を調達(2022年5月23日発表)。調達資金の一部は〈Power Base〉建設資金に充てられる。


#パワーエックス YouTube公式チャンネル「株式会社パワーエックス (PowerX) 発足および事業発表記者会見」(2021/08/18)

パワーエックス
https://power-x.jp/ja/


続報
パワーエックスが玉野市と包括連携協定を締結
妹島和世氏が設計する蓄電池工場〈Power Base〉建設に関する地元説明会を実施
https://power-x.jp/ja/news/press/1751/

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