東京都江戸川区は、作家『魔女の宅急便』などの原作者として知られ、2018年国際アンデルセン賞など内外の賞も多数受賞している作家・角野栄子(かどのえいこ)氏の功績や、作品の世界観を伝える〈(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館〉(なぎさ公園・展望の丘)の基本設計内容および施設概要を発表しました(江戸川区 2020年10月27日プレスリリース)。設計を担当する隈研吾建築都市設計事務所による内外観のイメージビジュアルもあわせて公開されています(江戸川区ホームページ>計画・目標>(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館>基本設計 令和2年10月 公開資料より)。
角野氏は幼少期から20代前半にかけて江戸川区北小岩に居住。幼い頃に江戸川のほとりで遊んだ体験などが創作活動に生かされているといいます。江戸川区では、角野氏が2018年に国際アンデルセン賞に選出されたことなどを受け、角野氏の功績や作品の世界観、児童文学の素晴らしさを発信する児童文学館を江戸川に接した「なぎさ公園」に建設する計画を決定。2023年7月の開館に向けて計画が進められています。
同児童文学館の建設については、2019年9月に基本構想が発表され、同年10月から12月にかけて「(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館新築基本設計及び実施設計等委託プロポーザル」を実施、事業者として、隈研吾建築都市設計事務所(参加者)、造園を担当するクロス・ポイント(協力者)、館内の展示を担当する乃村工藝社(協力者)の3社がすでに発表されています。
江戸川区が公表した資料「基本設計 概要版」によれば、〈(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館〉(なぎさ公園・展望の丘)は、人と緑と活動をつなぐ、丘と一体化した建築とランドスケープとなっています。
なぎさ公園の豊かな緑を保全し、丘の一部として、建築・造園 展示が一体的につながる環境として「ものがたりの世界」を整備します。「ものがたりの世界」 は、室内で完結する閉じた箱ではなく、子どもたちが自らの意思で角野さんの世界に触れてみたくなる、周囲に開かれた能動的な環境となることを目指します。(同館 基本設計 概要版 より)
配置計画:角野さんの世界に登場する「おうち」のような小箱が集まった構成とし、子どもたちの身体スケールに馴染む空間をつくります。小箱の構成は、緩やかに起伏する丘とも馴染み、緑豊かな公園環境との調和を図ります。(同館 基本設計 概要版 より)
断面計画:周辺のスケール感に配慮し、 建物高さを可能な限り抑えるとともに、ボリュームの分節やセットバックを採用することで周辺に対する圧迫感を和らげる計画とします。(同館 基本設計 概要版 より)
角野さんのテーマカラーである「いちご色」を基本色としたカラーパレットを用い、角野さんの世界観を空間全体で体感できる内装デザインとします。(同館 基本設計 概要版 より)
児童文学館の前庭となる「ものがたりの丘」は、子どもたちが自らの意思で活動する場をコンセプトに、子どもたちの遊びの行動特性に沿った「楕円形状の遊環構造」となっています。丘には、可愛らしいフォルムの「まるまるの木」を特徴的に整備、その間に「ものがたりの丘」の緩斜面に沿ってロングベンチも整備されます。
児童文学館前には、パノラマシャトルの停留所も新設されます。ケヤキやイチョウの既存樹木を保全した場所には「けやきテラス」と「とこもれび広場」も整備。設置するベンチは、子どもから大人まで、さまざまな楽しみ方ができるようにデザインされるとのことです。(en)
建設地:東京都江戸川区南葛西七丁目3番1号(なぎさ公園 / Google Map)
構造種別:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
階数:地上3階(1階:読書・展示エリア、シアター / 2階:展示室、読書テラス / 3階:カフェ)
敷地面積:約63,028m²(19,065.97坪)
建築面積:1,190.80m²
延床面積:1,613.95m²
統括・建築設計:隈研吾建築都市設計事務所
造園設計:クロス・ポイント
展示設計:乃村工藝社
開館予定:2023年7月
詳細
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e081/kuseijoho/keikaku/bungakukan/index.html
(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館 公式インスタグラム https://www.instagram.com/edogawacity_kadonoeiko/
角野栄子公式ウェブサイト http://kiki-jiji.com/
隈研吾建築都市設計事務所 Website PROJECTS
https://kkaa.co.jp/project/edogawa-city-eiko-kadono-museum-of-childrens-literature/