CULTURE

毎日デザイン賞 2021発表

建築家の田根剛、染色家の柚木沙弥郎、今年は2氏を選出

CULTURE2022.03.12

この1年間にデザインの全分野において傑出した成果に贈られる「2021毎日デザイン賞」(毎日新聞社主催)が発表されました。

今年の受賞者は2氏で、建築家・田根 剛氏の「不可視の記憶をコモンセンスにするデザイン」と、染色家・柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)氏の「いつも新しくて嬉(うれ)しいカタチ」が選出されています(3月11日発表 / 毎日新聞社プレスリリース)。

「毎日デザイン賞」とは、グラフィックやインテリア、クラフト、ファッション、建築など、あらゆるデザイン活動で、年間を通じて優れた作品を制作、発表し、デザイン界に大きく寄与した個人、グループ、団体を顕彰する賞です。1955年に毎日産業デザイン賞として創設され、デザインの多様化を背景に、1976年に毎日デザイン賞に改称し、継続されています。

田根氏は、2020年にオープンした青森・弘前れんが倉庫美術館における改修設計や、次の帝国ホテルの設計者に決定していることなどが評価されました。
柚木沙弥郎氏は、昨年から今年にかけて、立川のPLAY!MUSEUMでの企画展示「柚木沙弥郎 life・LIFE」を開催するなど、99歳という高齢ながら精力的に活動している点などが選出理由となっています。
以下は、主催者が発表した今回の選出理由です。

田根氏はフランスのパリを拠点に活動する国際的な建築家だ。近代化やグローバル化によって埋もれてしまった歴史=「場所の記憶」を考古学的手法で徹底的に調べ上げ、未来へと継承する「Archaeology of the Future(未来への記憶)」をコンセプトにしている。

田根 剛氏 Tsuyoshi Tane

Photo: Yoshiaki Tsutsui

代表作の「エストニア国立博物館」は、敷地がかつて旧ソ連の軍用滑走路だったことを意図的に表現した。
近年の「弘前れんが倉庫美術館」では、築100年のれんが倉庫を美術館にリノベーションするにあたり、れんが建築が日本の近代化における先進的取り組みだった「場所の記憶」を継承しようと試みた。
また、昨年は4代目となる「帝国ホテル」の建築家にも選ばれた。2代目を担ったフランク・ロイド・ライトによる本館を形容した「東洋の宝石」を継承するとしており、その手腕に期待が集まる。

〈弘前れんが倉庫美術館〉鳥瞰

〈弘前れんが倉庫美術館〉鳥瞰 Photo: Daici Ano

柚木氏は1922年生まれで、現在99歳。今も毎日、精力的に創作活動を行っているスーパークリエーターだ。

柚木沙弥郎氏

撮影:木寺紀雄

終戦後、洋画家だった父の郷里、岡山県倉敷市で大原美術館に勤務したことから運命が変わった。民藝運動を牽引する柳宗悦らと親交を持つようになり、型染め作家の芹沢銈介(せりざわ・けいすけ)に師事し、染色家となった。
布だけに留まらず、版画、イラスト、本の装丁や人形の制作など幅広いジャンルに取り組み、国際的にも評価されてきた。デジタルや量産品にはない、染色による独特の模様と色彩の世界を時代は「新しい」と受け取った。
伝統に裏打ちされた確かな技術と自由な発想は、人々を魅了して止まない。大胆でユーモアをたたえた作品のファンは多く、展覧会はいつも盛況だ。

PLAY! Museum企画展示「柚木沙弥郎 life・LIFE」(2021年11月20日-2022年1月30日)会場風景(撮影:木寺紀雄)

受賞者コメント


#毎日新聞社 YouTubeチャンネル「2021毎日デザイン賞、建築家の田根剛氏と染色家の柚木沙弥郎氏に決まる」(2022/03/12)

「毎日デザイン賞2021」選考要項

作品対象年度:2020年11月から2021年10月末までの間に制作発表されたもの。
作品対象:インダストリアルデザイン、グラフィックデザイン、クラフトデザイン、パッケージデザイン、照明デザイン、インテリアデザイン、インスタレーションデザイン、ファッション・テキスタイルデザイン、建築・環境デザイン、電子メディアデザインなどのデザイン活動で、年間を通じて優秀で新鮮な業績をあげたものを選出する。
選考:調査委員から推薦を受けた候補作品を、選考会で映像・文献資料を参考にしながら賞を決定
表彰:毎日デザイン賞は原則として1件で、賞状・賞牌・賞金100万円を贈呈する
選考委員(五十音順、敬称略):大貫卓也(アートディレクター)、岸 和郎(建築家)、柴田文江(プロダクトデザイナー)、永井一史(アートディレクター)、保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター・館長)、
調査委員(五十音順、敬称略):筏 久美子(TOTOギャラリー・間代表)、石上純也(建築家)、井上嗣也(アートディレクター)、植木啓子(大阪中之島美術館学芸課長)、葛西 薫(アートディレクター)、川崎和男(デザインディレクター、大阪大学・名古屋市立大学名誉教授)、河原敏文(CGディレクター)、木田拓也(武蔵野美術大学教授)、小泉 誠(家具デザイナー)、近藤康夫(インテリアデザイナー)、佐藤可士和(クリエイティブディレクター)、佐藤 卓(グラフィックデザイナー)、鈴木康広(アーティスト)、須藤玲子(テキスタイルデザイナー)、高島直之(美術評論家)、土田貴宏(デザインジャーナリスト)、ナガオカケンメイ(デザイン活動家、D&DEPARTMENTディレクター)、中村至男 グラフィックデザイナー)、難波和彦(東京大学名誉教授、建築家)、新見 隆(武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授)、西尾洋一(カーサ ブルータス編集長)、西沢立衛(建築家)、橋本優子(宇都宮美術館専門学芸員)、服部一成(アートディレクター)、原 研哉(グラフィックデザイナー)、原 久子(アートプロデューサー、大阪電気通信大学教授)、廣村正彰(グラフィックデザイナー)、深澤直人(プロダクトデザイナー)、福永 信(小説家)、藤井 保(写真家)、藤本幸三(クリエイティブ・ダイレクター)、堀部安嗣(建築家)、三澤 遥(デザイナー)、皆川 明(デザイナー)、面出 薫(照明デザイナー)、森山明子(武蔵野美術大学デザイン情報学科教授)、矢島進二(公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事)、山口信博(グラフィックデザイナー)、横川正紀(WELCOMEグループ代表)

「毎日デザイン賞」詳細
https://macs.mainichi.co.jp/design/m/#menu2

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建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所
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