CULTURE

ヘルツォーク&ド・ムーロンによる 湖と溶け合うリゾートホテル

コモ湖に浮かぶプールを備えた〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

CULTURE2024.02.20
ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)により設計された〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ(Mandarin Oriental Lago di Como, Outdoor Pool & Spa)〉は、イタリア、ブレーヴィオ村のコモ湖畔に位置する歴史的な建物を活用したリゾートホテルの改修プロジェクトです。

地域を象徴する湖に浮かぶ特徴的なフローティング・プールは、インフィニティ・エッジによりプールと湖の水面が溶け合うような感覚を与えます。また、プールからデッキとスロープで連なる石造りの歴史あるアーチ状の空間を活かしたバー&ダイニング・エリアからは、湖越しに景色を眺めることができるよう設計された空間です。

(以下、Herzog & de Meuronから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

歴史的な環境で過ごすリゾートホテル

クライアントは18世紀に建てられたヴィラ・ロッカブルーナを含む敷地を取得した際、ヘルツォーク&ド・ムーロンにリゾートの将来的な発展のためのマスタープランを依頼した。この計画に基づき私たちは、屋外プールエリアの再設計と既存スパの改良を行うこととなった。イタリア、ブレーヴィオ村のコモ湖畔に位置するこのホテルは、公園のような庭園の中にあり、緑豊かな景観の中に分散して建っている。

その中心には、豊かなインテリアとパブリックスペースが特徴の歴史的なヴィラ・ロッカブルーナが位置する。このヴィラと柱廊式の擁壁、湖畔の遊歩道、周囲に広がる公園は、この地域の歴史を象徴するランドマークとなっている。そのためこのプロジェクトは、地域や国内の遺産保護団体と緊密に協力しながら進められてきた。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

地域を象徴する湖畔に浮かぶインフィニティ・プール

新たに設けたフローティング・プールは、湖から見ると水面に溶け込みつつ、歴史的なアーチ型の柱廊からの視野をできるだけ広く確保するよう設計された。地元産の暗い色味のカルドーソ砂岩で仕上げられた長さ40mのプールは、湖の色を忠実に模した外観となっている。

ヴィラ側には板張りのサンデッキがプールを囲み、湖に面したインフィニティ・エッジは、プールの水面がコモ湖の水面と溶け合っているような錯覚を起こさせる。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

歴史あるアーチ状の空間を活かしたバー&ダイニング・エリア

波の影響を軽減するため双胴船のようなフォルムに設計されたフローティング・プールは、周りから見えないように湖底に固定されており、スロープを介して柱廊に新設されたバーやダイニング・エリアとつながっている。

この空間を実現するため、ここにかつて設けられていたジムやその他の裏側のエリアを慎重に撤去し、歴史的なヴォールト天井を露わにした。昼から夜まで開放されたバー&ダイニング・エリアに設けられた木製の被覆とウッドデッキには、この地域の伝統である古典的な木造モーターボートと呼応している。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

既存を活かしつつ他の施設に調和させるスパ・レセプション

プールエリアはコンセプトを一新したが、ウェット&ドライスパとレセプションエリアは、まだ使用可能な既存の設備を維持しながら改良を加えた。主な焦点は、スパの3つのエリアすべてに自然光を導入し、周囲の景観との目に見えるつながりを複数設けたことである。

ドライ・スパでは、パブリック・スペースとトリートメント・ルームが新しい中庭を囲むように配置され、マンダリン・オリエンタルのアジアの伝統をさりげなく表現している。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ウェット・スパは、既存の擁壁を打ち抜いた幅4m以上のアーチ型の窓で開口し、アーチ型の柱廊を内部へと導くと同時に、湖へと続く眺望を提供している。また、既存のサウナとスチーム・ルーム、屋内プールを引き続き使用しつつ、カルドーゾ砂岩の床を補修し、磨き上げられている。

隣接する歴史的な石造りの柱廊のアーチからヒントを得た、漆喰で仕上げられたアーチ型の天井が設けられており、模様を描くように埋め込まれた丸いガラスタイルが湖面を反射し、光をより深く空間に取り込む。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

レセプション・エリアの既存の小さな窓は、細長い木枠のフルハイト窓を2層設けることで視覚的に拡張され、2層の間には植栽が施されることで、より外部とのつながりが感じられるようになっている。

レセプション・エリアでは、木枠のガラス棚や窓、特注の花柄のテキスタイル壁パネル、特注の大判カルドーソ石のテラゾ床など、上部に位置するヴィラの素材やモチーフが参照されている。

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

ヘルツォーク&ド・ムーロン〈マンダリン オリエンタル ラゴ ディ コモ, 屋外プール&スパ〉

© Robert Rieger

以下、Herzog & de Meuronのリリース(英文)です。

Mandarin Oriental Lago di Como Outdoor Pool & Spa
Blevio, Italy
Project 2021 – 2023

Upon acquiring the property of the Mandarin Oriental Lago di Como, an established client reached out to Herzog & de Meuron to create a master plan for the future development of the resort. Based on this work, we were brought on to redesign the outdoor pool area and improve the existing spa. Located in the village of Blevio directly on the shore of Lago di Como, the hotel sits in a parklike garden and is housed within a collection of buildings dispersed throughout the lush landscape. At its heart sits the historic Villa Roccabruna, distinguished by rich interiors and public spaces. The Villa, the colonnaded retaining wall, the lake promenade, and the surrounding parkland, constitute an emblematic landmark that is an important part of the area’s history. The project has therefore been developed in close collaboration with local and national heritage groups.

The new floating pool is designed to blend into the waters when viewed from the lake, and to reveal as much as possible from the historic vaulted colonnade. The 40-meter-long pool is finished in a dark local Cardoso sandstone, giving the pool an appearance that closely mimics the colors of the lake. A deep sundeck clad with wood planking borders the pool on the Villa side; a long infinity edge facing the lake creates a kind of optical illusion, with the pool surface visually melting with the surface of Lago di Como. The external glossy deep-green color of the prefabricated steel structure reflects the water surface in its endless movement. Hermetically closed and engineered with catamaran-like form to reduce wave impact, the floating pool is invisibly secured to the lakebed and connected via ramp to the newly established bar and dining area of the colonnade. To accomplish this, a former gym and other back of house areas were carefully removed, and the historic vaults opened and activated. The recessed vaulted wooden cladding and wood decking of the bar and dining area, open from day to night, bring in a natural and warm material that echoes the classic wooden motorboats of the region’s nautical traditions.

While the pool area has been fully re-conceptualized, the wet and dry spa and reception areas have been improved while maintaining existing features that have not yet exhausted their usable lifespan. A main focus is the introduction of natural daylight into all three areas of the spa, and the establishment of multiple visible connections with the surrounding landscape. A new courtyard with an oculus carved out of the ceiling above becomes the core of the dry spa; the wet spa is opened with a new arched window over 4 meters in width that is punched out of the existing retaining wall, offering both a continuation of the arched colonnade to the interior as well as a view straight out to the lake. Small, existing windows in the reception area are visually extended by introducing a second layer of full-height windows with slender wooden frames; plantings between the two layers bring a sense of closer connection to the exterior.

In the reception area, materials and motifs from the villa above are referenced in the wood-framed vitrines and windows, the custom designed floral patterned textile wall panels and bespoke large-format Cardoso stone terrazzo floor. In the dry spa, the public spaces and treatment rooms are organized around the new landscaped courtyard and are conceived as a subtle nod to the Asian heritage of the Mandarin Oriental. For the wet spa, the existing sauna and steam room are maintained along with the existing indoor pool. In this area, the Cardoso sandstone floor is patched and honed; a new vaulted ceiling informed by the arches of the adjacent historic stone colonnade is rendered in a dark stucco and patterned with round glass tiles, each reflecting the surface of the lake, bringing light deeper into the space.

「Mandarin Oriental Lago di Como, Outdoor Pool & Spa」Herzog & de Meuron 公式サイト

https://www.herzogdemeuron.com/projects/492-blevio/

 

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