COMPETITION & EVENT

企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

内藤廣設計の島根県芸術文化センター「グラントワ」内 島根県立石見美術館にて開催【読者プレゼント】

1910年代から30年代は、ヨーロッパを中心に、日本を含む各地でさまざまな「モダン」のかたちが現れた時代といえる。これまでジャンルに分かれて紹介されることが多かったモダンデザイン、装飾芸術、ファッションを一堂に集め、相互の関係性にもスポットをあてる企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」が、島根県立石見美術館にて開催される。会場は、内藤廣建築設計事務所が設計した、島根県芸術文化センター「グラントワ」内の島根県立石見美術館。

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

ブルーノ・パウル〈ダイニングチェア〉 1908年 織田コレクション / 北海道東川町

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

アトリエ・マルティーヌ/ロジーヌ〈香水瓶「本物のオー・デ・コロン」〉 1912年頃 海の見える杜美術館

1910年代から30年代にかけて、ヨーロッパを中心に世界中を席巻した、機能主義に基づく「モダニズム」は、いまだに当時の中心的な動向と見なされています。その一方で、大衆消費社会が進展したこの時代は、常に新しくあるために装飾することに価値が置かれた「モダニティ」の時代でもありました。
これまで、対立的に捉えられてきたこの2つの「モダン」は、実際には、いくつもの様態をうちに含み、グラデーションをなしており、複雑に関係しながら濃密な時代をつくり上げていたと、当時の資料などからみることができます。

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

グンタ・シュテルツル〈テキスタイルのデザイン〉 1927年 ミサワホーム株式会社 ©︎VG BILD—KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2022 E4633

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

フランシス・ジュールダン〈ランプ〉 1920-21年 ポール・エリュアール歴史美術館、サン・ドニ

今日のようなインターネットがないこの時代、当時の作家たちは、国やジャンルを超えて交流し、情報を共有して同期し合いました。その範囲は、絵画、彫刻から、家具、食器、洋服、さらにそれらを収める建築や都市など、私たちが活動する空間全体におよびます。

例えば、生活と芸術を一致させようと総合芸術の実践を掲げたウィーン工房は、フランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレと刺激し合い、室内装飾や建築を手がけたロベール・マレ=ステヴァンらフランスのモダニストたちにも大きな影響を与えました。
ウィーン工房の生活全般への眼差しは、日本で新たな生活様式を模索していた森谷延雄や斎藤佳三らにも共有されるものです。

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

ヨーゼフ・ホフマン〈センターピース・ボウル〉 1924年 ポール・アレクサンダー氏、藤田真理子氏蔵

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

マルセル・ブロイヤー〈クラブチェアB3(ヴァシリー)〉 1925年 豊田市美術館

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

アイリーン・グレイ〈トランサット・チェア〉1927年 織田コレクション / 北海道東川町

同時主義絵画で知られるソニア・ドローネーは、ファッションの仕事に専心し、建築、家具デザインを手がけたルネ・エルブストらモダニストは、都市を彩るショーウィンドウデザインに大きな関心を払いました。そして、1919年にドイツで開校したバウハウスでは、女性作家が織物に新たな光をあて、同校を離れた作家たちも、グルク・ギービッヒェンシュタイン美術工芸学校を舞台に、応用芸術教育に取り組むことになります。
また、フランスでは、ロベール・マレ=ステヴァンらが中心となり、1929年に現代芸術家協会UAMを結成。ドイツ・バウハウスが弱体化していくこの時期に、ル・コルビュジエやシャルロット・ぺリアンらによって、フランス独自のモダンデザインが展開されます。
1914年に勃発した人類史上初の世界大戦が象徴するように、この時代の最大の出来事は、世界が一気に同期したということでしょう。

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

フランシス・ジュールダン「スタジオ」『フランス室内装飾』1925年 豊田市美術館

本展は、豊田市美術館にて9月4日まで開催されていた企画展の巡回です。約400点の作品や資料をもとに、急速に変化する社会の中で、作家たちがときに交わり、ポリフォニー(polyphony)のように共鳴しながら探求した、いくつもの「モダン」のかたちを紹介します。
会期中は、担当学芸員によるギャラリートークなども開催されます。

「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」

マリア・リカルツ=シュトラウス〈壁紙デザイン「再会」〉 1924年以前 豊田市美術館

会場となる島根県立石見美術館は、内藤廣建築設計事務所が設計し、2005年に開館した島根県芸術文化センター「グラントワ」を構成する文化施設の1つです。

グラントワ内 島根県立石見美術館

島根県立石見美術館 外観(島根県芸術文化センター「グラントワ」内)

企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」
会期:2022年9月17日(土)~11月28日(月)※前後期で展示替えあり
前期:9月17日(土)〜10月24日(月)
後期:10月26日(水)〜11月28日(月)
会場:島根県立石見美術館 展示室C・D
所在地:島根県益田市有明町5番15号 島根県芸術文化センター「グラントワ」内(Google Map
開館時間:9:30-18:00(入場は17:30まで)
休館日:火曜
観覧料(企画展のみの料金):一般 1,200円、大学生 600円、小中高校生 300円

主催:島根県立石見美術館、しまね文化振興財団、中国新聞社、日本海テレビ
共催:中日新聞社
特別協力:東京国立近代美術館、東京藝術大学、ミサワホーム株式会社
協力:日本航空、ヤマト運輸株式会社
後援:芸術文化とふれあう協議会
助成:一般財団法人地域創造

島根県立石見美術館 ウェブサイト
https://www.grandtoit.jp/museum/

企画展特設サイト
https://www.grandtoit.jp/museum/functional_and_decorative_polyphony


【読者プレゼント】

『TECTURE MAG』への感想など、アンケートにお答えいただいた方の中から、本展のペアチケットを5組10名さまにプレゼントします。
※受付は終了しています。抽選後に発送予定です。ご応募ありがとうございました!

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受付期間:2022年10月2日(日)〜10月11日(火)終了
※応募者多数につき、抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了
※発送に関する個々の問合せには対応しませんのでご了承ください
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません

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