2023年3月7日初掲、14日 会場風景と図録表紙画像を追加
京都市京セラ美術館にて、特別展「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」が3月9日より開催されます。
デザイン分野でリサーチと思索を重ねてきた川上典李子氏(武蔵野美術大学客員教授)を監修者に迎え、地球環境や社会のあり方が見直されるこの現代に「人間こそがなしうることは何か」を改めて問う展覧会です。
監修者メッセージ
「人類の活動が地球に大きな影響を及ぼしている時代に入ったとして、1995年にノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン(Paul Jozef Crutzen|1933–2021)が提示した新たな時代区分「アントロポセン(人新世)」のことばをしばしば耳にするようになりました。ひとと自然との関係性を新たな視点で思考することはもちろん、 変化のなかで立ちどまり、周囲に改めて目を向ける時間の重要性をこれまで以上に強く感じています。
本展で紹介するのは、跳躍するかのように全身で世界の動きをとらえる、気鋭の作家・20組が放つ、現在形のメッセージです。彼らの視点や制作の姿勢をヒントに、どのような時代にあっても 思索とともに次を探ってきたひとの創造の力を考えてみたいと思います。」(川上典李子)川上典李子氏プロフィール:
デザイン誌『AXIS』編集室を経て 1994年に独立、ジャーナリストとして活動を続け、2007年より21_21 DESIGN SIGHTのアソシエイトディレクターとして展覧会企画にも関わる。
同館以外では「現代日本のデザイン100選」(国際交流基金主催)共同キュレーター、パリ装飾美術館「Japon-Japonismes, Objets inspirés, 1867–2018」(2018年)共同キュレーター、「London Design Biennale 2016」日本公式展示キュレトリアル・アドバイザーなどを務める。
武蔵野美術大学客員教授、多摩美術大学理事。
本展では、1970年代、1980年代生まれを中心とした20組の作家が参加し、新作や初公開作品なども展示されます。
過去と未来、自然と人工、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する彼らの作品や活動からは、世界が直面する激動の時代に求められる「創造へ向かう跳躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がります。
参加作家(20組):
石塚源太(美術家)、井上隆夫(アーティスト)、岩崎貴宏(アーティスト)、A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(宮前義之率いるエンジニアリングチーム)、GO ON(細尾真孝、八木隆裕、中川周士、松林豊斎、辻 徹、小菅達之) 、佐野文彦(建築家/美術家)、髙橋賢悟(美術家)、TAKT PROJECT(吉泉 聡を代表とするデザインスタジオ)、田上真也(陶芸作家)、田村奈穂(デザイナー)、津守秀憲(ガラス造形作家)、中川周士(木⼯職人) / 西中千人(ガラス造形作家)、長谷川寛示(彫刻家)、長谷川 絢(美術家)、林 響太朗(映像監督・写真家)、細尾真孝(クリエイティブ・ディレクター)+平川紀道(アーティスト)+巴山竜来(数学者)、目[mé](荒神明香、南川憲二、増井宏文を中心に構成される現代アートチーム)、八木隆裕(開化堂ディレクター)+石橋 素・柳澤知明(ライゾマティクス)+三田真一(クリエイティブ・ディレクター)、横山隆平(写真家)
また、本展では、20組の作家(個人・チーム)のうち16作家が、監修者の川上氏とのやりとりを重ねたうえで、本展を機とする新作や新たなインスタレーションを制作、披露するのも大きな見どころです。そのほかの4組の作家も、近作から厳選された貴重な作品を紹介する場となります。
展示構成:
1.ダイアローグ:大地との対話からのはじまり
2.インサイト:思索から生まれ出るもの
3.ラボラトリー:100年前と100年後をつなぎ、問う
4.リサーチ&メッセージ:未来を探るつくり手の現在進行形
主な見どころには、世界が感嘆する日本のものづくりが示す先見的な「サバイバルと創造」のヒントの数々や、京都を拠点に100年後を見据えて革新的なものづくりに取り組んでいる、細尾 (1688年創業)の細尾真孝氏、開化堂(1875 年創業)の八木隆裕氏をはじめ、6社(細尾、公長齋小菅、中川木工芸、開化堂、金網つじ、朝日焼)の未来を担う6名で結成された「GO ON」の仕事などの展示があります。
TAKT PROJECTは、約3カ月の本展会期中、”成長”する作品〈glow ⇄ grow: globe〉を展示。彼らの東北リサーチに基づく大型インスタレーション〈black blank〉も披露され、あわせてリサーチからの考察も展示する。
また、京都で受け継がれる技術を服づくりに取り込み、コレクションや企画展などで発表しているA-POC ABLE ISSEY MIYAKE のチームの最新作や、ニューヨークで活動するデザイナーの田村奈穂氏のインスタレーションが日本で初公開されます。
展示デザインを手がけるのは、数寄屋建築で著名な中村外二工務店での経験を生かし「現代における日本文化」をコンセプトに活動する建築家で美術家の佐野文彦氏(参加作家として新作も発表)。
本展図録を含めたグラフィックデザインには野間真吾氏、さらに空間演出では、テクニカルディレクターとして展覧会や舞台で国際的に活躍するルフトツーク(LUFTZUG)の遠藤 豊氏が参画しているのも注目です。
会期中、佛教大学との連携プログラム(下記)のほか、ギャラリートークなどの関連イベントも各種開催予定です(詳細は京都市京セラ美術館ウェブサイトにて随時発表)。
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
所在地:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124(Google Map)
会期:2023年3月9日(木)〜6月4日(日)
開館時間:10:00-18:00(最終入場は17:30)
休館日:月曜(祝日の場合は開館)
料金:一般:1,800円、大学・専門学校生:1,500円、高校・中学生:1,100円、小学生:600円、未就学児無料
※京都市内に在住・通学の小中学生は無料
※割引の適用を受ける場合は、受付にて学生証、障害者手帳などの提示要(障害者手帳の提示で本人および介護者1名まで無料)
主催:京都市、京都新聞、日本経済新聞社
企画:京都市京セラ美術館、川上典李子、米山佳子
展覧会詳細
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230309-20230604#tab_cont01
トークイベント
テーマ:アフターコロナ時代に問う、「跳躍するつくり手たち展」
講師:川上典李子(本展監修者)
日時:2023年3月13日(月)18:30-19:45
会場:佛教大学オープンラーニングセンター(O.L.C.)
所在地:京都府京都市北区紫野北花ノ坊町96 佛教大学紫野キャンパス 15号館(Google Map)
定員:50人(オンライン200人)※共に要予約
申込方法:佛教大学オープンラーニングセンターのウェブサイトにて受付(定員に達し次第、締め切り)
※申込みには佛教大学 O.L.C.の会員登録が必要
問合わせ先:佛教大学 O.L.C.(TEL.075-366-5511 / 平日10:00-17:00)
主催:佛教大学・京都新聞総合研究所
ギャラリートーク
開催日時:2023年4月16日(日)15:00−16:00
概要:「跳躍するつくり手たち」の参加作家と、監修者である川上典李子氏とともに会場を巡りながら、制作の背景や作品について話を聞く。
会場:新館 東山キューブ
スピーカー:井上隆夫、GO ON / 八木隆裕・辻 徹・小菅達之、長谷川 絢(本展参加作家)/ 川上典李子(本展監修者)
定員:10名程度(予約不要・先着順に受付)
参加費:無料(ただし、当日有効の本展観覧券が必要)
トークプログラム
京都新聞ニュースカフェ特別企画
跳躍するつくり手たち「アート、デザイン、テクノロジーの現在と未来:6人のつくり手たちと語る」
開催日時:2023年5月21日(日)14:00−16:00(受付開始:13:30)
概要:「跳躍するつくり手たち」監修者である川上典李子氏と、出展作家が登壇。本展における作品や制作の背景について話を聞く。
会場:京都新聞 文化ホール
所在地:京都府京都市中京区烏丸通夷川上ル(Google Map)
登壇者:川上典李子、髙橋賢悟、吉泉聡/TAKT PROJECT、田村奈穂、石塚源太、宮前義之/A–POC ABLE ISSEY MIYAKE、岩崎貴宏
登壇者プロフィール:
https://kyotocity-kyocera.museum/event/20230521
会場定員:150名
料金(税込):1,000円 ※当日受付時に支払い
聴講方法:要事前申し込み、京都新聞ウェブサイト案内ページにて受付
https://www.kyoto-np.co.jp/list/secure/form?code=WD-2023-0037
問合せ先:京都新聞
本展の開催に先立ち、跳躍するつくり手たち展実行委員会がプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングを2022年12月1日に開始、当初の目標金額を上回る3,590,000円の支援を得ています。
自主企画展「跳躍するつくり手たち」クラファン詳細
https://readyfor.jp/projects/Visionaries
このクラファンは、京都市京セラ美術館として初の試みで、チケットを買って展覧会を鑑賞するだけではなく、美術館と鑑賞者の新たな関係性を構築することを目指したもので、公立美術館において著しい予算減少に屈することなく、新しい価値観の展覧会を果敢に開催していくというチャレンジでもありました。また、ふるさと納税制度を最大限に活用し、支援者からの小さな負担で大きなメリットが享受できるプロジェクトとしても継続される予定です。
京都市京セラ美術館 ウェブサイト
https://kyotocity-kyocera.museum/