大分市の大分県立美術館(OPAM)にて、「ペーパー・サンクチュアリ」- ウクライナ難民の現実と詩 – が1月13日より開催されます。
本展で展示されるのは、ウクライナ出身の詩人・小説家・文学翻訳家のスヴェトラーナ・ラヴォーチキナ、ドイツ・ベルリンで勝する写真家のヴィンセント・ヘイグス、戦争難民としてベルリンで生活を送っているウクライナの作曲家、ヴァレンチン シルヴェストロフらの作品です。
展示空間のデザインを、国内外で活躍する建築家の坂 茂(ばん しげる)が担当。避難所で使用することを主たる目的に坂氏が考案した、紙管と布の間仕切りによる仮設パーティションシステム「PPS(Paper Partition System)」で構築された、坂氏が「Paper Sanctuary(ペーパー・サンクチュアリ)」と名付けた空間提案です。
坂氏による「ペーパー・サンクチュアリ」の初披露は、2023年6月に英国・ロンドンで開催された「ロンドン デザイン ビエンナーレ(London Design Biennale)」にて(会場風景画像は本展フライヤーに使用:上の画)。日本では2023年11月に東京・京橋(ミュージアムタワー京橋 1Fショールーム)にて展示が行われ、大分での本展はそれに続く国内巡回展となります。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ軍事侵攻以降、坂氏は世界の建築家とネットワークを結び、難民避難所でのPPSの展開といったウクライナへの支援[*]を続けています。この坂 茂の取り組みを、坂茂建築設計の設計で知られる大分県立美術館から発信し、広く人々に伝えるものです。
坂 茂氏 プロフィール
1957年東京生まれ。米国のクーパー・ユニオン(The Cooper Union for the Advancement of Science and Art)建築学部で建築を学んだのち、1985年に坂茂建築設計を設立。現在は東京・パリ・ニューヨークに拠点を構える。1995年災害支援活動団体 ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)を設立。木材による革新的な建築や、紙管を用いた災害時の復興住宅・難民支援システムの設計などで知られる。
主な作品に〈大分県立美術館〉〈静岡県富士山世界遺産センター〉〈ラ・セーヌ・ミュジカル〉などがある。主な受賞に、プリツカー建築賞(2014年)、フランス芸術文化勲章コマンドゥール(2014年)、マザー・テレサ社会正義賞(2017年)、紫綬褒章(2017年)、アストゥリアス皇太子賞平和部門賞(2022年)など多数。慶應義塾大学環境情報学部教授(2001-2008年)、京都芸術大学大学院芸術研究科教授(2011-)、2023年4月より芝浦工業大学特別招聘教授。Shigeru Ban Architects Website
https://shigerubanarchitects.com/ja/
会期:2024年1月13日(土)〜2月4日(日)※会期中無休
開場時間:10:00-19:00(金・土曜は20:00まで。入場は閉館30分前まで)
会場:大分県立美術館 1階アトリウム
所在地:大分県大分市寿町2-1(Google Map)
観覧料:無料
主催:坂茂建築設計、Voluntary Architects’ Network(VAN)、公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館
大分県立美術館ウェブサイト
https://www.opam.jp/
[*]坂 茂氏が代表を務めるNPO・Voluntary Architects’ Network(VAN)による近年のウクライナ難民支援
・2022年3月 難民避難所に紙の間仕切りシステム(PPS)を欧州各地に提供開始
・2022年9月 簡単に組み立てができる住宅システム(SHS)の開発を開始。
・2022年12月 大規模な停電が続く地域に日本製薪ストーブを約190台配布
・2023年6月 ウクライナ リビウ市に SHSプロトタイプを建設
ロンドンデザインビエンナーレにて「Paper Sanctuary」を開催
・2023年9月 ウクライナ・リビウ市に外科病棟を木造で建設することを外国人記者クラブで発表(詳細はこちら)
NPO・Voluntary Architects’ Network(VAN)facebook
https://www.facebook.com/VoluntaryArchitectsNetwork/