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"中銀カプセル"を再生した宿泊施設が横須賀市に今秋開業予定

解体後のカプセル5基をデザインするクリエイター・企業を募集

神奈川県横須賀市にある農業体験型総合公園「長井海の手公園ソレイユの丘」に[*1]、黒川紀章(1934-2007)が設計した〈中銀カプセルタワービル〉のカプセル5基が移設され、宿泊施設として再生されます。
スケルトン状態のカプセルを宿泊できるようにするデザイン案の公募が4月9日より始まりました(主催:エンジョイワークス)。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

解体前の中銀カプセルタワービル 外観 (画像提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト)

合計140基のカプセルで構成された〈中銀カプセルタワービル〉は、竣工から40年後の2022年に惜しまれつつ解体されましたが、23基のカプセルが解体工事中に搬出され、修復して国内外の第三者に譲渡・再生する「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」が進められてきました。
これまでに、サンフランシスコ近代美術館や和歌山県立近代美術館が内外装を1972年当時の姿に近づけて修復されたカプセルを取得しているほか、淀川製鋼所(ヨドコウ)が”トレーラーカプセル”に転用して運用、昨秋には東銀座にイベントスペース〈SHUTL(シャトル)〉となってオープンしています。

〈中銀カプセルタワービル〉のカプセルを取り外して再生・再活用するプロジェクトが新たに始動

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中銀カプセルタワービル 修復カプセル(スケルトン)内観イメージ

中銀カプセルタワービルからレスキューされたカプセル内観(スケルトンの状態) 注.SHUTL内覧会開催時にTEAM TECTURE MAG撮影

千葉県内の倉庫で保管された修復後のカプセル (写真提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト)

今回のデザイン公募を主催するエンジョイワークス(代表取締役:福田和則)は、2007年の設立以来、不動産、建築、まちづくり、空き家再生‧利活用などを事業とし、中銀カプセルタワーの解体が決定する前の2018年には、部屋の1つをマンスリーで貸し出すプロジェクトも行なっています(詳細はこちら)。

宿泊施設として再生されるカプセルは、5基のうち4基が内装の仕上げを全て取り外したスケルトンで、残る1基は1972年の竣工当時のデザインに近づけて復元・修復されたカプセル(本稿1枚目のカプセル)で検討しているとのこと。
本デザインコンペを企画・主催したエンジョイワークスでは、宿泊施設開業後の運営にも携わる予定です。

長井海の手公園ソレイユの丘 鳥瞰

長井海の手公園ソレイユの丘 鳥瞰(提供:横須賀市)

長井海の手公園ソレイユの丘

長井海の手公園ソレイユの丘 鳥瞰(提供:横須賀市)

旧中銀カプセルビル カプセルデザイン公募概要

募集資格:原則として日本在住、日本語対応できる体制を整えている者に限る(年齢、国籍、資格、経験等は不問)
提案要件
・カプセル内寸 幅2,275 × 奥行4,000 × 高さ2,100(mm)
・4基はスケルトン、1基は1972年竣工時の状態に近い内装に復元・修復済み
・宿泊に必要な「寝る&滞在」が可能な仕様(ただし、トイレなどの水回り設備は不要)
設置場所:長井海の手公園ソレイユの丘
公園所在地:神奈川県横須賀市長井4丁目(Google Map
審査:エンジョイワークスほか

スケジュール
エントリー期間:2024年4月9日(火)~4月30日(火)23時59分
作品提出締切:2024年5月15日(水)23時59分
結果発表:2024年5月31日(金)※採用者に対してメールで通知予定

エントリー申込フォーム
https://forms.office.com/r/wgkAX05pBd

提出物:(1)提案作品 (2)応募フォーム(Microsoft formsより入力ください)
提出物の体裁:以下の仕様に従って提出
・A4(縦横自由)サイズの企画書、枚数は3枚以内
・用紙1枚の中に「カプセル内のデザイン」提案と「コンセプト・ターゲット」提案をそれぞれ分けて作成すること
作品提出先:エンジョイワークス 事業企画部 永礼欣也宛 <mail:k.nagare@enjoyworks.jp>

◎作品に関する注意事項
・作品は応募者自身のオリジナルで、国内外未発表のものに限る
・応募作品の製作費用その他応募に係る一切の費用は応募者側が負担(注.採用案の製作費用は運営側が負担)
・応募作品の提出物は主催者の所有となり、応募者に返却しない
・主催者の同意なしに他に公表することを禁ず
・著作権およびその他の知的財産権を含む第三者の権利を侵害する作品は応募不可。応募者の責任において必要な許可を得た上で応募すること。万一、第三者からの権利侵害などの提訴、その他の争いが生じた場合、主催者は応募者に対し、発生した損害の賠償を求め、応募者は自身の費用と責任において対応すること
・募集要項に記載された事項以外について取り決める必要が生じた場合は主催者の判断により決定。その内容に応募者が同意できなかった場合は応募を撤回できる。ただし応募に要した一切の費用を主催者は負担しないこととする

◎応募作品の権利規定
全ての応募作品の著作権は応募者に帰属する。ただし、主催者は本企画の結果発表・広報などを目的として応募作品を自由に扱えるものとし、その場合に応募者は著作者人格権を行使しないものとする

コンペ企画・主催・問合せ先:エンジョイワークス

本プロジェクトの背景・詳細
https://enjoyworks.jp/times/044/

 

[*1]長井海の手公園ソレイユの丘:横須賀市が管轄する公園。Park-PFI(公募設置管理制度)を主体に指定管理者制度を組み合わせた官⺠連携事業として、農業体験ができる総合公園として整備された。運営は日比谷花壇、京浜急行電鉄などによるエリアマネジメント横須賀共同事業体。”365日誰もがまるごと遊び楽しめるエンターテイメントパーク”として2023年4月14日にリニューアルオープン。2024年3月3日時点で2023年度の来園者数100万人を突破している。
https://soleil-park.jp/

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