CULTURE

〈中銀カプセルタワービル〉のカプセルを取り外して再生・再活用するプロジェクトが新たに始動

CULTURE2021.07.04

黒川紀章(1934-2007)が設計したことで知られる、東京・銀座8丁目にある中銀カプセルタワービル。竣工は1972年(昭和47年)、黒川の代表作の1つであり、​メタポリズムを代表する作品でもあります。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

〈中銀カプセルタワービル 〉外観

近年、数十年間にわたり、建て替えかカプセルの交換かの議論が繰り返されてきましたが、2021年3月に管理組合で敷地売却が決議され、現在は住人の退去と区分所有のカプセル売却が進んでいます。
やがて解体され、完全に壊される前に、カプセルを取り外し、「再活用」するプロジェクトが始動。その活動を支援するクラウドファンディングが7月2日より始まっています。

「中銀カプセルタワービルのカプセルを取り外して再生。美術館への寄贈や泊まれるカプセルに。」
https://motion-gallery.net/projects/capsulereproduction

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

事務所として使用しているカプセルの内観

このプロジェクトは、建物をそのままの姿で保存するのではなく、「メタボリズムのコンセプトを引き継ぎ、次につなげる」という、設計思想の継承することが目的です。中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト(東京都中央区、代表 前田達之)では、買受企業と協議し、最大で139カプセルの取得について合意。取り外されたカプセルは、黒川紀章建築都市設計事務所(代表取締役 永田恭一)の協力により、理想的な姿へと改修・再生される予定です。

中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト(代表 前田達之)が事務局となって進められる今後の「再活用」プロジェクトでは、以下の計画が検討されています。

1.美術館などへの寄贈
再生するカプセルの一部は、引き取りを希望する美術館や博物館に寄贈されます。竣工当時にモデルルームとして使用したカプセルのみ、同じく黒川紀章が設計した埼玉県立近代美術館の管理で野外に展示されています。パリのポンピドゥーセンターをはじめ、国内外の美術館から、カプセル譲渡の依頼がこれまであったものの、予備のカプセルがないため、実現しなかった経緯があります。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

埼玉県立近代美術館 野外敷地に展示中のカプセル(書籍『中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟』より)

2.宿泊カプセルの全国展開
これまで、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトでは、1カ月間の試泊ができる「マンスリーカプセル」を2018年より運営してきました。約2年半で延べ200人以上が利用し、愛好者を増やしてきました。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

「泊まれるカプセル」マンスリーカプセルを利用中の住人

宿泊しなければわからないカプセルの魅力を伝えるため、新たな再活用プロジェクトでは「泊まれるカプセル」を全国で展開。商業施設や宿泊施設を中心に、複数企業と打ち合わせを行っているとのこと。さらなる協業先も開拓していく計画です。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

「泊まれるカプセル」マンスリーカプセルを利用中の住人

3.書籍『中銀カプセルタワーの記録(仮)』の出版
プロジェクト事務局では、現在の建物を記録する書籍『中銀カプセルタワーの記録(仮)』の刊行を準備中です(草思社より2022年2月出版予定)
すでにオーナーや住人の協力を得て、全140カプセル中、50以上のカプセルの撮影を終了。さらに、各カプセルの実測調査を行うべく、複数の大学の建築系研究室の協力により、20以上のカプセルで実測を終えています。

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

実測図

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

カプセル実測調査の様子

4.クラウドファンディングを開始
2021年7月2日より、モーションギャラリーのサイトにて、クラウドファンディングを開始しました。前述1で寄贈するカプセルの改修費に充当します。
支援のリターンとして、改修後の「カプセル宿泊」利用(開始当初は首都圏を予定)や、前述3の書籍が提供されます。
https://motion-gallery.net/projects/capsulereproduction

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

2020年にクラウドファンディングで資金を調達して出版した『中銀カプセルスタイル』表紙

中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトについて:
2014年に保存派オーナーと住人を中心に結成。2015年11月に『中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟』(青月社)を刊行、2020年12月には『中銀カプセルスタイル:20人の物語で見る誰も知らないカプセルタワー』(草思社)を刊行。黒川の当初のコンセプトとは異なり、カプセルが交換されなかったため、リノベーションが主流となり、和室やアンティークな内装へと改修されてきました。
カプセルの使用目的も、当初想定されたオフィス(ビジネスカプセル)だけではなく、住居や趣味のためのセカンドハウスなど、カプセルの多様性が注目を集め、入居希望者が増加していたとのこと。黒川が「個人の空間」として使用されることを想定していたカプセルは、時を経て「都心の長屋」のようなコミュニティーを形成するに至ったとのこと。この「再活用」プロジェクトでは、従前で築かれたコミュニティーの再構築に今後も取り組んでいく考えです。(en)

中銀カプセルタワービル カプセル再生・再活用プロジェクト

「中銀カプセルタワービルのカプセルを取り外して再生。美術館への寄贈や泊まれるカプセルに。」
https://motion-gallery.net/projects/capsulereproduction

中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト公式ウェブサイト
https://www.nakagincapsuletower.com/

Facebook @NakaginCapsuleTower
https://www.facebook.com/NakaginCapsuleTower
instagram @nakagin_capsule_tower/
https://www.instagram.com/nakagin_capsule_tower/
Twitter @nakagincapsule
https://twitter.com/nakagincapsule

これまでの建物保存への取り組み

CULTURE2020.08.21
メタボリズムの傑作〈中銀カプセルタワービル〉の書籍出版と保存活動を支援するクラウドファンディングがスタート

黒川紀章の別荘「カプセルハウスK」動態保存プロジェクト

CULTURE2021.04.07
黒川紀章が長野に建てた自身の別荘「カプセルハウスK」が宿泊施設として動態保存へ
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