東京の国立新美術館 3F展示室にて、世界の第一線で活躍するクリエイターたちが日本国内のそれぞれの地域でリサーチを行い、彼らが選んだ〈デザインの宝物〉を紹介する展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN 展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」が5月16日より開催されています。
本展は、同館にて2022年11月30日から12月19日まで開催された「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」につらなる企画展で、日本にデザイン専門のミュージアムをつくろうという運動「DESIGN MUSEUM JAPANプロジェクト」との連携企画です(主催:NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁)。
本展を共催するNHKエデュケーショナルとともに、世界の第一線で活躍するクリエーターたちが、「日本にはまだないデザインのミュージアムをもしあなたがつくるなら?」というテーマのもと、日本各地でそれぞれ生活文化のリサーチを行い、豊かな物語性を持ちながらも世に知られていないモノやコトを「デザインの宝物」として紹介しています。会期中は参加クリエイターらによるトークイベントも併催。
『TECTURE MAG』では、5月17日に開催されたプレス内覧会を取材。会場の様子をレポートします(永山祐子氏へのインタビューを後日掲載予定。会場写真は全てTEAM TECTURE MAG 撮影)。
開催趣旨
縄文時代より1万年以上ものあいだ、独自の生活文化を育んできた日本。そこには、世界がまだ気づいていない、豊かな物語を持つ〈デザイン〉があります。
私たちは第一線で活躍するクリエーターたちとともに各地の生活文化のリサーチをはじめました。
北海道のニシン漁船に刻まれた漁師の心意気を表す〈化粧板〉、時を超える記憶が詰まった〈西馬音内盆踊りの衣装〉、雪国・山形でつむがれる〈古代の糸・世界最先端の糸〉、常に“時代が求める陶器”を作り続けてきた愛知・常滑の〈すだれレンガ〉、滋賀で十五代受け継がれる〈自然石の石垣〉、愛媛の左官たちが遊び心で伝えた〈こて絵〉・・・。
「これもデザインと呼ぶの?」と疑問を持つものがあるかもしれません。そう、どれも、日本の普通の生活の中にあるものばかりです。しかし、クリエーターたちにとっては、触発され、わくわくした気持ちになって次のおもしろい物を組み立てる原動力になるものです。
それらをわたしたちは〈デザインの宝物〉と呼び、その背後にある物語とあわせて番組や展覧会で紹介します。番組や展覧会をきっかけに、それぞれが自分の身の回りにある〈デザインの宝物〉を探しはじめるとしたら、毎日は喜びと驚きに満ちたものに変わるのではないでしょうか。
さあ、クリエーターたちと一緒に〈デザインの宝探しの旅〉にでかけましょう。
今回は、2023年度にリサーチした6つの〈デザインの宝物〉を中心に展覧会を構成します。
2023年度にリサーチが行われた今回の展覧会では、6人のクリエイターが参加。前年に引き続き、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM の協力のもと、デザイン史家の野見山 桜氏が展示監修を、建築家の田根 剛氏(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)が会場デザイン、そしてグラフィックデザイナーの岡本 健氏(岡本健デザイン事務所)がグラフィックデザインを担当しています。
竹谷隆之(造形作家)
「漁船の化粧板」 船に刻まれた漁師の心意気(留萌、北海道)
小池一子(クリエイティブディレクター)
「西馬音内盆踊り衣装」 時を超える衣装の記憶(西馬音内、秋田県)
名久井直子(ブックデザイナー)
「古代の糸 世界最先端の糸」 雪国・糸作りのデザイン(鶴岡・寒河江、山形県)
片岡真実(キュレーター/森美術館館長)
「すだれレンガ 電らん管」 時代が求める陶器を生む町(常滑、愛知県)
永山祐子(建築家)
「野面積みの石垣」 戦国の石垣・自然石と向き合う(大津、滋賀県)
永積 崇(音楽家)
「こて絵」 左官たちが伝えた遊び心(内子、愛媛県)
「DESIGN MUSEUM JAPAN」って、なんだろう?
NHKの番組「デザインミュージアムをデザインする」(Eテレ)では、2020年1月から第一線で活躍するクリエーターたちに「日本にまだないデザインのミュージアムをあなたが作るなら、どんなものを作りますか?」と問いかけてきました。
その答えの中から、「日本各地に点在する、素晴らしい〈デザインの宝物〉を所蔵する館や組織をネットワークし、その集合体を〈デザインミュージアム〉と呼ぶ」というアイデアが浮かび上がってきました。日本全体が〈デザインミュージアム〉になるといい、という提案です。
そして、2021年からは「デザインミュージアムジャパン」という特集番組で、これまでに19の地域で、クリエーターたちと共に〈デザインの宝物〉を探してきました。
「DESIGN MUSEUM JAPAN 展」は、NHKで放送してきた「デザインミュージアムジャパン」と歩調を合わせ、展示を通じて地域の魅力を発信し、日本全体にひとつの〈デザインミュージアム〉を浮かび上がらせようとする取り組みです。
日本中の多くの人に、〈デザイン〉は、実はわたしたちのまわりにあふれていて、日々の暮らしに豊かさや活力を与えていることに気づいていただくこと。そして、今はまだ存在しない日本の〈デザインミュージアム〉の姿についての、ひとつの提案になればと願っています。(本展プレスリリースより)
「DESIGN MUSEUM BOX 展」
会期:2021年4月10日(土)~25日(日)※緊急事態宣言発令により予定会期を短縮
会場:Ginza Sony Park
紹介したエリア:5地域
【特別レポート】DESIGN MUSEUM BOX展 / 齋藤精一、森永邦彦が語る、これからのデザインミュージアムのかたち。 「DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン」
「DESIGN MUSEUM JAPAN 展」
会期:2022年11月30日(水)~12月19日(月)
会場:国立新美術館
紹介したエリア:13 地域
西沢立衛、乾 久美子、原 研哉、田川欣哉ら13人が出展、田根 剛が会場構成を担当する「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」
海外巡回展
会場:ジャパン・ハウス 3拠点
サンパウロ(ブラジル)2023年3月28日(火)~6月18日(日)
ロサンゼルス(アメリカ)2024年1月26 日(金)~4月14日(日)
ロンドン(イギリス)2024年5月15日(水)~9月8日(日)
会期:2024年5月16日(木)~26日(日)
休館日:5月21日(火)
会場:国立新美術館 展示室3B
所在地:東京都港区六本木7-22-2(Google Map)
開館時間:10:00-18:00(金曜は20:00まで)※入場は各日とも閉館30分前まで
観覧料:無料
ギャラリーツアー
日時:5月17日(金)18:30-19:30 ※終了
倉森京子(NHKエデュケーショナル プロデューサー、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM 代表理事)
ゲスト:深澤直人(プロダクトデザイナー)、河瀬大作(プロデューサー)
スペシャルギャラリーツアー
日時:5月18日(土)13:00-17:00 ※終了
出席:齋藤精一(パノラマティクス 主宰、Design-DESIGN MUSEUM 理事)、田根 剛(建築家、本展会場デザイン担当)※左記の2氏がホストとして13時より展示室に常駐、参加クリエーターが順番に加わり1時間ごとにギャラリーツアー&トークを実施
5月18日タイムスケジュール
13:00- 永山祐子(建築家、本展参加クリエイター)
14:00- 小池一子(クリエイティブディレクター、本展参加クリエイター)
15:00- 片岡真実(キュレーター、森美術館館長、本展参加クリエイター)
16:00- 竹谷隆之(造形作家、本展参加クリエイター)
ギャラリーツアー
日時:5月24日(金)18:30-19:30
出席:倉森京子
ゲスト:名久井直子(ブックデザイナー、本展参加クリエイター)
※上記いずれのイペントも申込不要、参加自由
主催:NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共催:NHKエデュケーショナル
協力:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM ウェブサイト
https://designmuseum.jp/
※英国・ロンドンにて同時期開催
会期:2024年5月15日~9月8日
会場:ジャパン・ハウス ロンドン
Interview by TEAM TECTURE MAG
Photograph by Jun Kato & Naoko Endo
text by Naoko Endo