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動く彫刻"モビール"を発明したカルダーの大規模個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」

NY拠点の建築家・後藤ステファニーが会場をデザイン、麻布台ヒルズ ギャラリーにて開催

東京・虎ノ門5丁目(麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)にある麻布台ヒルズ ギャラリーにて、アメリカのモダンアートを代表する米国の彫刻家、アレクサンダー・カルダー(Alexander Calder|1898-1976)の展覧会「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が開催されています。
日本では最大規模の個展で、東京でのカルダー展は約35年ぶりの開催となります。

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

アレクサンダー・カルダー プロフィール

アレクサンダー・カルダー

Calder with Armada (1946), Roxbury studio, 1947. Photograph by Herbert Matter © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

1898年米国ペンシルベニア州ローントン生まれ、1976年ニューヨーク市にて没。20世紀を代表する作家、彫刻家のひとり。古典的な芸術家の一家に生まれた彼は、革新的な才能を活かして現代美術の流れを根本的に変えた作家とされる。1920年代に針金を曲げたりねじったりすることで、立体的な人物を空間に「描く」という新しい彫刻(モビール)の手法を編み出した。吊るされた抽象的な構成要素が、絶えず変化する調和の中でバランスを保ちながら動く「モビール」を発明、多数の作品を発表した。1950年代以降は、ボルトで固定した鉄板を使った屋外彫刻の制作に注力し、これらの作品群は世界各地の公共スペースでパブリックアートとして目にすることができる(カルダー自身は生前に訪日経験はないものの、日本の多くの芸術家や詩人に受け入れられ、日本国内には18箇所の美術館に20点以上の作品が収蔵されている)。

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

本展は、カルダー財団が所蔵する1920年代から1970年代までの作品約100点で構成され、代表作であるモビール、スタビル、スタンディング・モビールから油彩画、ドローイングなど、幅広い作品が展開されています。
ニューヨークのカルダー財団理事長であるアレクサンダー・S.C.ロウワーのキュレーションと、ペースギャラリー[*1]の協力のもと開催されており、アメリカのモダンアートを代表するカルダーの芸術作品における、日本の伝統や美意識との永続的な共鳴をテーマにしているとのこと。

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

後藤ステファニーによる展示デザイン

本展の会場デザインは、長年にわたりカルダー財団の協力者でもある、ニューヨークを拠点とする建築家の後藤ステファニーが担当しました。
カルダーが同時代の建築家たちとコラボレーションした際の創作精神にならい、3:4:5の直角三角形の幾何学にもとづいた会場設計となっており、要所に土壁や和紙などの日本建築の要素・素材をエレガントかつモダンに挿入して展示空間をまとめあげているのが特徴です。

展覧会は、三角形の斜辺に言及する形で配置された2つのパビリオンを中心に展開し、茶室や能舞台を想起させる正方形の展示室は、ギャラリーの中央に位置しています。
空間に対する認識は、空間ばかりか時間の意味でも「中断」を示唆する「間」によって強められ、木、紙、漆喰など日本の伝統的な素材がこの中断や不在の感覚をいっそう強調します。
また、パビリオンの天井の透明なパネルから差し込む光は、ジグザグに張り出した庇のような線を描き、身体的で触感的な要素を加えています。(本展プレスリリースより)


後藤ステファニー プロフィール

財団の協力者でもある日本人建築家。建築や文化、芸術、ガストロノミー、ホスピタリティの関係性を内包した、真にユニークで体験的な空間設計を行う第一人者。2004年に集学的アプローチによる実践の基礎を築き、カルダー財団の「プロジェクト・スペース」や、ハウザー&ワース(ロサンゼルス)およびペースギャラリー(ニューヨーク)でのカルダー展の空間デザイン、シーザーストーン・エクスペリエンス・センター(ジョージア州)、ドン・ペリニヨンのためのマルチセンサリー体験デザイン、そして2023年には日本初のプロジェクトとなる、京都のラグジュアリーホテル〈The Shinmonzen〉にオープンしたジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリステンのレストランのインテリアデザインを手掛ける。

Stephanie Goto Architecture Website
https://www.stephaniegoto.com/

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Scene of Calder: U effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展示風景

Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, 2024 Photo: Tadayuki Minamoto

今夏、ペースギャラリーが麻布台ヒルズにオープン

本展は、2024年9月に麻布台ヒルズ内に、世界8番目の拠点としてオープンを予定している米国のペースギャラリー[*1]と、麻布台ヒルズ ギャラリーとのパートナーシップの一環として開催されます。
ペースギャラリーは1984年以来、カルダーエステートと密接に協力しており、世界各地の同ギャラリーでカルダーの個展および二人展を17回も開催してきました。
本展は、ペースギャラリーが開催する18回目のカルダー展となります。

*1.ペースギャラリー(Pace Gallery)
アーニー・グリムシャーによって1960年に米国・ボストンに設立。現在は、メインとなるニューヨークのほか、ロサンゼルス、ロンドン、ジュネーブ、香港、ソウルといった世界各都市に拠点を構える。8番目の拠点を今夏、麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1-2Fに開設予定、内装を建築家の藤本壮介がデザインする(下の画像は内観イメージ)。
現在は彼の息子であるマーク・グリムシャーが率いて、20世紀の伝説的なアーティストや今日最も影響力のある現代アーティスト作品を取り扱う。世界でも有数の国際的影響力をもつアートギャラリーでありメガギャラリー。

Pace Gallery Tokyo

Rendering of Pace Gallery, Tokyo. © DBOX for Mori Building Co., Ltd – Azabudai Hills

東京・ペースギャラリーについて(麻布台ヒルズ ショップリスト)
https://www.azabudai-hills.com/shop_list/0117.html

「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展 開催概要

会期:2024年5月30日(木)〜9月6日(金)
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
所在地:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階(Google Map
開館時間:月・火・水・木・日曜 10:00-18:00(最終入館17:30)/ 金・土曜・祝前日 10:00-19:00(最終入館18:30)
休館日:6月4日(火)、7月2日(火)、8月6日(火)
観覧料:一般1,500円(1,300円)、専門・大学生 1,200円(1,000円)、高校生 1,000円(800円)、中学生以下無料(要学生証の提示)、障がい者手帳の提示で本人と介助者1名までは通常料金の半額
※( )内はウェブサイトからの事前予約料金(当日のオンライン販売チケットに残部がある場合に限り、窓口での購入可)

主催:麻布台ヒルズ ギャラリー
共催:ペースギャラリー
企画:アレクサンダー・S.C.ロウワー(カルダー財団理事長)
展示デザイン:後藤ステファニー(Stephanie Goto Architecture)

展覧会詳細
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/calder-ex/


All works by Alexander Calder
All photos courtesy of Calder Foundation, New York / Art Resource, New York
© 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

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