COMPETITION & EVENT

TOTOギャラリー・間「篠原一男 空間に永遠を刻む——生誕百年 100の問い」

"住宅は芸術である"と唱えた建築家を再考する展覧会

東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間にて、建築家の篠原一男(1925-2006年)にスポットをあてる展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む——生誕百年 100の問い」が4月17日より開催されます(上の画像:展覧会ポスター /[写真情報]:「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)にて © GA Photographers)

篠原一男

篠原一男(提供:東京科学大学 奥山信一研究室)

 

主催者メッセージ

篠原一男は東京工業大学(現:東京科学大学、本稿では東工大と以下略)で清家 清(1918-2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして活躍。東工大を退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けました。坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍しています。

篠原一男は「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やしました。篠原の住宅は日本における現代住宅のひとつの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっています。この言葉とともに発表された初期の代表作〈から傘の家〉(1961年)は、2022年にスイス・バーゼル近郊(ドイツ、ヴァイル・アム・ライン)のヴィトラキャンパスに移築・再建されました。さらには〈白の家〉(1966年)、〈地の家〉(1966年)、〈谷川さんの住宅〉(1974年)もそれぞれ移築や再生によって継承され、その空間を今にとどめています。

篠原一男設計〈から傘の家〉海外移築を伝えるニュース

本展では、建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた篠原一男の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考します。

会場では、東工大篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を、篠原の言説から抽出した「100の問い」と、篠原自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせます。
篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作〈蓼科山地の初等幾何〉(2006年、計画案)のスケッチも展示予定です。

本展覧会が、建築家・篠原一男の遺した空間と言説を次代に継承するための一助になることを願っています。(TOTOギャラリー・間)

 

篠原一男〈谷川さんの住宅〉

谷川さんの住宅(1974年)© 多木浩二

篠原一男〈上原通りの住宅〉

上原通りの住宅(1976年) © 多木浩二

篠原一男スケッチ

篠原一男真筆の「谷川さんの住宅」(1974)スケッチ(提供:東京科学大学 奥山信一研究室)

篠原一男スケッチ

篠原一男真筆の「ハウス イン ヨコハマ」(1985)スケッチ(提供:東京科学大学 奥山信一研究室)

篠原一男スケッチ

篠原一男真筆の「蓼科山地の初等幾何」スケッチ
(提供:東京科学大学 奥山信一研究室)

 

「篠原一男 空間に永遠を刻む——生誕百年 100の問い」

タイトル英語表記:Kazuo Shinohara: Inscribe Eternity in Space――A centennial exhibition with 100 questions
会期:2025年4月17日(木)~6月22日(日)
開館時間:11:00-18:00
休館日:月曜、5月6日(火)、祝日(但し、5月3日(土・祝)と4日(日・祝)は開館)
入場料:無料
会場:TOTOギャラリー・間
所在地:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F(Google Map
電話番号:03-3402-1010
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問:安藤忠雄、委員:貝島桃代、平田晃久、セン・クアン、田根 剛)
キュレーター:奥山信一、貝島桃代、セン・クアン
アシスタントキュレーター:小倉宏志郎
後援:一般社団法人東京建築士会、一般社団法人東京都建築士事務所協会、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人日本建築学会関東支部
協力:篠原一男生誕百年企画委員会、東京科学大学博物館、東京科学大学奥山信一研究室、Chair of Architectural Behaviorology, D-Arch,ETH、アトリエ・ワン


関連イベント

決まり次第、TOTOギャラリー・間 ウェブサイトにて発表。

TOTOギャラリー・間 ウェブサイト
https://jp.toto.com/gallerma


#TOTO ギャラリー・間 YouTube:TOTOギャラリー・間 篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い 予告編(2025/04/08)


なお、篠原が教鞭を執った東工大(現在の東京科学大学)にて、東京科学大学博物館 2025年特別展示「篠原一男と篠原研究室の1960年代 – 「日本伝統」への眼差し』が4月19日より創立70周年記念講堂(設計:谷口吉郎)にて開催されます。会期初日には坂本一成氏らが登壇する関連シンポジウムも開催。

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