日本・米国・中国・オランダからあわせて80社以上の企業・団体が参画している、世界最先端の家を実現させるプロジェクトにおいて、3Dプリンタによる次世代型住宅の出力が先ごろカナダと中国で開始されました。
3Dプリンタの到着を待ち、日本国内での先行予約販売は2022年2月中に開始される見込みです。
3DP住宅の概要と最新の進捗をプレスリリースで発表したのは、3Dプリンタ住宅専業メーカーとして2018年8月に設立されたセレンディクス(セレンディクスパートナーズより改称 / 兵庫県西宮市、代表取締役:小間裕康)。同社では、世界最先端の住宅(Next House)の実現を掲げ、2019年12月よりプロジェクトを開始しています。
セレンディクスでは設計・開発を担当。3Dプリント出力のための設計と開発は、日本・米国・オランダ・中国のコンソーシアムで進められました。
出力は海外のメーカーと協業し、施工は住宅施工会社との協業で行う予定です。
〈Sphere〉のデザインは、米国・ニューヨークに拠点を構える、建築家の曽野正之(Clouds Architecture Office / クラウズ・アオ共同代表)が担当。曽野氏は、クラウズ・アオの設立パートナーであるオスタップ・ルダケヴィッチ(Ostap Rudakevych)氏と、同社のアソシエイト・曽野祐子氏を含めた複数名のチームで臨んだ、NASA(アメリカ航空宇宙局)が主催した2015年の設計コンペ「3D Printed Habitat Challenge」にて、提案した作品「MARS ICE HOME」が最優秀を獲得しています(NASA公式発表 / NASAとの共同設計で、火星建設に向けたプロジェクトが進行中)。
〈Sphere〉の構造面では、壁を2重にして断熱層を兼ね、さらに日本の耐震基準をクリアするために、先端の技術が採用されているとのこと。
すでに〈Sphere〉の共同設計は完了。無人で出力できる建設用3Dプリンタを使って、カナダ・中国の2カ国で出力(建設)が行われたとのこと。
今回出力された〈Sphere(スフィア)〉の内部の広さは10平米。主に実証実験用として先ず企業向けに販売されます。災害復興住宅、グランピング施設、別荘などの利用を想定しています。
今後の展開として、3Dプリンタが日本国内に届き次第、先行して10棟の〈Sphere〉先行予約を開始(2020年2月中の予定)。
販売価格は300万円(税別)で、「30年の住宅ローンを失くす」ことをミッションとしているセレンディクスならではの価格設定です。
一般向けの販売開始は、2022年8月の予定。さらに、2023年12月以降、一般住宅に対応した、100平米モデルの発表を予定しています。
Sphere事業部責任者 飯田国大氏(セレンディクス COO)コメント:
「私たちは、1回しかない人生をもっと自由に生きていいと考えています。自由を阻害している最大の要因は家です。私たちが開発するSphereによって、日本人はもっと自由に生きれるようになると考えています。300万円で機能性・デザイン性に優れた住宅が購入できることで、車を買い替えるように家を買い替え、年齢・家族構成・仕事に合わせて自由に家を買い替える事が出来る世界を実現します。」
なお、セレンディクスでは、「世界最先端の家」の実現を目指すとともに、共創企業の拡大を狙い、日本国際博覧会協会が主催する、大阪・関西万博2025「TEAM EXPO 2025」の共創チャレンジ登録を行っています。
また、内閣府が進める「スーパーシティ」構想へ参画する地方公共団体に対し、世界最先端の家を集約した街づくりインダストリーキャピタル(特定産業首都)として提案中とのこと[*1]。
*1.飯田国大「note」(2021年9月19日)
https://note.com/handakunihiro/n/nad189b31cdb6
セレンディクス 公式Webサイト
Serendix.com
本稿の〈Sphere〉の画像 ©︎Clouds Architecture Office