PROJECT

PROJECT2020.05.22

IDUMI / .8/TENHACHI

日常の暮らしを少しだけ豊かにするカフェ兼住居

調布駅前の賑わいから少し離れた静かな住宅地に、木造3階建ての建物がひっそりとたたずんでいる。
建物の1階はカフェで、2,3階がオーナー家族の住居である。カフェの店長の直井雄太氏は、代官山にあるハンドドリップコーヒー店で修行を積み、この場所に自分の店を開店することになった。その計画である。

この地は彼にとって特別な場所である。家族が代々、店を経営してきた歴史があった。“キッチン泉”や“泉荘”など、代々”泉”という名前が引き継がれており、グラフィックデザイナーの山本和久氏の提案で、カフェは〈IDUMI(いづみ)〉と命名された。店のロゴサインには、”泉の湧き出るような場所”という意が込められている。

店のコンセプトは、“日常の暮らしを少しだけ豊かにするその手伝いをする場所”ということ。“コーヒー1杯を味わう時間が、その人の1日をより豊かにするように、ささやかに生活に寄り添う場所をつくりたい”というものだった。
商業的な匂いができるだけしないように、外観はシンプルに、自己主張をせず、ファサードにはロゴサインをひとつだけとした。建物の目の前にきてようやく、そこがカフェであることがわかる。

コーヒーの抽出方法は、1杯ずつハンドドリップで淹れている。豆へのこだわり、抽出時間、抽出温度などについて、店主に話を聞くと、お客さんやコーヒーへの想い、情熱が伝わってくる。素材に対するこだわりが、私たち設計事務所の空間づくりと共感する部分が数多くあった。
素材の味を生かすこと、最大限に引き出すこと、その思いは、コーヒーにおいても空間においても、職人的な物への愛情である。使い込むほど味が出る真鍮(しんちゅう)の照明器具や、白いテラゾーのカウンター、木組みのシェルフ、土の素材を活かした手びねりのコーヒーカップなど、職人の技や素材本来の味が生きる素材や照明器具で、カフェの空間を構成した。

店の内部は、来店客をあたたかく迎えるために、木に包まれた空間とした。木質ラーメン構造の構造部である柱、梁、斜材で空間をフレーミングし、節(ふし)のないシナ合板の壁とすることで、あたたかくしっとりとしたインテリアになっている。店舗の奥は、400ミリほど床が下がったラウンジエリアで、さらに包容感と落ち着きのある空間となった。

厨房は、オープンでありたいというオーナーの要望から、カウンターの高さを940ミリと標準より低く設定し、収納やゴミ箱、冷蔵庫がお客さんから見えてもいいしつらえとした。掃除や片付けが行き届く、所作を大切にする精神がここにあらわれている。

忙しい現代社会の中で、オーナーの真面目で温かい人柄にも触れながら、穏やかな時間が味わえる、そんなカフェとなった。(佐々木倫子)

A café and residence that enriches your daily life a little.

This is wooden residence with café in Tokyo, Japan.
Owner’s family lives in the upper story of the cafe. There is a story that used to be important “well” for the people who lives in the area. Owner’s Grandfather had opened restaurant, which named “IDUMI”, which means “well” in Japanese. After he had passed away, his grandchild opened coffee café, take over the store name “IDUMI” with grand respect.

The concept of this café is to help enrich the neighborhood’s life, with the aim to enrich people´s day taking one cup of coffee.
Following that concept, there is no store sign at the facade, you can perceive the café with the simplicity of the logo.

For the wide space in the café the diagonal Angled woods are placed in the pitch. This wood structure is exposed since the wood structure is beautiful and wood texture creates warm interior space. The other Interior material is tried to be selected as much as was possible by Japanese craft man; the white terrazzo on counter, brass handmade lamp and pottery coffee cup, etc. This is the spirit of taking over the traditional Japanese crafts to the future.

Second and Third floor formed the house for the owner’s family. 3 generations are co-living in the house, and each of them has a small bed-space which is the only private room. The house has 3 flexible free living spaces for sharing. They can share them by time, and can select the room by their selves. In addition, these spaces have the possibility to be modified in the future if the owners need it or want it.
This is a dwelling space with variable margins. ( Tomoko Sasaki )

【IDUMI】

所在地:東京都調布市布田 2-32-32
用途:戸建住宅+カフェ
竣工:2018年

設計:.8/TENHACHI(てんはち)
担当:佐々木倫子
構造:江尻建築構造設計事務所
ロゴデザイン:Donny Grafiks / 山本和久
造園:Landscape House
店舗照明:モデュレックス
施工:小川建設

撮影:千葉顕弥

構造:木造
建築面積:69.56
延床面積:139㎡
設計期間:6ヶ月
施工期間:8ヶ月

【IDUMI】

Location: 2-32-32 Fuda, Chofu City, Tokyo, Japan
Principal use: House + Cafe
Completion: 2018

Architects: .8/TENHACHI ARCHITECT & INTERIOR DESIGN
Design: Tomoko Sasaki / TENHACHI
Location: 2-32-32 Fuda, Chofu City, Tokyo, Japan
Structure Design: EJIRI STRUCTURAL ENGINEERS
Logo design: DONNY GRAFIKS
Green:LANDSCAPE HOUSE
Lighting design: ModuleX
Contractor: OGAWA KENSETSU

Photographs: Kenya Chiba

Main structure: Wood
Building area: 43.89㎡
Total floor area: 51.69㎡
Design period: 6 month
Construction period: 8 month