TOTO出版の新刊情報です。
これまで『TECTURE MAG』でも取材、レポートなどを掲載してきたプロジェクト「THE TOKYO TOILET」について、経緯や計17のトイレについて詳細にまとめられた書籍が10月20日に刊行されました。
同プロジェクトは、多様性を受け入れる社会の実現を目的に、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを東京都渋谷区内に設置するという計画で、渋谷区の協力のもと、日本財団が中心となって2018年に立ち上げられ、推進されたものです。
書籍中面より、渋谷区内「The Tokyo Toilet」展開マップ
これまでの公共トイレの常識を大きく変えるビッグプロジェクトの趣旨に賛同し、建築家をはじめとする16組のクリエイターが参加、トイレのデザインを担当しています(以下、敬称略)。
2020年8月5日に渋谷区の区立公園3カ所にて、建築家の坂 茂がデザインした公共トイレ2つと、Wonderwall®(ワンダーウォール)を率いる片山正道氏がデザインしたトイレの計3つの供用を開始。2023年3月24日までの間に区内計17カ所に建設され[*1]、そのすべてが運営されています[*2]。その途中、2022年5月には、ヴィム・ヴェンダース監督による映画『PERFECT DAYS』の舞台となることが発表され、話題となりました。
本書では、新しく生まれ変わった東京都渋谷区内17カ所の公共トイレについて、写真、図面、データなどで詳しく紹介。プロジェクトに携わった関係者へのインタビューや寄稿も多数収録されています。
目次
INTRODUCTION
誰もが快適に利用できる公共トイレをTHE TOKYO TOILETS
坂 茂 / 片山正道 Wonderwall® / 田村奈穂 / 槇 文彦 / 坂倉竹之助 / 安藤忠雄 / NIGO® / 隈 研吾 / 佐藤可士和 / 伊東豊雄 / 佐藤カズー Disruption Lab Team / 後智仁 / マーク・ニューソン / マイルス・ペニントン 東京大学DLXデザインラボ / 小林純子 / 藤本壮介書籍中面より、槇 文彦がデザインした〈恵比寿東公園トイレ〉 外観撮影:永禮賢
〈恵比寿東公園トイレ〉に関する槇総合計画事務所によるコンセプト解説
マーク・ニューソンがデザインした〈裏参道公衆トイレ〉の図面(設計・施工:大和ハウス工業)
PROJECT DESIGN
多様な利用者と建築に寄り添う、オリジナルのピクトグラム 佐藤可士和
THE TOKYO TOILETのメンテナンスについて書籍中面より、佐藤可士和氏によるピクトグラムのデザインに関する寄稿
CONCEPTION AND CONSTRUCTION
気づきを生み出し、心を動かす、THE TOKYO TOILET 柳井康治(プロジェクト発案・資金提供者)
身近な社会課題を見逃さず、 諦めずに取り組む 笹川順平(日本財団)
公共トイレへの態度変容を目指して 長谷部健(渋谷区)
優しさを象徴する空間としての公共トイレ 吉田伸典(TOTO)
建築の限りない可能性に触れて 竹林桂太朗(大和ライフネクスト)SPECIAL CONTRIBUTION
忙しい東京の中の静かな場所 ヴィム・ヴェンダース(映画監督)DRAWINGS AND SPECIFICATIONS
LOCATION MAP
『The Tokyo Toilet』表紙 ※マーク・ニューソンがデザインした〈裏参道公衆トイレ〉
著者:岡野 民(文)、永禮 賢(写真)
ブックデザイン:島田 隆
判型:B5判変型
総頁数:280ページ
言語:和英併記
ISBN:978-4-88706-404-1
定価:3,300円(本体3,000円+税10%)
発行日:2023年10月20日
詳細
https://jp.toto.com/publishing/detail/A0404.htm
TOTO出版 ウェブサイト
https://jp.toto.com/publishing/
*1.THE TOKYO TOILET」プロジェクトにおいて、TOTOは現状調査と設置機器を含めたトイレ空間のレイアウト提案を行なっている
*2.「THE TOKYO TOILET」プロジェクトで整備された17の公共トイレは、今年6月23日に日本財団から渋谷区への譲渡式が行われ、トイレの維持管理も2023年度末をもって渋谷区へと引き継がれる
『TECTURE MAG』では、プロジェクト最初の3つのトイレを取材。以降も継続してニュースとレポートを掲載、今年3月に披露された17カ所めのトイレ(デザイン:藤本壮介建築設計事務所)のレポートも近日中に掲載予定