2020年9月6日初掲
2021年6月28日 MAPほか最新情報に改訂
よりよい社会の実現を目指し、貧困や難病に苦しむ子どもたちのサポート、障害者支援、災害復興支援などの活動を国の内外で行なっている公益財団法人日本財団では、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」を、渋谷区の協力のもと進めています。2020年7月31日にオープンした3つのトイレに始まり、2021年の夏までに[*]、区内の公園など17カ所に設置される予定です。
*完成予定は2022年3月中、スケジュールが変更されている(2021年6月日本財団発表)
「THE TOKYO TOILET」MAP(2021年6月24日版)
「THE TOKYO TOILET」には、国内外で活躍する16人のクリエイターが参画。彼らの優れたデザイン・クリエイティブの力で、インクルーシブな社会のあり方を広く提案・発信することを目的としています。加えて、従来に比べ、清掃をはじめとしたトイレの維持管理を強化することで、訪れた人々に気持ちよく利用してもらい、さらに利用者自身が次の人のためを思う「おもてなし」の心の醸成も目指しています。
清掃員のユニフォームはファッションデザイナーのNIGO®️が監修したもの(画像提供:日本財団、坂茂デザイン「はるのおがわコミュニティパーク公共トイレ」清掃の様子)
日本財団笹川常務理事が「着てかっこいいと思えるユニフォームにしたかった」という清掃員ユニフォーム(画像提供:日本財団、坂茂デザイン「はるのおがわコミュニティパーク公共トイレ」清掃の様子)
上の2枚の写真のトイレを含め、すでに渋谷区内5カ所には、片山正通、坂茂、田村菜穂、槇文彦の各氏がデザインしたトイレがオープン。このほど新たに2カ所、西原一丁目公園トイレ(デザイン:坂倉竹之助氏)が8月31日に竣工。さらに神宮通公園トイレ(デザイン:安藤忠雄氏)も9月上旬に完成します。
【TECTURE MAG】では、9月1日の午前中に行われた、西原一丁目公園(渋谷区西原1-29-1)に完成した公共トイレ〈ANDON〉のメディア向け内覧会を取材。内外観の写真を中心にお伝えします。
西原一丁目公園(渋谷区西原1-29-1)
坂倉竹之助デザイン〈ANDON〉
ブースは3つ、全てオールジェンダートイレ。中央のブースはオストメイトトイレ。
トイレは全てバリアフリーに対応。
向かって右端のトレイブース内観
中央のオストメイトトイレ
画面左側の設備がオストメイトパック
便座に腰掛けたときに見える正面の”景色”
向かって左端のトイレブース(右端のブースと対照的な水まわりの配置)
手すりも完備したユニバーザル仕様
内観 コーナー見上げ(このライン照明が夜間に”ぼんぼり”としての効果を発揮する)
photo: toha
立地は西原1丁目公園の東の端(初台側)
この日はテレビクルーの取材もアリ
坂倉竹之助氏コメント(日本財団プレスリリースより):
従前の西原一丁目トイレは利用頻度が極めて少ない実態があり、近寄りがたい印象すらあります。
一般的なトイレ整備の目標とされる便器数の充足、待ち時間解消といった“数”や“時間”という数値とはまた別の魅力を持たせることでみんなが「利用したいと思う」トイレを創出することが、この敷地では重要と考えます。
限られた敷地に、従前よりも明るく開放的なトイレをもたらすことで、トイレ単体ではなく、この公園全体のイメージを改善することを目指します。
“行燈”としてのトイレが公園を明るく照らし出すことで、誰もが気軽に訪れる公共空間として望ましい姿になることを願っています。
ピクトサインデザイン:佐藤可士和(SAMURAI)
設計コンセプトにあるように、こちらのトイレの特長は、陽が落ち、辺りが暗くなった時間帯にこそ現れます。
photo: toha
photo: toha
photo: toha
photo: toha
photo: toha
立地は京王新線初台駅と幡ヶ谷駅の中間地点。夜になったらわざわざでも足を運びたくなるトイレです。
所在地:東京都渋谷区西原1-29-1 西原1丁目公園(Google Map)
デザイン:坂倉竹之助
ピクトサインデザイン:佐藤可士和(SAMURAI)
レイアウトほか協力:TOTO株式会社
設計・施工:大和ハウス工業
事業主:日本財団(完成した公共トイレは渋谷区に譲渡)
THE TOKYO TOILET 公式ウェブサイト
http://tokyotoilet.jp/