2021年3月15日初掲、2022年3月24日会期延長と画像を追記
クリエイター集団・チームラボが、岡山の旧醤油蔵の地下を改修したギャラリーのこけら落とし展として、新しい感覚でしつらえた茶室「Teamlab: Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」を2021年4月15日より展示中です(2021年3月15日プレスリリース)。
会場となる「福岡醤油ギャラリー」は、醤油蔵として明治時代に建てられた建物。かつては漆黒の液体が貯蔵されていたであろう地下空間は、チームラボによって、黒い水が空間いっぱいに満たされた茶室にしつらえられます。
この茶室で一服の茶を点てると、茶は音色を響かせ、暗闇の中で光を灯します。周囲には、かつてこの空間に貯蔵されていたであろう漆黒の水が広がり、空間全面に広がる黒い水の上をランプは自律しながら浮遊しています。ムラーノガラス(ベネチアングラス)で製作されたランプはそれぞれがさまざまなリズムで明滅し、音色を響かせて輝く茶とランプは、近くの光のリズムに共鳴して、時の経過と共に明滅がそろうこともあればリズミカルに波打つことも。光を帯びた茶とランプとがインタラクティブに共鳴しあう新たなアート作品です。
展覧会コンセプト
旧福岡醤油建物は、明治時代(1868-1912)に建てられ、かつては醤油の製造が行われていた。当時は漆黒の液体が貯蔵されていたであろう地下は、同じように黒い液体に満たされ、四方に無限に広がる茶室となり、茶の時間が続いていく。
一服の茶を点てると、茶は光を灯し、近くの光のリズムと「引き込み現象」を起こしていく。「引き込み現象」とは、異なるリズムが互いに影響を受けてそろっていくこと。壁に掛かった2つの振り子時計の振り子、ホタルの集団発光、心臓細胞の律動など、物理現象、神経生理、生命系や生態系など多様な系で見ることができる。
個々が全体を俯瞰する能力を持たないにも関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象である自己組織化であり、自発的秩序形成とも言える。一方、本来宇宙では、エントロピー(無秩序の度合いを表す物理量)が極大化に向かうとされ(エントロピー増大の法則)、かたちあるものは崩れていくのが摂理だ。しかし、それでもこの宇宙や生命、自然や社会が成り立っているのは、無秩序に向かう中で、自己組織化という共通の現象によって、ひとりでに秩序が生まれているからかもしれないのだ。
『茶の本』(1906)の著者である岡倉天心(1863-1913)は最期の手紙の中で、「私は宇宙と全くうまくやっており、宇宙からこの頃与えられるものに対して感謝、そう大変感謝しております。」と語っている。茶とは、「自他一体の境地」「人間と自然との究極的な合一」を目指した時間だったのかもしれない。
#teamLab YouTube「Teamlab: Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」(2022/11/07)
作品コンセプト:
一服の茶を点てると、茶は音色を響かせ光を灯し、様々なリズムで明滅をはじめる。
茶は持ち上げると音色を響かせ輝き、その茶が本来持っていたリズムに戻ってしまう。そのリズムが、また周囲に新たな影響を与え、引き込み現象を起こしていく。茶を飲みほすと光は消え、周囲に影響を与えなくなる。また、茶は、近くにある「共鳴する浮遊ランプ」とも、引き込み現象を起こす。人々がじっとしていると、時間が経つにつれて、空間に広がる全ての茶とランプは共鳴し、明滅がそろったり、明滅が波打ったりする。
引き込み現象とは、異なるリズムが互いに影響を受けてそろっていくこと。壁に掛かった二つの振り子時計の振り子、ホタルの集団発光、心臓細胞の律動など、物理現象、神経生理、生命系や生態系など多様な系で見られる。個々が、全体を俯瞰する能力を持たないのに関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象である自己組織化であり、自発的秩序形成とも言える。
会期:2021年4月15日(木)〜2022年3月31日(木) 2022年12月25日(金)終了
開館時間:10:00-17:00(最終入場16:30)
休館日:毎週水曜日
会場:福岡醤油ギャラリー(岡山県岡山市北区弓之町17−35 / Google Map)
詳細:http://teatime.teamlab.art
ハッシュタグ:#TeamlabTeaTime #チームラボティータイム