2021年6月21日初掲、8月24日動画シェア
東京・銀座8丁目の資生堂ギャラリーにて、「第八次椿会 このあたらしい世界」が8月29日(日)まで開催されています。
「椿会」は、第2次世界大戦で一時中断していた資生堂ギャラリーの活動を、1947年に再開するにあたり誕生したグループ展です。
資生堂のコーポレートマークである花椿にちなんで名づけられ、アートが人々に希望を与え、勇気をもたらすという信念に基づき、戦争や災害、不況などで世の中が閉塞状況にあるときにも再興を願い、開催されてきました。
誕生から70年以上にわたり、時代とともにメンバーを入れ替えながら、資生堂ギャラリーを代表する展覧会として継続し、これまでに合わせて86名の作家が参加しています。
本年より新しくスタートする第八次椿会のメンバーは、杉戸 洋、中村竜治、Nerhol(ネルホル)、ミヤギフトシ、宮永愛子、目[mé]の6組。ジャンルを超えた活動やコラボレーション、チームでの制作などを行っている、今の時代を代表するアーティストたちです。
資生堂ギャラリーでは、この6組のアーティストたちと共に、今年から2023年までの間に、afterコロナの「あたらしい世界」をテーマに掲げて企画展を開催、人々と一緒に考えていく機会とします。
各年を「2021 触発 / Impetus」、「2022探求 / Quest」、「2023昇華 / Culmination」と位置づけ、プロセスを踏みながら新たな問いを見出し、深めていく作業をおこなっていくとのこと。
2021年のテーマは「触発 / Impetus」。資生堂がこれまでの椿会展で蒐集してきた美術収蔵品から、メンバーが「あたらしい世界」を触発される作品をセレクト。選ばれた収蔵品と、それに対する応えを、メンバー自身の作品や方法でそれぞれ提示することで、収蔵作品に新たな視点を加え、未来へとつなげることを試みます。
第八次椿会メンバー6組プロフィール
杉戸 洋(すぎと ひろし)
1970年愛知県生まれ。1992年、愛知県立芸術大学美術学部日本画科卒業。
小さな家や、空、舟などのシンプルなモチーフを好んで描き、繊細かつリズミカルに配置された色やかたちが特徴。2016年の個展「杉戸洋──こっぱとあまつぶ」(豊田市美術館)では、建築家・青木 淳とコラボレーションして会場を構成。2017年の東京での美術館初個展「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」(東京都美術館)では、前川國男が設計した美術館の展示空間と呼応するような幅15メートルの大作〈module〉(2017)を発表している。武蔵野美術大学美術館で2021年開催の「オムニスカルプチャーズー彫刻となる場所」では、会場構成を担当。
平成29年度(第68回)芸術選奨、文部科学大臣賞受賞。
中村竜治(なかむら りゅうじ)
建築家。1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、青木淳建築計画事務所を経て、2004年中村竜治建築設計事務所を設立。主な作品に〈へちま〉ヒューストン美術館、サンフランシスコ近代美術館収蔵(2010、2012年)、JINS京都寺町通〉(2016年)、〈神戸市役所1号館1階市民ロビー〉(2017年)、〈FormSWISS〉東京・神戸展展示空間(2020、2021年)など。
資生堂との作品に、資生堂ギャラリー〈BEAUTY CROSSING GINZA ~銀座+ラ・モード+資生堂~〉展展示空間(2016年)、原宿〈資生堂ビューティ・スクエア〉店舗空間(2020年)など。
主なグループ展に、「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」東京国立近代美術館(2010年)、「反重力」豊田市美術館(2013年)など。主な受賞に、第6回京都建築賞優秀賞(2018年)、第32回JIA新人賞(2020年)などがある。
Nerhol(ネルホル)
田中義久と飯田竜太の2人からなるアーティストデュオ。
連続撮影をした数百枚のプリントを束ね、彫り込むことで生まれる立体作品を発表後、ポートレイト、街路樹、動物、水、あるいはネット空間にアップされた記録映像など、さまざまなモチーフを選びながら、それらが孕む時間軸さえ歪ませるような作品を制作。そこでは一貫して、私たちの日常生活で見落とされがちな有機物が孕(はら)む多層的な存在態を解き明かすことを試みている。主な個展に、「Interview, Portrait, House and Room」Youngeun Museum of Contemporary Art、韓国(2017)、「Nerhol Promenade/プロムナード」金沢21世紀美術館(2016)など。
2020年VOCA賞受賞。
ミヤギフトシ(みやぎふとし)
1981年、沖縄県生まれ。2005年、ニューヨーク市立大学卒業。現代美術作家としての主な個展に「In Order of Appearance」 miyagiya(2021年)、「How Many Nights」ギャラリー小柳(2017年)、「American Boyfriend: Bodies of Water」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(2014年)など。
2012年にスタートしたプロジェクト「American Boyfriend」では、沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることの関係性などをテーマに、作品制作やトークイベントなどを行なっている。自身のアイデンティティや出身地の沖縄、アメリカ文化など題材とした映像や写真作品だけでなく、小説も執筆して発表。
宮永愛子(みやなが あいこ)
1974年生まれ。京都府京都市出身の現代美術家。
第3回シセイドウアートエッグ出身。京都造形芸術大学美術学部彫刻コース卒業。東京藝術大学大学院美術学部先端芸術表現専攻修了。平成18年度文化庁新進芸術家海外留学制度によりエジンバラ(イギリス)に1年間滞在。第22回五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、同賞により2011年からアメリカを拠点に活動。日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集める。
主な個展「うたかたのかさね」京都市文化博物館(2020年)、「宮永愛子:漕法」高松市美術館(2019年)。2019年度文化庁芸術選奨美術部門新人賞受賞。
目[mé](読み:め)
日本の現代芸術活動チーム。不確かな現実世界を、私たちの実感に引き寄せようとする作品を展開する。
手法やジャンルにはこだわらず、展示空間や観客を含めた状況、導線を重視。創作方法は、現在の中心メンバーであるアーティストの荒神明香、ディレクターの南川憲二、インストーラーの増井宏文の3名それぞれの特徴を活かしたチーム・クリエイションに取り組み、発想、判断、実現における連携の精度や、精神的な創作意識の共有を高める関係を模索しながら活動している。資生堂ギャラリー「たよりない現実、この世界の在りか」(2014) や、「目[mé]宇都宮美術館屋外プロジェクト「おじさんの顔が空に浮かぶ日」(2013-14) 、さいたまトリエンナーレ2016への参加、千葉市美術館『目[mé]非常にはっきりと わからない』(2019)などが話題を呼んだ。
「第八次椿会」では今後、2022年にメンバー同士でのコラボレーションや、異分野の専門家とも交流し、初年に生まれた問いや気づきを「探求」し、そこから生まれる作品を展示する予定。最終年の2023年には、3年間の活動を「昇華」させるような展示も計画されています。
資生堂ギャラリー公式ウェブサイト上に設けられた第八次椿会(ツバキカイ 8)の特設ページでは、展覧会では伝えきれない情報や、プロセス、記録などを掲載。展覧会やウェブサイトを訪れる人たちとのコミュニケーションも図っていく予定です。(en)
#資生堂 公式YouTubeチャンネル「資生堂ギャラリー:中村竜治 インタビュー「第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界」「2021 触発/Impetus」|資生堂」(2021/07/21)
会期:2021年6月5日(土)~8月29日(日)
会場:資生堂ギャラリー
所在地:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階(Google Map)
開廊時間:平日 11:00-19:00 / 日・祝 11:00-18:00
休廊日:月曜(月曜が祝日にあたる場合も休館)
夏期休業期間:8月16日(月)~23日(月)
入場料:無料
主催:資生堂
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大状況により、内容およびスケジュールに一部変更などが生じる場合あり
展覧会詳細
https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/4157/?rt_pr=tri59
「第八次椿会」特設ページ
https://gallery.shiseido.com/jp/tsubaki-kai/