鳥取県中部に位置する倉吉市にて、2022年2月11日に〈鳥取県立美術館〉の建設工事の安全祈願祭と起工式が執り行われました。
同館は、鳥取県教育委員会が2018年7月に定めた鳥取県立美術館整備基本計画に基づき、新たに建設されます。1972年に開館した総合博物館・鳥取県立博物館(鳥取県鳥取市)の美術部門のコレクションと活動を引き継ぎつつ、その機能を拡充する施設となります。
新美術館の整備・運営事業者は、PFI(BTO方式)を採用[*1,2]。プロポーザルで公募され、応募3者の中から、大和リースを代表とする企業グループが2020年1月に選定されています。
意匠設計を担当する槇総合計画事務所を含む、10社からなる同企業グループは、その後、鳥取県立美術館パートナーズ株式会社(特別目的会社 / SPC: Special Purpose Company)を構成。県と一体となり、開館準備が進められてきました。開館は2025年春を目指しています。
*1.PFI: Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)
行政と民間が連携し、公共サービスの提供などを効率的かつ効果的に行うこと(国土交通省資料より)
*2.BTO: Build Transfer and Operate
民間事業者が施設を建設、所有し、運営後公共に所有権を移転する方式(国土交通省資料より)
事業者:鳥取県立美術館パートナーズ
設計:槇総合計画事務所・竹中工務店設計共同企業体
工事監理:槇総合計画事務所
建設:竹中・懸樋・丹青共同企業体
運営:アクティオ、丹青社
維持管理:三菱電機ビルテクノサービス、セコム、富士綜合警備保障、山陰リネンサプライ
全体統括・事業マネジメント:大和リース(代表企業)
鳥取県立美術館パートナーズ 公式facebook
https://www.facebook.com/tottori.moa/
建設地は、倉吉パークスクエアの一角。元は市営ラグビー場だった敷地で、美術館建設地の西側には、市立図書館や交流プラザ、市営プール、県立の複合文化施敷設・倉吉未来中心などが既存。南側には、7世紀に建立された大御堂の廃寺跡地が広がっています。
美術館は3階建て。大きな平屋根を有し、この大屋根の下、建物の中心部に、さまざまな体験が立体的に展開する、美術館の中核となる3層吹き抜けの「ひろま」が据えられます。
「ひろま」は、外周部の「えんがわ」を挟んで大御堂廃寺跡地とつながるとともに、東西の動線も結んで、周囲の既存施設や、豊かな自然環境との連続性も考慮して計画されています。
館内では、従前より拡充された常設展示室や収蔵スペースのほか、県民ギャラリーやワークショップルーム、キッズスペース、南面のカフェやレストランなどの付帯設備も用意されます。
新美術館は、約50年にわたる鳥取県立博物館美術部門のコレクションと活動を引き継ぎながら、とっとりの未来を“つくる”美術館、親しみの持てる、県民とともにつくる美術館として、時代とともに成長を続ける、魅力的なコレクション形成を図ります。
3年後に予定されている美術館の開館へ向け、ティザーサイトも開設され、2018年に策定された美術館整備基本計画の概要から、鳥取県立美術館パートナーズによる提案概要などがオープンになっています。
さらに、槇総合計画事務所 取締役副所長 / 長谷川龍友氏による、2020年時点での設計概要をわかりやすく解説した動画も、鳥取県教育委員会 YouTubeチャンネルにて視聴することができます。
#鳥取県教育委員会 YouTubeチャンネル「【前半・施設整備編】鳥取県立美術館の施設整備・運営の計画」(2020/06/30)
約2年間の設計期間を終え、鳥取県立美術館はいよいよ建設工事へとシフトします。
計画地:鳥取県倉吉市駄経寺町2丁目3-9,12
敷地面積:17,892.12m²
建築面積:5,347.72m²
延床面積:10,598.89m²
最高高さ:21.22m
階数:地上3階
1階:ひろま、県民ギャラリー、ホール、ワークショップルーム、ショップ、カフェレストラン、キッズスペースなど
2階:常設展示室
3階:企画展示室、特別展示コーナー、展望テラス
竣工(予定):2024年3月末
開館(予定):2025年春
〈鳥取県立美術館〉ティザーサイト
https://tottori-moa.jp/