3Dプリンタ住宅メーカーのセレンディクス(兵庫県西宮市)による、3DP住宅〈Sphere〉プロジェクトの続報です。
同社は、世界最先端の住宅「Next House」の実現に3Dプリンタを用いて、かつ、車を買える程度の価格で住宅をつくることを目指しているベンチャー企業です。CGのメインビジュアルのほか、今年1月には、約10m²の3Dプリンタ住宅〈Sphere〉を10棟限定でつくり、300万円で販売する計画を発表しています。
先月、愛知県小牧市にある百年住宅小牧工場の敷地内に、分割して出力した〈Sphere〉のパーツを運び入れ、キッチン・バス・トイレといった住宅として必要な水まわりも備えた、3DP住宅〈Sphere〉のプロトタイプの建設・施工が行われました(施工:百年住宅、楓工務店、ナベジュウ、ルミノシティほか)。
建設・施工は、2月28日から3月1日の3日間にわたって行われました。
荷下ろしに始まり、クレーンを使用した躯体の組み上げ、床のコンクリート流し込み、屋根の設置、窓・ドアの開口部の施工、水まわりと設備・電気工事、外壁塗装に至る完成までを、合計23時間12分で完了しました。
セレンディクスの調べと発表によれば、水まわり設備を備えた3Dプリンタ住宅の完成は、日本国内では初とのこと。
以下は、一連の工事の様子です(提供:セレンディクス)。
今後は施工時間のさらなる短縮を目指し、工程の2/3を占めた外壁の塗装などの仕上げ工程を、3Dプリンタで出力できるように設計を変更し、仕上げ施工箇所のロボット化も進めることを検討しています。3Dプリンタ施工による断熱機構の設計を今年2月に行い、特許も出願中です。
なお、本プロジェクトは、オープンイノベーションで研究開発され、国内外から80社以上が参加。今回の施工では、海外のコンソーシアム参加企業である3Dプリンタメーカー2社と共同し、総重量約20トンの躯体を出力しました。
今回の3DP住宅〈Sphere〉発売は、コンソーシアムとして参加する企業へ向け、グランピング、別荘、災害復興住宅に対応する〈Sphere〉として10棟限定、300万円にて予約販売を行います。一般向け発売は2022年8月を予定しているとのこと。
デザイン:Clouds Architecture Office(曽野正之+オスタップ・ルダケヴィッチ)
設計:日本・米国・オランダ・中国のコンソーシアム企業との共同開発
構造:鉄筋コンクリート造(RC造)
床面積:約10平米
セレンディクス 公式Webサイト
Serendix.com