京都市内を主な会場として、国内外の写真家が多数参加した「KYOTOGRAPHIE / 京都国際写真祭 2022」が5月8日まで開催されています。
メインビジュアル:ギイ・ブルダン作品 © The Guy Bourdin Estate 2022 / Courtesy of Louise Alexander Gallery
「KYOTOGRAPHIE」は、世界に知られた文化都市・京都のまちなかに会場が点在しているのが特徴です。まちを周遊しながら写真作品を鑑賞するというアートイベントは、海外の都市では珍しくありませんが、日本国内ではあまり例がなく、今年で開催10回目を数える「KYOTOGRAPHIE」が先駆的な存在となっています。
ときには伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも行うなど、京都ならではの特色を生かしながら、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大が収束しない中でも、写真祭を継続して開催してきました。
VIDEO
#KYOTOGRAPHIE YouTubeチャンネル「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022 10th Anniversary Special Edition ONE」(2022/03/31)
今年の「KYOTOGRAPHIE」のテーマは「ONE」。
以下のテキストは、2013年に第1回「KYOTOGRAPHIE」を独自に立ち上げ、国内外から作家の招致や出資者の獲得に奔走し、イベントの共同代表を連名で務めている、ルシール・レイボーズ(写真家)と仲西祐介(照明家)による主催者メッセージです。
「一即(すなわち)十」という言葉があります。一が単一性を、十は無限の数を現します。1つのもの(個)がそのものとして、他のすべて(全体)を自らに含みながら他と縁起の関係にある。このとき、この1つのものと他のすべてが同体の関係にある。こういう状態をイメージしてください。
2022年、信じ難いことにこの世界でまた戦争が始まってしまいました。
どんな理由があろうとも戦争は何の解決策にもなり得ません。過去の経験から、日本を含めすべての国民が、個の命が全体(国家)のために失われるべきではないことを知っています。
KYOTOGRAPHIEは、個々の存在をCelebrate(祝祭)すると共に、その多様性について讃えたいと思います。そして皆さんと一緒にRestart (再起動)し、分断された関係性をもう一度Reconnect (再接続)し、コロナ後の新しい平和な世界へ向けてRevival(再生)していきたい、そう考えています。(KYOTOGRAPHIE 共同創設者 / 共同代表 ルシール・レイボーズ & 仲西祐介)
国内外のアーティストの展示を京都市内10カ所で開催
「KYOTOGRAPHIE」では例年、日本および海外において重要な写真作品や、貴重な写真コレクションを見ることができます。それらは、京都の歴史ある町家などの伝統建築や歴史的建造物をリノベーション(コンバージョン)した、近現代建築の空間にて展開されるという、空間と相まった展示手法が見どころでもあります。
展示会場は、ふだんは非公開の場合も多く、「KYOTOGRAPHIE」の開催期間のみ、建物の内部が公開され、入ることができるのも大きな魅力です。
このうち、京都市美術館 別館で開催される、米国を代する写真家の1人であるアーヴィング・ペン(1917-2009)の特別展示の展示空間デザイン(セノグラフィー)を、今春オープンしてより話題の〈大阪中之島美術館〉の設計を手がけた建築家の遠藤克彦氏(遠藤克彦建築研究所)が手がけています。
出展作家は、ギイ・ブルダン(Guy Bourdin)、奈良原一高、アーヴィング・ペン(Irving Penn)、プリンス・ジャスィ(Prince Gyasi)、イサベル・ムニョス(Isabel Muñoz)、田中 泯、山口源兵衛、マイムーナ・ゲレージ(Maïmouna Guerresi)、鷹巣由佳、稲岡亜里子、岩根 愛、岡部 桃、清水はるみ、鈴木麻弓、地蔵ゆかり、殿村任香、林 典子、細倉真弓、𠮷田多麻希、サミュエル・ボレンドルフ(Samuel Bollendorff)ほか。
本稿未掲載の作家情報、各会場の入場料の有無と料金、開場時間、会期中の関連イベントなどの詳細は、公式ウェブサイトを参照してください。
ギイ・ブルダン / Guy Bourdin
「The Absurd and The Sublime」
Presented by CHANEL NEXUS HALL
Curated by インディア・ダルガルカー
共催 :京都府
ギイ・ブルダン「The Absurd and The Sublime」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
ギイ・ブルダン「The Absurd and The Sublime」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
ギイ・ブルダン「The Absurd and The Sublime」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
ギイ・ブルダン「The Absurd and The Sublime」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :京都文化博物館 別館
所在地 :京都府京都市中京区三条高倉(Google Map )
奈良原一高 / Ikko Narahara
「ジャパネスク 〈禅〉」
Supported by LOEWE FOUNDATION
奈良原一高「ジャパネスク〈禅〉」 Supported by LOEWE FOUNDATION 両足院(建仁寺山内) ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
奈良原一高「ジャパネスク〈禅〉」 Supported by LOEWE FOUNDATION 両足院(建仁寺山内)©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
奈良原一高「ジャパネスク〈禅〉」 Supported by LOEWE FOUNDATION 両足院(建仁寺山内)©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
奈良原一高「ジャパネスク〈禅〉」会場 建仁寺山内 両足院 夜間外観
会場 :両足院(建仁寺山内)
所在地 :京都府京都市東山区小松町591(Google Map )
アーヴィング・ペン / Irving Penn
「Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection」
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
Presented by DIOR
From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation
Curated by サイモン・ベーカー
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
「アーヴィング・ペン」展示空間デザイン (セノグラフィー):遠藤克彦建築研究所(設計コンセプト 詳細 )
アーヴィング・ペン会場 模型(提供:遠藤克彦建築研究所)
アーヴィング・ペン会場 模型(提供:遠藤克彦建築研究所)
アーヴィング・ペン会場 模型(提供:遠藤克彦建築研究所)
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
アーヴィング・ペン Irving Penn: Works 1939–2007. Masterpieces from the MEP Collection Presented by DIOR From the collection of MEP, Paris (Maison Européenne de la Photographie) in collaboration with The Irving Penn Foundation 京都市美術館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :京都市美術館 別館
所在地 :京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13(Google Map )
プリンス・ジャスィ / Prince Gyasi
「いろいろ アクラ──キョウト」
Supported by 京都中央信用金庫
共催 :出町桝形形商店街、京都新聞
プリンス・ジャスィ「いろいろ アクラ──キョウト」 出町桝形商店街 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :出町桝形商店街
所在地 :京都府京都市上京区三栄町62(Google Map )
プリンス・ジャスィ「いろのまこと」 Supported by Cheerio Corporation Co., LTD. ASPHODEL ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
所在地 :京都府京都市上京区三栄町62(Google Map )
プリンス・ジャスィ / Prince Gyasi
「いろのまこと」
Supported by Cheerio Corporation Co., LTD
プリンス・ジャスィ「いろいろ アクラ──キョウト」DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :ASPHODEL
所在地 :京都府京都市東山区新地末吉町99-10(Google Map )
イサベル・ムニョス×田中 泯×山口源兵衛
「BORN-ACT-EXIST」
Curated by フランソワ・シュヴァル×KYOTOGRAPHIE
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 外観 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 奥座敷 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
Isabel Muñoz, Untitled. Series Japan, 2017
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 展示作品(本展のために特別に制作された帯) ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 黒蔵 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 黒蔵 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
イサベル・ムニョス×田中泯×山口源兵衛「BORN-ACT-EXIST」 誉田屋源兵衛 黒蔵 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :誉田屋源兵衛 黒蔵、奥座敷(通常非公開)
所在地 :京都府京都市中京区室町通三条下ル 西側(Google Map )
マイムーナ・ゲレージ / Maïmouna Guerresi
「Rûh|Spirito」
共催 :イタリア文化会館-大阪
マイムーナ・ゲレージ「Rûh|Spirito」 Co-organizer: Italian Cultural Institute in Osaka 嶋臺(しまだい)ギャラリー 外観 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
マイムーナ・ゲレージ「Rûh|Spirito」 Co-organizer: Italian Cultural Institute in Osaka 嶋臺(しまだい)ギャラリー ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
マイムーナ・ゲレージ「Rûh|Spirito」 Co-organizer: Italian Cultural Institute in Osaka 嶋臺(しまだい)ギャラリー ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
マイムーナ・ゲレージ「Rûh|Spirito」 Co-organizer: Italian Cultural Institute in Osaka 嶋臺(しまだい)ギャラリー ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :嶋臺(しまだい)ギャラリー
所在地 :京都府京都市中京区御池通東洞院西北角(Google Map )
鷹巣由佳 / Yuka Takasu
「予期せぬ予期」
Presented by Ruinart
Ruinart Japan Award
鷹巣由佳「予期せぬ予期」 Presented by Ruinart y gion ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :y gion
所在地 :京都府京都市東山区弁財天町19 4F(Google Map )
「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」
出展者 (アイウエオ順):稲岡亜里子、岩根 愛、岡部 桃、清水はるみ、鈴木麻弓、地蔵ゆかり、殿村任香、林 典子、細倉真弓、𠮷田多麻希
Supported by KERING’S WOMEN IN MOTION
Curated by ルシール・レイボーズ、仲西祐介、ポリーヌ・ベルマール
「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」 Supported by KERING’S WOMEN IN MOTION , HOSOO GALLERY 殿村任香「焦がれ死に」 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
HOSOO GALLERY 外観 Photo: Naoyuki Ogino
会場 :HOSOO GALLERY
所在地 :京都府京都市中京区柿本町412(Google Map )
サミュエル・ボレンドルフ / Samuel Bollendorff
「人魚の涙」
Supported by agnès b.
京都市上下水道局 共同開催
サミュエル・ボレンドルフ「人魚の涙」 Supported by agnès b. 京都市上下水道局 共同開催 琵琶湖疏水記念館、蹴上インクライン ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
サミュエル・ボレンドルフ「人魚の涙」 Supported by agnès b. 京都市上下水道局 共同開催 琵琶湖疏水記念館、蹴上インクライン ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
サミュエル・ボレンドルフ「人魚の涙」 Supported by agnès b. 京都市上下水道局 共同開催 琵琶湖疏水記念館、蹴上インクライン ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :琵琶湖疏水記念館、蹴上インクライン
所在地:京都府京都市左京区南禅寺草川町17 琵琶湖疏水記念館 (Google Map )/ 蹴上インクライン(Google Map )
世界報道写真展 / World Press Photo
「世界報道写真展「民衆の力」─1957年から現在までの抗議行動のドキュメント」
世界報道写真展「民衆の力」─1957 年から現在までの抗議活動のドキュメント With the support of the Embassy of the Kingdom of the Netherlands 堀川御池ギャラリー ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2022
会場 :堀川御池ギャラリー
所在地 :京都府京都市中京区押油小路町37(Google Map )
VIDEO
#KYOTOGRAPHIE YouTubeチャンネル「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022 “ONE” 10th Anniversary Special Edition」(2022/04/20)
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022」
会期 :2022年4月9日(土)〜5月8日(日)
会場 :京都文化博物館 別館、京都市美術館 別館、出町桝形商店街、DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space、ASPHODEL、誉田屋源兵衛 黒蔵・奥座敷、嶋䑓ギャラリー、琵琶湖疏水記念館・蹴上インクライン、y gion、両足院(建仁寺山内)、HOSOO GALLERY、堀川御池ギャラリー
インフォメーションセンター :八竹庵(旧川崎家住宅)
所在地 :京都府京都市中京区三条町340(GoogleMap )
主催 :一般社団法人KYOTOGRAPHIE
共催 :京都市、京都市教育委員会
後援 :京都府、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」公式ウェブサイト
https://www.kyotographie.jp/
KYOTOGRAPHIE 公式Twitter
https://twitter.com/kyotographie_
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のサテライトイベントとして、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的としたアートプロジェクト「KG+」も、会期をほぼ同じくして京都市内にて開催中です。
国際的に活躍する写真家やアーティスト、国内外のキュレーター、ギャラリストとの出会いの場と、情報発信の機会を提供しています。
「KG+SELECT」では、国際的に活躍する審査委員会によって選出された、約10組のアーティストを紹介。出展者の中からグランプリが1組選出され、来年開催される「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」のオフィシャルプログラムとして、展覧会が開催される予定です。
「KG+」公式ウェブサイト
https://www.kyotographie.jp/kgplus/