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スキーマ建築計画とコスモスモアが築60年のビルをリノベーション、リクルートの新オフィスが東京・九段下に完成

BUSINESS2021.09.03

建築家の長坂 常氏が率いるスキーマ建築計画と、コスモスモアが設計を担当し、東京・九段下に新設された株式会社リクルートのオフィスの概要が公開されました。

「KUDANZAKA PORT PARK」として立ち上げられた新オフィス・プロジェクトによる取り組みや、具現化された空間デザインが、国内のデザイン賞を受賞したことを受け、建物の設計・施工・PM(プロジェクトマネジメント)を担当した、株式会社コスモスモアがプレスリリースを発表したものです(2021年8月30日)。

「KUDANZAKA PORT PARK」は、大学としても使われていた築60年の歴史ある既存ビル(東西南北+中央棟の計5棟)を、最新の技術を取り入れた現代のオフィスへと改修したプロジェクト。これからのワーク・プレイスの在り方と、人々のこれからの働き方を提示したオフィスは2021年3月に工事を完了し、5月中に100%稼働を開始しています。

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

1階 メインエントランス

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

1階 メインエントランス / 既存建物の歴史性が感じられる

プロジェクトの背景
リクルートでは、完全子会社の吸収合併など組織再編を控えていた2019年12月に、新しい働き方への創造をテーマに、新しいオフィス・プロジェクトを始動した。ワーカーの増員対応や賃料の効率化などの経営課題に対し、築60年の大規模ビルを賃借し、リノベーションを行うという解決策を打ち出す。
サイトとなる築古ビルは、奇しくもリクルート設立と同じ1960年の竣工で、計5棟からなる、延べ11,567平米の建物。築60年のビルならではの建築・空間としての良さと、最新のテクノロジーを組み合わせた、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の12番目の目標である「つくる責任、つかう責任」に挑戦した。
働く環境が目まぐるしく変わる昨今において、次の変化に対応する柔軟さを残しながら、1,500人のワーカーが「安心安全に集い、快適に働くことができる」オフィスを目指した。

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

メインエントランス 見下ろし

「リクルート 九段下 新オフィス」概要
所在地:東京都千代田区九段北1丁目14-6 九段坂上KSビル
既存建物竣工年:1960年
規模(計5棟):地上7階 / 地下2階 / 塔屋2階
構造種別:北・西・南棟 鉄筋コンクリート造、中央棟・東棟 鉄骨造
設計:スキーマ建築計画(1-2階、7階什器)、コスモスモア(3-7階)
サインデザイン:village®️
施工・PM:株式会社コスモスモア
事業主:株式会社リクルート

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

西棟 1階 タッチダウンエリア

今回の移転プロジェクトでは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)への予防策などを考慮し、これからの新しいオフィスのスタンダードとなるべく、以下4つの施策をたて、各フロアの各所で具現化しています。

1.SDGsへの貢献
2.タッチレス操作の導入
3.ワーカーの活力を養うウェルビーイング拠点
4.チームでのABW
[*]
*ABW:Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略。ワーカーそれぞれにとって最適な場所を自分で選んで働くワークスタイルの意

1.SDGsへの貢献
間仕切りを排除し、可動式パーティション(間仕切り)やカーテンで部屋をゾーニング。床から天井までの密閉された壁を排除することで、将来のレイアウト変更や移転にも柔軟に対応ができ、工事により発生する資材や廃棄物の最小化をはかった。OAフロアを敷設しないことで、オフィス構築時に使用する資材の削減にもつなげている。
電源はフラットケーブル、モバイルバッテリーを採用。充電する場所にとらわれず、身軽にどこでも働くことができる。

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

南棟 2階 ジョインエリア / 可動式間仕切りは障子のようなデザイン

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

西棟 3階 ミーティングエリア / 密閉空間を設けず、感染症対策に努める

2.タッチレス操作の導入
かつてないほど「触ること」に敏感になった社会的な背景を踏まえ、タッチレスエレベーター操作盤、タッチレス照明操作盤、タッチレス扉開閉ボタンなどを採用し、オフィス内で物に触れる機会を88.13%削減した。ワーカーが安心して集い、働ける感染症対策と、利便性の向上を実現。

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

タッチレスボタンを採用したエレベーター

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

タッチレスで操作できる照明照度などの切り替え

3.ワーカーの活力を養うウェルビーイング拠点
リモートワークが続く従業員の精神面および肉体面のケアの一環として、ウェルビーイングを計画。自然あふれる建物の立地を生かし、九段下の豊かな緑を感じながら仕事ができるよう、ワーカーを窓際に配置するレイアウトとした。
5棟のうちの1つ、中央棟には、コンビニやリフレッシュエリアなど人が集まる場を設け、オフィス内の巡回や歩行を積極的に促す。また、皇居にも近い立地を生かして、ランニングなどの運動を行うワーカーのために、シャワー付きのランニングステーションを1階に設置した。

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

1階 ランニングステーション / 壁には周辺の推薦コースが描かれている

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

中央棟 2階 コンビニ・イートインスペース

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

3階 エンガワスペース / 周囲の緑を借景として取り込んだ

4.チームでのABW
リモートワークが日常となりつつあるなかで、希薄となる人間関係において”つながり”を再構築するために、コミュニケーションの場を創出。チームとして働きやすいスペースを複数用意した。
・少人数で活発に意見を出し合えるブレストゾーン
・チームのサイズや活動シーンに応じて多様に使えるスペース
・5人以上のグループ枠に最適な障子のような可動式間仕切りのあるミーティングルーム
・二人で集中して作業ができるハイフォーカスルーム
・導線から外れた場所に気分転換ができるラウンジエリア

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

西棟 2階 ワークスペース / 簡易式の間仕切りを別途用意し、フリーな空間に

リクルート新オフィスプロジェクト「KUDANZAKA PORT PARK」

西棟 5階 ブレストゾーン
空間を仕切ることも可能なオリジナルのホワイトボードのデザイン:スキーマ建築計画

これらの空間デザインが評価され、リクルートの新社屋は、快適で機能的なオフィスを表彰する第34回「日経ニューオフィス賞」を受賞しています。(en)

「日経ニューオフィス賞」
共催:一般財団法人ニューオフィス推進協会、日本経済新聞社
https://www.nopa.or.jp/prize/

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