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刈谷市にてスマートシティ実証実験へ

トヨタグループ6社と病院ほか市と愛知県も連携

BUSINESS2022.02.01

愛知県は、2022年1月31日に行なった知事会見にて、同県刈谷市をモデルとして進めている「刈谷スマートシティ研究会」での検討結果として、30項目に及ぶプロジェクトのアイデアを発表。いくつかの実証実験に入ることを明らかにしました。

同研究会は、県と刈谷市が共同で開催しているもので、企業と連携したスマートシティ化を進めるための研究会です。トヨタグループをはじめとする13企業・団体から成り、構成は以下の通りです(50音順、株式会社は略)。

刈谷スマートシティ研究会 構成

トヨタグループ:アイシン、ジェイテクト、デンソー、トヨタ車体、豊田自動織機、トヨタ紡織
鉄道事業者:東海旅客鉄道(JR東海)、名古屋鉄道
通信事業者:NTTドコモ、西日本電信電話
病院:刈谷豊田総合病院
行政:愛知県、刈谷市

刈谷市をサイトとしている理由として、最先端の技術力を持つトヨタグループ6社の本社・開発拠点が集積していることに加え、名古屋駅、金山駅に次ぐ利用者数がある刈谷駅の改良工事や、駅周辺の再開発などが進み、地域の中核的な病院である刈谷豊田総合病院を有するなど、スマートシティに取り組む条件と要素を備えていることが挙げられています。
なお、市の人口は152,616人、高齢化率は20.4%(2021年、全国29.1%)となっています。

急速な高齢化や環境問題など、自治体が抱えるさまざまな課題の解決につながる「スマートシティ」の実現が、これからのまちづくりの重要なテーマと位置づけ、県も後押しする構えです。
研究会では、刈谷市の課題を大きく4つにまとめ、「モビリティ」「エネルギーマネジメント」「医療」「通信・データ」のワーキングチームを設置し、実証実験プロジェクトなどアイデアの検討を行なったとのこと。

このほど発表された、先端技術とアプリなどの製品を活用したアイデアは30項目。昨今流行のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)への対応措置も見られます。
このうち、以下のプロジェクトに関して、開始時期は未定ですが、先行して実証実験などを進め、具体的に検討していくとのこと。

1.モビリティ
・企業社員送迎バスの共同運行と新技術・水素バス(FCV)の技術検証
・MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)によるシームレスな交通環境の整備
・温室効果ガス排出量の少ない超小型電気自動車の活用検討
・乗車時に乗客の属性推定を行ない、車両の位置情報や乗員の属性情報にあわせた地域コンテンツを車内で配信
・AI車両認証システムなどを活用した渋滞状況の「見える化」

2.エネルギーマネジメント
・再生可能エネルギーとエネルギーマネジメントの相互活用
・災害発生時の避難所への電力供給
・家庭用燃料電池(エネファーム)の発電を遠隔制御、需給バランスを調整
・エネルギーマネジメントのプラットフォーム構築

3.医療
・トヨタグループ海外赴任社員と家族が安心に受診できるシステム整備
・AI問診による適正診療の支援
・福祉車両のシェアリングサービス
・公共交通車両を活用した病院のオンライン受付
・ICタグによる病院の自動受付
・喫食データを活用した健康増進
・アプリなどを活用したスマートヘルスケア

4.通信・データ
・刈谷市情報配信アプリ「あいかり」へのIoT情報集約による一元的な情報配信
・ICT(Information and Communication Technology)と5Gを活用した新たなスポーツ観戦スタイルの実証実験
・人流解析による混雑緩和
・刈谷駅と周辺にてデジタルサイネージなどを使った情報発信
・データ活用のプラットフォーム設計
・公共交通を活用した「3次元都市モデル」更新技術に関する実証事業

詳細・愛知県発表(2022年1月31日)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kikaku/kariya-smartcity.htmlz

トヨタ自動車では、静岡県裾野市内にてビャルケ・インゲルス / BIGが手がけるトヨタの実証都市「Woven City」の開発も進めており、あわせて今後の進捗が注目されます。(en)

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