東急不動産は、東京・代官山町にて推進している新たな複合施設「(仮称)代官山町プロジェクト」の新築工事に着工したことを発表しました。建物は地上10階+地下2階の規模で、基本設計を隈研吾建築都市設計事務所、実施設計を竹中工務店と東急設計コンサルタントが共同で担当します。
計画地は、代官山駅の至近。八幡通りと代官山通りに面する、フラッグシップ性のあるエリア。敷地面積約4,084m²のサイトに、賃貸住宅、オフィス、商業施設で構成される複合施設が計画されています。
デザイン設計者・隈研吾氏コメント(以下、東急不動産プレスリリース原文ママ):
コロナは、建築と都市の歴史にとって大きな転換、折り返しポイントになるであろう。
コロナ以前の建築のテーマは「集中」であった。都心部に集中させることが効率的であり、幸福であると考えられていた。コロナのあと、われわれは都市の様々な活動を分散、多様な存在へと作り変えていかなければならない。『代官山町プロジェクト』はそのような新しい試みの1つのモデルとなるであろう。そこで、われわれは集中の時代の単調な箱にかわる、新しい自由でやわらかな建築を提案しようと考えた。
代官山は様々な意味でそのような自由な建築をつくるために最適な場所である。
まず、多様な地形を持ち、丘があり、川があり、それによって風の流れ、光の射し方も複雑で豊かである。
この地は利便でありながら「集中の時代」の退屈な都市とは異なる豊かな自然がそこかしこに生きているのである。そのうえ、新しい自由な街を追求する、様々な試みがつくられてきた「街の実験場」であり「集合住宅の聖地」でもある。
戦前の実験的集合住宅の傑作、同潤会代官山のヒューマンなコミュニティに魅せられて僕は学生時代からその食堂や共同浴場を愛用していた。ストリート型集合住宅の原型を作ったといわれる槇文彦先生のヒルサイドテラスも僕の大事なデートコースであった。
そんな代官山の自然と伝統に助けられ、教えられてわれわれは新しいチャレンジをこの地に刻みたいと考えている。
『代官山町プロジェクト』は「集中の時代」の大きくて閉じた箱に換わり、様々なプロポーションの小さな木箱を積み上げようと考えた。木箱の多様性は街の自由とサステナビリティを象徴する。木箱と木箱の間には緑が植えられ、木箱のやさしいテクスチャーと緑が響きあって、街の緑につながっていく。その真ん中に空とつながるアトリウムを設けた。そのアトリウムから駅へとつながる路地がのび、木箱は空とつながるだけではなく、街とも結ばれ、木箱の生活は代官山の街の活動の一部となるであろう。われわれのデザインと街のシンボルが響きあって新しい時代の新しい生活が始まるだろう。
東急不動産では、渋谷駅を中心とするエリア一帯を「広域渋谷圏」と定め、都市開発の重点拠点として位置付けています。
再開発の続く渋谷駅周辺は、若者だけでなく大人も楽しめる街に進化し、新たなビジネスやサービスの実験の場としても発展し続けています。この渋谷から徒歩圏内の代官山は、都心ながら緑豊かで心地よい街並みが続く、良好な住環境を持つエリアです。
また、代官山は広域渋谷圏の中でも独特の存在感と個性を放ち、にぎわいと落ち着いた雰囲気がバランスよく共存しながらも、時代に合わせた変化を柔軟に受け入れてきた街でもあります。
この街だからこそ実現する、「暮らす」「働く」「遊ぶ」の異なるシーンがシームレスに融合する、広域・渋谷圏での新たな暮らしのかたちを提案するとのことです。(en)
※本稿のビジュアルは全て東急不動産プレスリリース(2021年5月17日)より
https://www.tokyu-land.co.jp/news/2021/001272.html
住所:東京都渋谷区代官山町119番他
敷地面積:約4,084m²
用途:賃貸住宅、店舗、事務所、駐車場など
延床面積:約21,875m²
構造規模:鉄筋コンクリート造 地上10階+地下2階
基本設計:隈研吾建築都市設計事務所
実施設計:竹中工務店・東急設計コンサルタント 共同企業体
施工:竹中工務店
竣工(予定):2023年秋
詳細(東急不動産 2021年5月17日プレスリリース)
https://www.tokyu-land.co.jp/news/2021/001272.html