CULTURE

再生建築研究所による地域活性化型ホテルが別府に開業

アマネクホテルの新築+既存改修+商業店舗のリノベーションで地域全体の再生を目指す

CULTURE2022.01.31

2022年1月31日初掲、2月1日関係各社を追記

大分県別府市に、新築14階建ての地域活性化型リゾートホテル〈アマネク別府ゆらり〉と、同施設に隣接する既存ビジネスホテル〈アマネクイン別府〉がそれぞれ2021年12月に開業しました。
両施設の設計を、再生建築研究所(代表取締役:神本豊秋)が基本設計と設計監修を手掛けています(1月27日プレスリリース)。

アマネク別府

両アマネクホテルは、滞在中の行為が施設内で完結するような従来型のリゾートホテルとは異なり、周辺エリアを楽しむ起点となるよう計画された、地域活性化型ホテルです。
再生建築という手法で社会の仕組みづくりを行っている再生建築研究所では、この2つのホテルのともに、周辺の商店街店舗の再生も複数件手掛けており、エリア全体での価値向上と地域活性化を目指したとのこと。

アマネク別府

コンセプトイメージ:左の図は施設内で滞在中の行為が完結する従来型のリゾートホテル、右が周辺のコンテンツを楽しむ起点となる今回のような「地域活性化型ホテル」

別府エリア再生プロジェクトについて

本プロジェクトのサイトは、JR別府駅の東側、徒歩3分圏内。周りは、明治、大正期の建築物と現代の建物が同居する、レトロな雰囲気がある別府の温泉街です。
新築の〈アマネク別府ゆらり〉は、このパッチワークのような別府の街並みからインスピレーションを得たデザインになっています。

アマネクイン別府

左側が〈アマネク別府ゆらり〉、右奥が〈アマネクイン別府〉のエントランス ©︎Anna Nagai

再生建築研究所では今回、「ホテルを拠点に地域が活性化していく場を生み出したい」という事業主からの依頼を受け、既存商店街やコミュニティが衰退することなく、地域が活性化していくようなホテルおよびエリア全体の再生計画を提案。周りのまちを含めて楽しんでもらるよう、あえて夕食を提供しないというホテルの既存プログラム[※1]に合わせて、行動の起点となる新築のホテル〈アマネク別府ゆらり〉の基本設計と設計監修、隣接するビジネスホテルを改修した〈アマネクイン別府〉の設計、さらには飲食テナントとなる予定の商店街の既存店舗のリノベーション、この3つのプロジェクトをまとめて担当しています。

※1.HEYAZUKE(ヘヤヅケ):客室のカードキーを使用して、ホテル宿泊者が別府の街の飲食店で支払いができるサービス。街全体を「ホテルの付帯施設」と捉え、街めぐりを楽しんでもらうためのシステム

新築ホテル〈アマネク別府ゆらり〉

アマネク別府ゆらり

〈アマネク別府ゆらり〉では南北に通り抜けが可能 ©︎Anna Nagai

アマネク別府ゆらり

〈アマネク別府ゆらり〉エントランス・ロビー ©︎Anna Nagai

14階建ての新築物件。
3面接道と広い敷地を活かし、低層部では、別府の街並と一体感のある外観デザインとした。
エントランス・ロビーは、吹き抜け空間。上層の意匠では、軽やかな鉄骨格子の構造体に、別府の伝統工芸の1つ、竹細工を想起させる木格子をあわせた。
客室数は191室で全8タイプを用意。インテリアには天然木を用いて、和のぬくもりを感じられる落ち着いたデザインに。一部の客室には、源泉かけ流しの半露天風呂またはビューバスを備え、シンプルながらも高級感溢れるデザインを意識した。
最上階にはサウナ付大浴場、屋上には水着着用の温泉インフィニティプールも設けている。

アマネク別府ゆらり

〈アマネク別府ゆらり〉客室 ©︎Anna Nagai

アマネク別府ゆらり

別府の街が一望できる屋上の温泉インフィニティプール ©︎Anna Nagai

アマネク別府

名称:アマネク別府ゆらり
用途:ホテル
工事種:新築
所在地:大分県別府市駅前本町6-35(Google Map
敷地面積:3,018.19m²
延床面積:9,284.71m²
構造:鉄筋コンクリート造(高層棟)、鉄骨造(低層棟)
規模:地上14階建
客室数:191室(全8タイプ / 20〜52m²)
事業・運営主体:アマネク
基本設計・設計監修:再生建築研究所
設計・施工:和田組
低層部構造設計:円酒構造設計
照明:ソラアソシエイツ
ランドスケープ:ソラアソシエイツ
客室インテリアデザイン・ホテルコンサル:to-ripplle
サインデザイン:田中義久、山田悠太郎
環境解析:谷口景一朗
音楽制作:Vegetable Record


ホテル改修〈アマネクイン別府〉

アマネクイン別府

既存改修のホテル〈アマネクイン別府〉エントランス ©︎Anna Nagai

本館となる〈アマネク別府ゆらり〉の隣地に建つビジネスホテルを改修し、再生した。本館の開発工事とあわせて、敷地割の変更からデザインを行い、周辺の公園や商店街、新築の本館とをゆるやかにつなげるよう、低層部をデザインした。
1階にはコワーキングスペース、ランドリー、2階にはライブラリーとエステサロンを設け、本館も含めて宿泊者は誰でも使える場所としている。

アマネクイン別府

〈アマネクイン別府〉1階 受付兼コワーキングスペース ©︎Anna Nagai ©︎Anna Nagai

アマネクイン別府

2階ライブラリースペース(宿泊者専用) ©︎Anna Nagai

名称:アマネクイン別府
用途:ホテル、コワーキングスペース
工事種:リノベーション
所在地:大分県別府市駅前本町6-28(Google Map
敷地面積:476.85m²
延床面積:1,377.97m²
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地上10階建
客室数:64室
事業・運営主体:アマネク
設計・監理:再生建築研究所
施工:ベネフィットライン
照明設計:岡安泉照明設計事務所
設備設計:AES設計
サインデザイン:田中義久、山田悠太郎
音楽制作:Vegetable Record

AMANEK YULA-RE / AMANEK Inn 公式ウェブサイト
https://amanekhotels.jp/beppu/


商店街店舗(旧エルザ)再生プロジェクト

商店街店舗(旧エルザ)再生プロジェクト

商店街の店舗(旧エルザ)をリノベーション(一期工事改修後の前面ファサード) ©︎Anna Nagai

改修設計:再生建築研究所
構造コンサルタント:円酒構造設計

商店街に建つ洋服店として使われていた建物(旧エルザ)を改修し、地域の交流が生まれる拠点として再生させるプロジェクト。

ホテル事業主が購入した建物を、段階的に施工して、1期工事ではホテルの開業準備室として利用するため、構造補強と内外装の改修工事を施した。テナント工事は2期工事にて実施。竣工後は、一時的に地域のギャラリーとして開放され、その後に飲食テナントが入居する予定。
街を訪れた人が楽しめる地域の飲食店として機能し、新たな賑わいが生まれることを目指している。

商店街店舗(旧エルザ)再生プロジェクト

竣工後内観。地域のギャラリーとして公開した時の様子

再生建築研究所 公式ウェブサイト
https://www.saiseikenchiku.co.jp/

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