CULTURE

2025年大阪・関西万博〈オランダ パビリオン〉概要

クリーンエネルギーの幕開けを"太陽"と"水"で表現したデザイン

CULTURE2023.06.11

開催まであと672日。
2025年4月13日より、大阪市内で開催される日本国際博覧会(2025年大阪・関西万博)に関する続報です。

2022年6月に公式参加が発表されている、オランダ王国(以下、オランダと略)のパビリオンのデザインが先ごろ発表されました(オランダ政府外務省 2023年6月5日発表)。
同日に大阪市内で行われた記者発表では、模型も披露されています(上の画)。

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン

オランダパビリオン 外観イメージ Copyright Plomp

オランダパビリオンが掲げるテーマは「Common Ground: Creating a new dawn together(コモン グラウンド:新たな幕開けの共創)」。燃焼によってガスを排出する石油などの化石燃料に替わるクリーンエネルギーとして、水(Water)から水素などを取り出し、再生可能エネルギーとして生成する最新技術などが提示される予定です。

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン

オランダパビリオン イメージスケッチ Copyright AND BV – Netherlands Pavilion Osaka Kansai Expo 2025

このテーマに基づき、パビリオンのファサードと屋根には、水をモチーフとしたデザインを採用。さらに、建物の中心部には、ライジング・サンをモチーフにした巨大な球体(人工太陽)が象徴的に据えられます。無限のクリーンエネルギーがもたらす未来、新たな幕開けをイメージしたデザインです。

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン

Copyright Plomp

パビリオンのデザインは、同国の首都・アムステルダムにてトーマス・ラウ(Thomas Rau)氏が1992年に設立した建築デザイン事務所・RAUが担当。サーキュラーエコノミーシステムにおけるアクティブな要素として建築を捉え、環境に配慮した建築設計およびデザインを追求し、エネルギーポジティブ(必要なエネルギー消費を最小限に抑え、クリーンエネルギーの生産を最大限に増やす)な建築を手がけて受賞も多数ある、循環型建築の領域におけるパイオニア的存在です。

RAU Architects Website
https://anewdawn.rau.eu/

オランダパビリオンは、オランダと日本の複数の企業によるコンソーシアム(共同事業体)「A New Down」により設計・施工されます。RAUのほか、応用物理学を事業領域とするオランダの独立系コンサルタント会社・DGMR、体験型デザインスタジオ・Tellart、日本側の共同者として淺沼組の計4社がクレジットされています(駐日オランダ王国大使館 2023年3月17日発表)。

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン

Copyright Plomp

さらに、オランダパビリオンは、解体して再び組み立てられるように設計されているのも特徴です。使用部材の再利用も視野に入れており、全ての資材は、オランダをはじめ欧州各国に拠点を構える、マテリアルとプロダクト情報のプラットフォーム「Madaster(マダスター)」上の「マテリアル パスポート」に登録されるとのこと(詳細)。

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン

Copyright Plomp

リーシェ・シュライネマッハ対外貿易開発協力大臣コメント
「ロシアとウクライナの戦争により、エネルギー供給における安全性は、各国にとって優先度の高い課題となりました。クリーンな再生可能エネルギーをすべての人が利用できるようにすることは、持続可能な社会と経済の実現のためのキー(鍵)となっています。2025年大阪・関西万博におけるオランダパビリオンで、わが国が提供できる革新的なソリューションを提示し、サステナブルの推進によって実現されるゼロエミッションな未来の可能性について、ダッチデザイン(Dutch Design)によって来場者に伝えられることを誇りに思います。」

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン 模型

6月5日の記者発表で披露されたオランダパビリオンの模型 提供:駐日オランダ王国大使館

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン 模型

提供:駐日オランダ王国大使館

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン 模型

提供:駐日オランダ王国大使館

2025年大阪・関西万博 オランダパビリオン 模型

提供:駐日オランダ王国大使館


#オランダ政府YouTubeチャンネル「Video NL Pavilion World Expo 2025 Osaka Kansai, Japan: A New Dawn on Common Ground」(2023/06/06)


#オランダ政府YouTubeチャンネル「Video Common Ground, Expo 2025 Osaka Kansai」(2023/06/06)

オランダパビリオン(Netherlands Pavilion)詳細 / コンソーシアム各社プロフィール
https://nlplatform.com/osaka-expo/about-Netherlands-Pavilion

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

2025年大阪・関西万博 まとめ記事

FEATURE2022.07.18

「2025年大阪・関西万博」カウントダウン!

注目のパビリオンなど建築・デザインの最新情報まとめ、随時更新

2025年大阪・関西万博 注目のパビリオン

CULTURE2023.03.09

リード アーキテクトは永山祐子氏、ドバイ万博日本館で手がけたファサード資材をリユース・再構築するサステナブル建築

2025年大阪・関西万博〈ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier〉概要
CULTURE2023.03.25

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉概要

大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」を採用して夏季の空調負荷を抑制
CULTURE2023.06.17

2025年大阪・関西万博〈スイス パビリオン〉概要

ETFE膜構造の最軽量パビリオン、エコロジカルフットプリント(資源消費)も最小で建設
CULTURE2023.06.18

2025年大阪・関西万博〈チェコ パビリオン〉概要

Aproposがデザイン、キノアーキテクツが日本側設計者として参画
CULTURE2023.08.26

坂茂建築設計、紙・竹・炭素繊維を用いた“廃棄物ゼロ建築”で海洋問題を啓発

大阪・関西万博 民間パビリオン〈ブルーオーシャンドーム〉概要
CULTURE2023.10.19

高松伸が民間パビリオンを設計、細尾の西陣織を纏った外装に

飯田グループHDと大阪公立大学が2025年大阪・関西万博出展概要を発表
CULTURE2023.11.12

マリオ・クチネッラが設計する大阪・関西万博パビリオン

広場・劇場・庭園を内包した"イタリア・ルネサンスの理想都市"がパビリオンとして出現
CULTURE2023.11.30

大阪に現れるサウジアラビアの街を感じる空間

フォスター アンド パートナーズによる 2025年大阪・関西万博の〈サウジアラビア王国パビリオン〉

ドバイ万博 オランダパビリオン

CULTURE2021.12.21

オランダパビリオン / V8アーキテクツ

【ドバイ万博】水やエネルギー、食料が循環する独自の気候システムをもつパビリオン

オランダ(Netherland)建築・デザイン TOPICS

PROJECT2020.07.02

Feyenoord Stadium / OMA

都市の公共空間としての役割を回復するフットボールスタジアム
CULTURE2022.09.28

解体・再構築が容易なモジュール式木造パビリオン

DP6アーキテクチャスタジオが手がけた サーキュラーエコノミーの理念を反映した建築〈ナチュラルパビリオン〉
CULTURE2022.11.07

川に浮かびエネルギーを自給自足するオフィスビル

パワーハウス・カンパニーが設計した カーボンニュートラルを実現する〈フローティングオフィス・ロッテルダム〉
CULTURE2023.04.05

美しい運河に浮かぶ CLT × コルクの水上住宅

デザインから完成まで一貫したデジタルワークフローを採用した Studio RAPによる〈ザ・フロート〉
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ