CULTURE

芦沢啓治建築設計事務所が設計した〈dotcom coffee 浅草橋〉がオープン

[Report]公園に面した立地での“心から落ち着くカフェ”

CULTURE2024.04.20

東京・浅草橋駅と新御徒町駅の中間にある台東区立柳北公園に面したビルが改装され、〈dotcom coffee 浅草橋〉が4月11日にオープンしました。

2019年にオープンした原宿〈dotcom space Tokyo〉の系列店として、スペシャリティコーヒーに特化したカフェで、dotcom(本拠地:中国・北京)による日本で2番目の店舗となります。同店を設計したのは、〈dotcom space Tokyo〉と同じく芦沢啓治建築設計事務所です。

dotcom space Tokyo / 芦沢啓治建築設計事務所

TECTURE MAGでは、オープン前日に行われたプレスツアーに参加。その様子を合わせてレポートします。

Photograph: Tomooki Kengaku、dotcom coffee 特記以外の写真=TECTURE MAG

〈dotcom coffee 浅草橋〉設計コンセプト

問屋街なども軒を連ね、東京の下町情緒があふれる浅草橋。この度私たちが長年の文京区小石川から移転した新事務所の1階に入るdotcom coffeeは、2019年に内装設計を手掛けたdotcom space Tokyoの系列店としてスペシャルティコーヒーに特化するカフェである。

目の前には桜の木がシンボルの公園や学校があり、オフィス街と下町が共存する住宅街の一角に建つ築55年のRC造のビルの1階は、既存の柱や梁を活かしてゾーニングを行った。正面の大きな3枚割りの扉から入った公園に面するエリアを客席とし、奥にはアイコニックなコーヒーマシーンが並ぶ大きなカウンターがお客様を出迎える。

横長のフレーム窓に沿うベンチにサイドテーブルを配し1〜2人がゆったりと過ごせる席をはじめ、大家族のダイニングテーブルのような印象を与えるギャザリングテーブルは少人数から大人数まで程よい距離感で会話を楽しめ、既存の梁によるニッチな空間はゆったりと過ごせるソファ席とした。また、向かいの公園にスタッキングベンチを持っていき、犬の散歩の休憩や即席ピクニックのような楽しみ方もでき、多様な過ごし方ができるカフェとなっている。

あたたかく落ち着いた印象と同時に街とのエネルギーが行き交う空間とすべく、壁は黄味の左官で仕上げ、扉や家具はオーク材で統一し、壁面の腰高までの木リブパネルで空間にリズムを作っている。合わせて、照明や取っ手の金具は鉄を銅色に塗装し、仕上げの種類も色を最低限に絞ることであたたかみとともにすっきりとした印象を与える。

各エリアの過ごし方に合わせた壁沿いのベンチには吹きガラスによるシェードを用いたペンダント照明、ギャザリングテーブルの上には直接光源が見えない和紙の照明、ニッチのソファの空間の壁にはサギングという工法を利用したコンタクトレンズのようなパラボラ状のガラス照明は、すべてこのカフェのための特注である。1Fは石巻工房の家具を配し、このブランドならではのフォルムが空間に親しみをもたらし、石巻工房とコラボしたDynaudioのスピーカーからの音色は心地よさを誘う。

竣工した春に2枚の扉を開いたカフェの空間は開放感に溢れ、歴史や文化が混ざり合ったこの浅草橋エリアの住民に愛されるカフェとなるとともに、このエリアへ足を運ぶきっかけとなるカフェにもなれば嬉しく思う。

 

さまざまな年代の人が集い過ごす公園に面したビルの1階にオープンしたカフェ。公園側の正面には木製枠のガラス引き戸を設け、店内に公園の景色を取り入れています。

「情報に溢れた現代社会で、訪れる人には本当にリラックスした時間をここで過ごしてもらいたい」と語る芦沢氏。ノイズレスで洗練され、また落ち着きのある空間を設計しました。

Photograph: Tomooki Kengaku

オーク材で製作された木サッシと特注の取っ手

オーク材の木サッシは、カリモク家具によって製作されたもの。造付けの家具も、カリモク家具と芦沢啓治建築設計事務所の協働によります。

カリモク家具により製作された造り付けの収納棚

店内に入った正面奥は、コーヒーを提供するカウンター。薄く曲げ加工されたステンレスのトップと、木リブパネルの立上がりの組み合わせ。特注の照明器具や取っ手などの金物は、銅色に焼き付け塗装してトーンが整えられています。

コーヒーを提供するカウンターまわり。Photograph: Tomooki Kengaku

吹きガラスによるペンダント照明、和紙のペンダント照明、パラボラ状のガラス照明は、すべてこのカフェのために芦沢啓治建築設計事務所がデザインし特注したもの。

テーブルの上に吊るされているのは、和紙のシェードのペンダントライト。Photograph: Tomooki Kengaku

ベンチのコーナーにあるガラス製のペンダントライト

ニッチのソファコーナーの壁に設置されたパラボラ状のガラス照明。Photograph: Tomooki Kengaku

また1Fの家具の一部は、石巻工房によって製作されたもの。店舗脇や公園でもコーヒーの時間を楽しめるよう、石巻工房の屋外用ベンチも用意しています。

石巻工房の屋外用スタッキングベンチ

なお、芦沢啓治建築設計事務所はカフェのオープンと同時期に、同ビルの上階に移転。芦沢氏は事務所内で、照明や家具のデザイン検討に3Dプリンタを使用していることなどを説明しました。

〈dotcom coffee 浅草橋〉のベンチスペースに設置したペンダントライトのシェード形状を、3Dプリンタで出力し検証したもの(奥)。形態を検討した後に吹きガラスで製作し、ブラスト加工の検証も行っている(手前2点)

家具の模型やモックアップ、素材が並ぶ事務所内部

〈dotcom coffee 浅草橋〉の天井付近に設置された、オーディオメーカーDynaudioと石巻工房の協働によるスピーカー。Photo provided by dotcom coffee

〈dotcom coffee 浅草橋〉

所在地:東京都台東区浅草橋5-6-13 KADビル1F(Google Map
設計・デザイン監修:芦沢啓治建築設計事務所
営業時間:9:00〜19:00(L.O.18:30)
定休日:不定休
公式Instagram @dotcomcoffee_asakusabashi
https://www.instagram.com/dotcomcoffee_asakusabashi/

 

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