東京都千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがる広域を会場に、国際芸術祭「東京ビエンナーレ2020/2021」が開催中です(主催:一般社団法人東京ビエンナーレ)。会期は2021年9月5日まで(CIVID-19・新型コロナウイルス感染症拡大状況次第でスケジュールが変更される場合あり)。
同ビエンナーレは、「⾒なれぬ景⾊へ ―純粋×切実×逸脱―〉をテーマに、アーツプロジェクト、公募プロジェクト ソーシャルダイブの3つと連携プロジェクトで構成され、6月14日時点で計64組のアーティストが参加。会場の場・空間ならではのアート鑑賞ができる作品展示と、端末と最新のデジタル技術を併用することで新しいアート体験を得られるAR作品の展示も用意しています。
今後、2年に1度、東京都内で開催予定の「東京ビエンナーレ〉は、今回が記念すべき第1回。準備期間を含めていわゆるコロナ禍の開催となりました。
この状況では、見に行きたくても外出もままならないという人が多いのではないでしょうか。本稿では、主な作品を主催者提供の広報画像で紹介します(終了した展示を含む)。
アート、建築、デザイン、ファッション、テクノロジーなど、さまざまな領域からクロスジャンルなコンテンツを用意。スマートフォンを通して見ると画面上に立ち現れるARアート作品も多数展開(協力:ソフトバンク)。
参加アーティスト
アーツプロジェクト参加アーティスト(50音順):池田晶紀、伊藤ガビン、井田大介、宇川直宏、大木裕之、川村亘平斎+宮本武典、グランドレベル(田中元子+大⻄正紀)、栗原良彰、佐藤直樹、竹内昌義+中田理恵[*1]、高山 明、立花文穂、千葉 学、椿 昇、津村耕佑、遠山正道、内藤 礼、中村政人、並河 進、⻄尾美也、⻄原 珉、⻄村雄輔、⻑谷川逸子、畠山直哉、林 加奈子、藤 浩志、宮永愛子、村山修二郎、柳井信乃、山縣良和、山崎 亮、リー智子、AR三兄弟、O JUN、commandN、 KENTARO!! a.k.a. Dayonashiik
*1.竹内昌義+中田理恵による「タイニーハウスフェスティバル〉は、コロナ感染拡大の状況を踏まえ、会期を10月29日(金)〜31日(日)に延期(会場:大丸有・日本橋・京橋・銀座)
AR作品鑑賞方法:
各会場でARアートが鑑賞できる作品の会場に設けてある、専用のポイントに立って「AR SQUARE〉アプリを立ち上げ、「東京ビエンナーレ〉のバナーをタップすると、作品の一覧が表示される。鑑賞したい作品をタップするとカメラの撮影モードが立ち上がり、画面上に表示されたマーカーに建造物を重ね合わせると、AR作品が出現する。一部の有料作品の視聴にはログインが必要。
アーティスト:AR三兄弟
会場:東京駅前エリア
鑑賞無料(スマートフォン端末が必要)
実施期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
国土交通省が進める3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化のリーディングプロジェクト「PLATEAU〉のデータを活用したARアート作品。今年完結した漫画『進撃の巨人』の世界観をARによって現実に拡張させる。東京の日常的な風景を「見なれぬ景色」に変え、訪れた方々との予期せぬ出会いを生み出す。
アーティスト:椿昇
会場:新有楽町ビル
鑑賞無料(スマートフォン端末が必要)
実施期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
横浜トリエンナーレの会場に突如として出現したバッタの作品など、社会に対しユーモアとアイロニーを込めたインパクトの強い作品で知られる、現代美術家の椿昇は、東京のオフィス街、ビルとビルの間にブッダを出現させる。
アーティスト:山縣良和
開発協力:AR三兄弟
実施期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
会場:万世橋中央
山に囲まれて育った山縣良和が、いつからか東京の風景に山があればいいのにと思うようになったことから着想を得たAR作品。かつて御茶ノ水駅周辺にあり、江戸時代に日比谷の入江を埋め立てるために切り崩された神田山を、2021年夏にARによって再び出現させる。
アーティスト:千葉学
開発:AR三兄弟
会場:以下の2会場
1.任意・エリアならどこでも体験可
会期:8月12日(木)終了終日公開
2.東急プラザ銀座R階
会期:8月13日(金)〜9月5日(日)10:00-20:00
ビルクライムは、ビルの谷間を自転車で登り、また駆け下りる、サイクリストのための新たな名所である。全長2km、標高差200m、勾配8%で続く道は、他の都市では味わうことのできない、自転車好きにとっての魅力的な道になるだろう。
これは時代の変化とともに役割を終えつつある東京高速道路(通称:KK線)上空をひと続きの空地と読み替えて計画した、商業やオフィス、ホテルを内包する線状のコンプレックスでもある。道路や鉄道網と有機的にネットワークを築き、新しい働き方、住まい方、都市の過ごし方に供する場だが、それはモビリティの変革を迎えている今、より重要度を増す自転車という目線で東京という都市を読み替え、未来の都市の姿を描いたバイシクルアーバニズムでもある。
(千葉学)
アーティスト:Hogalee
会場:大手町ファーストスクエア(南側壁面)
展示期間:7月10日(土)〜9月5日(日)終日公開
https://tb2020.jp/project/landmark-art-girl/
作品コンセプト:日々、再開発が進む東京では目にする広告、看板など以外に平面のパブリックアートがもっと増えてもいいのではと常々感じている。展覧会の会期後も地域のランドマークとして機能する、パブリックアートとしての平面作品を提案したい。
公共空間における地域の目印としてのアート、女の子がアイコンとして存在するランドマークアートを制作する。
アーティスト:中村政人
会場:優美堂
展示期間:7月10日(土)~9月5日(日)
https://tb2020.jp/project/yubido-restoration-projectnikui-hodo-yasashi/
作品コンセプト:戦後、神田の焼け野原に富士山の看板を掲げ、額縁屋を開業した「優美堂」。現在この地域は、大波が押し寄せるように再開発が進み、個人商店は存続しえなく、法人の街・企業の経済成長のための街と化している。東京ビエンナーレの共同ディレクターであり、アーティストの中村政人は、閉店して廃墟化が進んでいた優美堂の建築改修、事業計画と運営、展覧会企画制作等で毎週末ボランティアや市民と共に創り出し、優美堂自体を作品化し現在進行形で出展。プロジェクト名「ニクイホドヤサシイ」は優美堂の電話番号に由来する。会場ではワークショップやイベントも開催。
アーティスト:川村亘平斎+宮本武典
会場:国際ビル 地下1階
展示期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
時間:11:00-19:00(緊急事態宣言中にて)
https://tb2020.jp/project/tokyo-shadow-theater-club/
作品コンセプト:インドネシアで影絵芝居ワヤン・クリットを習得した川村亘平斎と、キュレーターの宮本武典が、海外にルーツを持ち東京に暮らす19カ国・計60名の人々から聞きとりをおこない、彼らのオーラルヒストリーを影絵で制作した作品〈東京影絵 / Tokyo shadow puppet theater〉と、同名書籍の出版を通してビジュアライズするプロジェクト。
アーティスト:内藤 礼
会場:空蓮房(東京都台東区蔵前4-17-14)
展示期間:7月17日(土)~9月5日(日)
※完全予約制、鑑賞には「東京ビエンナーレ」パスポート要
https://tb2020.jp/project/praying-for-tokyo-rei-naito/
予約:https://peatix.com/event/1988758/view
作品コンセプト:1945年3月10日の東京大空襲は下町空襲とも呼ばれている(死者数は10万人を超える)。東京の現在から振り返る過去の街と人を思うとき、私たちは真の意味での鎮魂を祈念する。すなわち、惨劇を繰り返すことのない現在を確保し続けること。内藤礼は蔵前の寺院、長応院境内のギャラリー・空蓮房(くうれんぼう)に最小の彫刻̶「ひと」̶を配置し、墓地の慰霊碑には水を捧げる。また戦火の中、子供たちが避難した防空壕にて「ひと」のインスタレーションを行う。3つの場所で生が応答しあい、今を生きている私たちを触発する。
アーティスト:林 加奈子
会場:東京ドームシティ(Gallery AaMoと都営三田線水道橋駅A3出口をつなぐ通路)
展示期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
終日公開(※夜間 A.M1:30~4:30は立入不可)
https://tb2020.jp/project/fitters/
作品コンセプト:林 加奈子は、建物の隙間や道路の凹凸、手すり、窓や扉といった街の中で私たちが普段目にする建物の一部分や枠組みを「都市のフレーム」に見立て、その枠組みの中での瞬間的なアクションを記録した写真作品のシリーズを展開している作家。建物の一部分や枠組みを、本来の機能とは異なる使い方をして、普段見慣れた日常の中に新しい風景を描き出す。フレームの内側に広がる空間に、人間の身体と身の回りの物を詰め合わせ、そこに都市と身体の関係性を浮かび上がらせる。
アーティスト:村山修二郎
会場:日比谷OKUROJI G14(東京都千代田区内幸町1-7-1)
展示期間:7月10日(土)〜9月5日(日)
https://tb2020.jp/project/moving-earth-moving-plants-roots-project-touch-the-earth-play-with-the-earth-grow-plants-the-roots-grows-and-everything-get-together/
作品コンセプト:都市で土や植物とのつながりと寄り添い、新たに進化させていくプロジェクト。本展示では、東京の土と植物を用いて、それを材料に描いた「緑画/りょくが」(村山の造語)を制作・展示
アーティスト:長谷川逸子
会場:ユートリヤ すみだ生涯学習センター
展示期間:7月10日(土)〜8月29日(日)終了
https://tb2020.jp/project/awareness-of-the-sound/
作品コンセプト:都市空間そして公共空間で人々が静かに穏やかに話し、そして上品に振る舞うことを改めて実現させたい。 音と人の振る舞いについての体験を通して、音に敏感になり人々は異なる六個の静けさを体験する。そして音に気づいてゆく。 人間の感性・感情について実験する場、アートと感情あるいはアートとパフォーマンスについて知る場を通じて音に気づいてゆく。
アーティスト:佐藤直樹
会場:正則学園高校 6階教室
展示期間:7月30日(金)〜8月28日(土)終了
https://tb2020.jp/project/there-it-has-grown-2013-2020/
アーティスト:栗原良彰
会場:アーツ千代田3331 1Fウッドデッキほか
展示期間:7月21日(水)〜8月17日(火)終了
https://tb2020.jp/project/giants-and-littles/
作品コンセプト:「夏の暑さ」をテーマに、日本の夏の暑さを利用し、気化熱によって冷却される吸収素材を用いた「涼しい彫刻作品」。
アーティスト:宮永愛子
会場:湯島聖堂 前庭 大成殿西廡
展示期間:7月11日(日)~7月29日(木)
https://tb2020.jp/project/praying-for-tokyo-aiko-miyanaga/
作品コンセプト:江戸幕府の官学所「湯島聖堂」。図書館発祥の地といわれる湯島聖堂の大らかな回廊に、宮永愛子はひかりの陰陽を感じとった。ガラスの素材に関わってきたキャリアの中で捉えた光の魅力。特別なマテリアル、古代の石サヌカイトは、時折美しい音色まで聞かせてくれる。都心とは思えぬ緑の中の静けさに満ちる、饒舌な自然と街の音とともに、ひかりに導かれるインスタレーション。
東京にダイブし社会と深く交わることをミッションに国内外から1,500組以上から選ばれたアーティストによるプロジェクト。
国内参加者:鶯谷ベル・エポック、佐藤史治+原口寛子、鈴木真梧、スタジオバッテリー、セカイ+一條/村上/アキナイガーデン、髙畑早苗&Creative Kids Club 人形町、2.5 architects(森藤文華+葛沁芸)、東京アルプス、久村 卓、BKY+銭湯山車巡行部、藤原佳恵、太湯雅晴、Hogalee、MMIX Lab、門馬美喜、野営、山中カメラ
海外参加者:フィオナ・アムンセン(ニュージーランド)、ダフナ・タルモン(イスラエル)、鄭 亭亭(チェン・ティンティン・台湾)、陳 飛豪(チェン・フェイハオ・台湾)、アリーナ&ジェフ・ボリュミス(アメリカ)
※以下のアーティストは来日不可によりプロジェクト中止、但し、作家紹介のパネル展示などを実施予定
ホズィーリス・ガヒード(ドイツ)、ペドロ・カルネイロ・シルヴァ(ブラジル)&アーダラン・アラム(ドイツ)、クレイ・チェン(シンガポール)、ケレム・オザン・バイラクター&ブスラ・トゥンチ(トルコ)、ヒルダー・エリザ・ヨンシュドッティル (アイスランド)、マイケル・ホンブロウ(ニュージーランド)、マルコ・バロッティ(イタリア)
東京ビエンナーレを通じてアートを介入しながら継続的にコミュニティと関わり、人を育む育成プログラムとしても機能する。
出展者:セカイ+一條真人、村上奈津子、アキナイガーデン
会場:GROWND Park(東京都中央区日本橋室町1丁目)
展示期間:7月10日(土)〜7月30日(金)
https://tb2020.jp/project/tokyo-tracing-house/
作品コンセプト:街に建つ古い木造建築の外周にコンクリートを打設して「建物の型を取る」プロジェクト。かつてあった建物の記憶を宿し、生まれ変わったコンクリートのオブジェクトが、全く新しい空間体験を生み出す。最新の〈東京型家(とうきょうかたや)〉の実験モデルを展示。
https://tokyokataya.wixsite.com/info
(1)災害対応向上プロジェクト
ディレクター:オンデザイン
アートプロジェクトとして「災害対応」に取り組み現代にふさわしい市民関係の創出を目指す。
(2)批評とメディアの実践のプロジェクト「RELATIONS」
ディレクター:毛利嘉孝
ウェブやソーシャルメディアを中心にデジタル化とグローバル化の時代の批評とメディアのあり方を考え、実践する。
(3)デザインプロジェクト
ディレクター:佐藤直樹
メンバー:大原大二郎、田中義久、セキユリヲ、原田祐馬
ロゴや会場サインなど、デザインが関わる領域に対して、最先端を走る気鋭のデザイナーが議論しながら制作を行う。
https://tb2020.jp/project/design-project/
(4)アートライティングスクール
ディレクター:福住 廉
批評、編集、広報に通底する文字系の職人を育成するプロジェクト。
(5)学環創出プロジェクト
ディレクター:伊藤達矢
複数の大学間の垣根を超えた学生同士のネットワークを活かし、新しい学びのプラットフォームの形成を目指す。
(6)学校活用プロジェクト
「学校」という公共空間を主会場として継続的に活用する「学校活用プロジェクト」を一つの柱として展開予定。
展示会「Life in Art Exhibition」
企画・運営:良品計画
エリア内の3つの拠点で「Life in Art」の展示会を行う。
詳細:https://www.idee-lifeinart.com/
テーマ:見なれぬ景色へ ―純粋 × 切実 × 逸脱―
会期:2021年7月10日(土)〜9月5日(日)[*2]
会場:東京都心北東エリア(千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがるエリア)
総合ディレクター:中村政人、小池一子
メインビジュアル:アートディレクション&デザイン:Asyl(佐藤直樹+菊地昌隆)
主催:一般社団法人東京ビエンナーレ
後援:千代田区、中央区、文京区、台東区、一般社団法人千代田区観光協会、一般社団法人中央区観光協会、一般社団法人文京区観光協会、アイスランド大使館、米国大使館、イスラエル大使館、イタリア大使館、シンガポール共和国大使館、台湾文化センター、ニュージーランド大使館、ブラジル大使館
特別助成:文化庁/独立行政法人日本芸術文化振興会令和3年度日本博イノベーション型プロジェクト、公益財団法人石橋財団
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、アジアン・カルチュラル・カウンシル、公益社団法人企業メセナ協議会2021芸術・文化による社会創造ファンド
特別協賛:三菱地所、大丸松坂屋百貨店、ソフトバンク
協賛:大丸有 SDGs ACT5 実行委員会、株式会社東京ドーム、日本マクドナルド、日本ペイント、ビルテック
特別協力:3331 Arts Chiyoda、一般社団法人非営利芸術活動団体コマンドN、ムラヤマ、⼀般社団法⼈⼤⼿町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会
協力:良品計画、特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会
*2.COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染防止策を講じて運営
諸事情により会期や開場時間が変更される場合あり(公式ウェブサイトで発表)
会期中の臨時休場:8月23日(月)、24日(火)、30日(月)、31日(火)
一般社団法人東京ビエンナーレ組織概要
https://tokyobiennale.jp/about
「東京ビエンナーレ2020/2021」公式ウェブサイト
https://tokyobiennale.jp/