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"現代の建築は愛されているか?"を問う

大西麻貴氏が2023年の「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」日本館のキュレーターに就任、展示テーマほか発表

2023年5月20日(土)から11月26日(日)にかけて、イタリア・ヴェネチアにて開催される「第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」の全体概要と、同展における日本館キュレーターを決定する指名コンペティション」の審査結果に基づき、日本館の展示タイトルなどが発表されました(国際交流基金 7月5日プレスリリース)。

ガーナとスコットランドの両国に出自をもつ建築家のレスレイ・ロッコ(Lesley Lokko)氏が総合ディレクターを務める同国際建築展において、日本館の展示を企画、とりまとめるキュレーターに、建築家の大西麻貴氏が就任することが決定(一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰)。大西氏と共にo+h(オーエイチプラス)を率いる百田有希氏が副キュレーターを務めます。

コンペに勝利したo+hが掲げる展示テーマは、「愛される建築を目指して」です。

o+h(オープラスエイチ)大西麻貴氏、百田有希氏 近影

o+h(オープラスエイチ)大西麻貴氏、百田有希氏 近影 photo: Yurika Kono

日本館キュレーター・ステートメント

東日本大震災以降、地域におけるつながりや、ともにつくる大切さが見直されている現在もなお、都市では新たな開発が進み、均質で管理された空間が再生産され続けています。発注者や設計者の顔は見えず、施工は複雑・分業化し、誰も知らないところで建設が進んでいくことで、建築はますます人々から遠ざかり人々を孤立させているように感じられます。現代において、果たして建築は愛されているでしょうか。
一方で、互いの違いを認め、違いを大切にするインクルーシブな考えが芽生えてきたことで、一つの価値観が全体を覆うのではなく「個」から出発した小さな共感の輪が重なりあいながら、全体を包摂していく社会へと変化していく兆しが見られます。そのような社会では、均質化や効率化から離れた、個性的で寛容な建築が必要となるはずです。それらを仮に「愛される建築」と名付けたいと思います。
建築は通常、人や自然から離れた人工物だと思われていますが、ふとした瞬間、それらに生命が宿るように感じることがあります。例えば縄文時代の竪穴式住居や、茅葺き屋根の民家を見ていると、どこか毛むくじゃらの動物がうずくまっているような、あるいは蓑を来た旅人が一休みしているような様子を連想してしまいます。そのように、部材を組み合わせたというよりは、撫でてみたくなったり、体温が感じられたり、自分の思い通りにならないところがある、生き物のような建築を考えてみるところから、建築を捉え直せないでしょうか。
建築が自らの意志を持ってそこに佇むような、寛容であたたかく、多くの人が自然と巻き込まれる「愛される建築」の可能性を、ともに考え、深めていくことが本展示の狙いです。

愛される建築とは
分節的というよりは、有機的
組み立てるというよりは、生まれ育っていく
美しいというよりは、愛おしい
アノニマスというよりは、個性がある
人工物というよりは、生き物のような
「ある」というよりは、「いる」

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 概要

タイトル:愛される建築を目指して(英題:Architecture, a place of mind)
主催・コミッショナー:国際交流基金
キュレーター:大西麻貴(建築家、大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰)
副キュレーター:百田有希(建築家、一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰)
出展メンバー:森山 茜(テキスタイルデザイナー・アーティスト)、水野太史(建築家、水野製陶園ラボ代表)、dot architects(建築家)、高野ユリカ(写真家)、原田祐馬(デザイナー、UMA/designfarm代表) 多田智美(編集者、MUESUM代表)

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 展示イメージ

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 展示コンセプト イメージ

日本館は、建築家の吉阪隆正(1917-1980)が設計したことで知られています。本展では、建物そのものを展示物と捉え、パビリオン自体が「愛される建築」となることを目指すとのこと。
展示は、以下の3つの場所から構成されます。

1.人々が自然と近寄りたくなる、やわらかさや生命を感じる佇まい(外観)
2.愛おしいものをしまっておく、光に満ちた宝箱としての内部(館内)
3.来場者との対話を通して、ともに考える場としての半屋外空間(ピロティ)

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 展示イメージ

日本館 展示 外観イメージ
日本館の佇まいを変え、居場所をつくるテキスタイル

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 展示イメージ

日本館 展示 内観イメージ
光を反射するタイルに包まれ、理念を伝える展示を鑑賞する空間

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館 展示イメージ

日本館 展示 ピロティイメージ
ピロティの開放性や彫刻的な柱を生かした対話の場

キュレータープロフィール

大西麻貴(おおにし まき)
1983年愛知県生まれ。
2006年京都大学工学部建築学科卒業。2008年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。
2008年より、大西麻貴+百田有希 / o+hを百田有希と共同主宰。
2016年より、京都大学非常勤講師。2017年より、横浜国立大学大学院YGSA客員准教授、2022年より同YGSA教授。

⼤⻄⿇貴氏 近影

o+hとしての主な作品に、〈二重螺旋の家〉(2011年)、〈Good Job! Center KASHIBA〉(2016年)、〈多賀町中央公民館 多賀結いの森〉(2019年)、〈シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形市南部児童遊戯施設)〉(2022年)などがある。
主な受賞に、第2回日本建築設計学会賞大賞(2018年)、JIA新人賞 (2018年)、日本建築学会作品選奨・新人賞(2019年)など。

o+h Web Site
http://www.onishihyakuda.com/


ヴェネチア・ビエンナーレ(Biennale di Venezia)概要
イタリア・ヴェネチア市の市内各所を会場とする国際的なフェスティバル。1895年に最初の美術展が開催されて以来、120年以上の歴史を有する。「ビエンナーレ」とは「2年に1度」を意味するイタリア語。
現在、美術展、建築展、音楽祭、映画祭、演劇祭の各部門があり、 建築展は、現代の建築の動向を俯瞰できる場として注目される。国別の参加方式を採る数少ない国際建築展でもある。

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 全体概要
会期:2023年5月20日(土)〜11月26日(日)
会場:ジャルディーニ地区(Giardini di Castello)、アルセナーレ地区(Arsenale)など
総合ディレクター:レスレイ・ロッコ(Lesley Lokko、建築家)
総合テーマ:The laboratory of the Future
Biennale di Venezia Web Site

http://www.labiennale.org


国際交流基金 Web Siteプレスリリース
https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2022/010.html

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ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示チームがクラウドファンディングを開始
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