本展「WHO ARE WE 観察と発見の生物学 国立科学博物館収蔵庫コレクション|Vol.01 哺乳類」とは、主催する国立科学博物館と、日本デザインセンターで三澤デザイン研究室を主宰する、デザイナーの三澤 遥氏が、共同で開発した巡回展キットを使った展覧会です。
カハクこと国立科学博物館が誇る膨大な標本コレクションは、そのほとんどが収蔵庫に保管されているため、普段は見ることができません。このうち、世界屈指の動物標本資料「ヨシモトコレクション」から選りすぐられた標本を”格納”し、展示什器ごと搬出入できる、オリジナルの「巡回展キット」がデザイン、制作され、2021年春に完成しています。
巡回展キットの初披露は、2021年7月から9月にかけて大分県立美術館(OPAM)で開催された展覧会「WHO ARE WE 観察と発見の生物学 国立科学博物館収蔵庫コレクション|Vol.01 哺乳類」にて。コロナ禍の影響があった時期にもかかわらず、地方の公共美術館としては異例の来場者数1万人を突破し、好評を博しました(本稿1枚めを含む、展示什器の画像は全て、大分での展示の様子 / ©Gottingham)。
この話題の展覧会がいよいよ、東京・上野の国立科学博物館にて開催されます。
テーマは「観察の眼、発見の芽」。“声なき標本たち”の姿を通して、見つめる眼(観察)と見つける眼(発見)を育み、他の動物との意外な共通点、私たちの日常とのつながりなど、標本にまつわる学びや問いを発見することができる展覧会です(本展監修:川田伸一郎 / 国立科学博物館 動物研究部 研究主幹・農学博士)。
「ヨシモトコレクション」概要
1946年から1995年にかけて、世界中からハンティングによって得られた標本群。ハワイ・ オアフ島のW.T.ヨシモト財団より、国立科学博物館へ寄贈された。哺乳類・鳥類・爬虫類の標本412点からなり、多くは全身が剥製として残され、現在では調査が困難な地域の標本も多数含まれるため、学術的価値が極めて高いコレクションとなっている。
この巡回展キットは、国立科学博物館の貴重なコレクションを、博物館・美術館などの専門の展示施設に限らず、商業施設といった、人々が集まる多様な場所でも展示できるようにデザインされているのが特徴です。
収蔵庫で”眠っていた”標本を全国規模で巡回させることで、博物館が持つ資源の価値を世に広く知らしめ、標本に接する機会を増やし、それまで標本にあまり興味を持っていなかった人々に対しても、そこに驚きと新たな発見を見出す機会を、リアルな体験として提供します。
会場:国立科学博物館 日本館1階 企画展示室
所在地:東京都台東区上野公園7-20(Google Map)
会期:2022年8月5日(金)〜9月25日(日) ※10月10日(月・祝) ※好評につき会期を延長
開館時間:9:00-17:00(※8月5日(金)〜14日(日)に限り、9:00-18:00開館)
休館日:9月5日(月)、12日(月)、9月20日(火)
※会期などの予定は当初発表から変更となる場合あり
入館料:一般・大学生 630円、高校生以下と65歳以上は無料
※本展は常設展示入館料のみで観覧可能
※会場ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止対策を実施
※入館は国立科学博物館ウェブサイトより予約が必要
入館予約専用ページ
https://www.kahaku.go.jp/news/2020/reservation/index.html
主催:国立科学博物館
企画編集・デザイン:日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
展覧会詳細(動画あり、2022年7月12日より限定公開)
https://www.kahaku.go.jp/event/2022/08whoarewe/
「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」公式ウェブサイト
https://www.kahaku.go.jp/renkei/whoarewe/
『TECTURE MAG』では、新しい展覧会・巡回展のモデルとなる「巡回展キット」を開発した三澤氏と、カハクの当時担当者だった久保氏の2人にインタビューを行い、開発の経緯や、デザインプロセスを特集で紹介しています(詳細はフッターの関連リンクを参照)。