東京・表参道にあるエスパス ルイ・ヴィトン東京にて、ウェールズ出身のアーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンス(Cerith Wyn Evans)による個展が7月20日より開催されています。
ルイ・ヴィトンの芸術機関であるフォンダシオン ルイ・ヴィトン[*]がプログラムのアーティスティック・ディレクションを担当する「Hors-les-murs(壁を越えて)」の一環として行われるもので、今回展示される作品は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが開設される以前の2007年に、ルイ・ヴィトンが収集していたコレクションとなります。
ケリス・ウィン・エヴァンスは、英国ロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アートで美術学士を1980年に取得した後、1984年にはロイヤル・カレッジ・オブ・アートのフィルム&テレビジョン専攻で修士号を取得。映画監督のデレク・ジャーマンの助手を2年間務めた後、ダンサーとのコラボレーションや、ロックバンドとのビデオ制作などを通じて独自の実験映像の制作を開始。1988年には短編映画『ディグリーズ・オブ・ブラインドネス』を発表しました。
1990年代初頭には、彫刻またはインスタレーションに分類されるさまざまなメディアを用いた作品に移行。写真的なイメージやテキスト(多くはネオンで示される)、光、音、ビデオなどを通じて、空間におけるかたちの顕在化を探求しようとしています。エヴァンスがつくり上げるのは「意味の迷宮」です。空間にかたちとなって現れる引用や原典のあるテキストは、しばしば不可解な難問の様相を呈しています。ポスト象徴主義や前衛の文学に垣間見られる遊びの要素や難解な側面が、作家のインスピレーションの大きな源となっています。
テキストとネオンを用いた作品は、自らの作品もその一部を成す「間テクスト性」を脱構築しようとする試みを表現しており、ラテン語の回文を用いた作品では、シャンデリアのように吊るされたネオンの文字が丸く円を描き、支持体となっているガラスに反射して幾重にも重なり合います。
エヴァンスは、翻訳の問題についても取り組んでいます。コンピュータに接続されている光が、その画面に流れていくウィリアム・ブレイクの詩や、フェミニスト理論家のジュディス・バトラー、神学者のミシェル・ド・セルトー、あるいはマルキ・ド・サドからの引用文をモールス信号の点滅で伝えます。光を用いて不明瞭なステートメントを伝えるという手法に象徴されるような矛盾を顕在化させているのが、エヴァンスの創作の特徴でもあります。
エヴァンスによれば、詩は「実験のエキゾチシズム」と呼ばれるものから生まれ、その多義性の重なりの中で、事実とフィクション、現実とその分身、打ち立てられた確信と矛盾した感情などの間にある曖昧な領域を探求することができるとのこと。(ルイ・ヴィトン ジャパン 2023年7月20日プレスリリースより抜粋)
会期:2023年7月20日(木)〜2024年1月8日(月)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(Espace Louis Vuitton Tokyo)
所在地:東京都渋谷区神宮前5丁目7-5 ルイ・ヴィトン 表参道店 7F(Google Map)
開館時間:12:00-20:00
休館日:ルイ・ヴィトン 表参道店に準じる
入場料:無料
※会場内の混雑防止のため、入場を制限する場合あり
エスパス ルイ・ヴィトン東京 ウェブサイト
https://www.espacelouisvuittontokyo.com/
ハッシュタグ
#EspaceLV
#CollectionFLV
#FondationLouisVuitton
*.フォンダシオン ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)
現代アートとアーティスト、そしてそれらのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した、ルイ・ヴィトンの芸術機関。拠点となる建物は、建築家のフランク・ゲーリーが設計したことでも知られる。
東京、大阪、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウルに設けられたエスパス ルイ・ヴィトンにて開催される、所蔵コレクションの展示を目的に、無料で開催される「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムのアーティスティック・ディレクションを担当。
Fondation Louis Vuitton Website
https://www.fondationlouisvuitton.fr/fr