COMPETITION & EVENT

家村ゼミ展 2024「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」10/22まで

トークイベントに青木淳、中村竜治、中尾拓哉、大竹利絵子の4氏が登壇

東京・八王子にある多摩美術大学八王子キャンパス内のギャラリーにて、同学・家村ゼミの主催による展覧会「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」が10月4日より開催されています。

​本展は、多摩美術大学美術学部芸術学科で教授を務める家村珠代氏のゼミが企画・主催し、2017年より開催しているもので、今回で8回目を数えます。

本展について

本展は、2022年に開催した「中村竜治 展示室を展示」、昨年の「空間に、自然光だけで、日高理
恵子の絵画を置く」、この2つの展覧会の延長線上にあり、展覧会としてさらにその先を探ろうとするものです。

2022年の「中村竜治 展示室を展示」では、会場であるアートテークギャラリー1階の4つの展示室(約520m²、一部天井高9m)に、市販の白い紐だけを用いて会場を構成(下の画像)、かつ3週間の会期中に計3回におよぶ紐の設え変更を行い、かつこの作業を来場者に公開するという「展示室を展示」を開催しました。「帯」「結界」「対角線」とそれぞれ中村氏が名付けたそれぞれの設えは、鑑賞者に自主的な「観察」をうながし、鑑賞者個々の目と身体で展示室を捉えなおすきっかけをもたらしました。
中村氏の展示はまた、これら4つの展示室が、アート作品を展示のための空間として設計されたものではあるものの、ガラス面が多く、外光が空間に影響を与えるという、展示空間としては特異な特徴を有することを改めて意識させるきっかけになったとのこと。

家村ゼミ展 2022「中村竜治 展示室を展示」会場風景

家村ゼミ展 2022「中村竜治 展示室を展示」会場風景 / 対角線(大きさの観察) 撮影:中村竜治建築設計事務所

「中村竜治 展示室を展示」多摩美術大学八王子キャンパス内にて10/19まで開催

2022年のこの気づきから、昨年の家村ゼミ展 2023「空間に、自然光だけで、日高理恵子の絵画を置く」では、4つの展示室で照明を使用せずに自然光だけの彩光とし、画家の日高理恵子氏の作品5点を展示しました。日高氏の絵画は、展示空間に対してとても小さな存在ともいえるところ、結果的に、展示された絵画が大きな余白と距離を有することになったとのこと。同展は、単に自然光下で鑑賞する個展という位置づけを超えて、光と翳、空間、絵画、天気、時間、音、居合わせた人々のふるまい、そういったものから個々の目と身体が体験・体感する場となりました。

今回の家村ゼミ展 2024「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」もまた、昨年同様に、彩光は自然光のみとなっています。4つの展示室はそれぞれに自然光の入り方が異なり、自然光が直接入らない展示室もあります。
出展に際し、大竹氏は、自然光のみの空っぽの展示空間を事前に体感したうえで、8点の木彫作品(新作4点を含む)を用意し、会場に設置しました。披露された新作は、涙を抱えた2mを超える立像、約120cmの胸像、30cmの坐像、そして作家が初めて挑む柘植の材による彫刻作品です。これに、大竹氏が大学院時に制作した少女像など、年代も大きさも素材も異なる4つの作品が加わることで、どのような空間が引き出されるのか、あるいは彫刻がどのように空間に反応するのか。本展の狙いと見どころとなっています。

会期中の関連企画として、出展者である彫刻家の大竹利絵子氏らが登壇するトークセッションを2回開催。14日のトークには、2023年と2023年のトークイベントに登壇した建築家の青木 淳と美術評論家の中尾拓哉、「家村ゼミ展 2022」の作家である建築家の中村竜治の3氏が登壇します。

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」 撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

撮影:神谷涼寧

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

作家プロフィール

大竹利絵子
1978年神奈川県生まれ。2002年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。2004年同大学院美術研究科彫刻専攻修了後、2007年同博士課程を修了。現在、東京藝術大学美術学部彫刻科准教授。

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」

作家近影 撮影:神谷涼寧

これまでの主な個展に「Hanako」(森岡書店、東京、2023年)、「あなたはどこから来たの?」(小山登美夫ギャラリー、東京、2021年)、「Way in, or Out」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京、2015年)、「たぶん、ミミ」(小山登美夫ギャラリー、東京、2012年)などがある。主なグループ展として、「ヒューマンビーイング-藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで」(群馬県立館林美術館、2024年)、「平衡世界 日本のアート、戦後から今日まで」(大倉集古館、東京、2023年)、「彫刻と家」(旧平櫛田中邸アトリエ、東京、2021年)、「真鶴町・石の彫刻祭」(神奈川、2021年)、「刻まれた時間-もの語る存在」(東京藝術大学大学美術館陳列館、東京、2018年)がある。
2005年第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展入選。作品は札幌宮の森美術館、Japigozziコレクション、高橋龍太郎コレクションなどに収蔵されており、2023年に初の本格的作品集『Hanako』(torch press)を刊行。

​詳細(小山登美夫ギャラリーウェブサイト)
http://tomiokoyamagallery.com/artists/rieko-otake/

 

家村ゼミ展 2024 「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」バナー

「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」開催概要

会期:2024年10月4日(金)〜10月22日(火)
会場:多摩美術大学️八王子キャンパス アートテーク ギャラリー
大学所在地:東京都八王子市鑓水 2-1723(Google Map
開館時間:10:00-17:00
休館日:日曜
観覧料:無料
協力:小山登美夫ギャラリー

関連企画・ふたつのトークセッション

​その1
開催日:2024年10月5日(土)※終了しています
会場:多摩美術大学アートテークギャラリー
登壇者:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)、大竹利絵子(彫刻家)

​​その2
開催日時:2024年10月14日(月・祝)13:00-15:00
登壇者(敬称略):中村竜治(建築家 / 出展作家)、青木 淳(建築家)、中尾拓哉(美術評論家)
会場:アートテークギャラリー
参加費:無料(予約不要)

「家村ゼミ展」詳細
https://www.iemuraseminar.com/

※本稿のテキストは、家村ゼミが発信したプレスリリースをもとに作成した

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家村ゼミ展 2022「中村竜治 展示室を展示」

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「中村竜治 展示室を展示」

多摩美術大学八王子キャンパス内にて10/19まで開催

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