2023年10月20日初掲、10月22日会場写真を追加(以降も随時追加あり)
東京ミッドタウンにて、秋恒例のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH(東京ミッドタウン デザインタッチ)」が10月11日より開催されています。今年で開催17回目、掲げられたテーマ「つむぐデザイン-Weaving the Future-」のもと、参加アーティストたちがさまざまな作品を展開しています。
『TECTURE MAG』では、会期初日の午前中に行われたプレス内覧会を取材、出展者の建築家・デザイナーにインタビューを行いました(本稿の写真の一部は10月18日「DESIGNART TOKYO 2024」プレスツアー時の撮影、特記なき展示はすべて東京ミッドタウン主催による)。
「今回の”つむぐデザイン”というテーマに対して、芝生広場のような公共な場所で建築家として何ができるのか、人々に紡(つむ)がれていくようなデザインを考えました。
〈リレキの丘〉は、幅300mmでプレカットされた木材をつなぎ、大・中・小の3つのリングを軸に構成されています。芝生広場の奥にある、フロリアン・クラールさんのパブリックアートとも呼応するように場所を選んで設置しました。難しかったのは、木材パーツのジョイントで、施工中の降雨の影響で、せっかく高い精度でカットした材が膨張してしまい、想定していた以上の歪みが発生してしまいました。これから調整して、小梁の上に合板を張り、床として、その上に人々が寝転んだりできるようにします。1週間後の18日に完成予定です。職人さんがプレカットの木材を運ぶ、ジョイントするといった過程もすべて公開しながらつくっていきます。通りがかった人々がスマートフォンのカメラなどで施工の様子を撮影し、SNSに投稿する行為も含めて、ある種”つむがれる”ことだと捉えています。」(クマタイチ氏による作品説明とその後の質疑応答でのコメントを要約、下の段落に続く)
「今回、鉄やコンクリートを採用しなかった理由の1つは、重機などを入れたくなかったのと、人々が親しみやすく、自由な感覚でこのパビリオンと触れあえるようにしたかったからです。会期中は、アフォーダンス(AFFORDANCE Inc.)の平野篤史さんにデザインしてもらった”リレキシール”を配布します。神社の柱に貼られたお札のシール、橋やフェンスなどに恋人たちが取り付けたハートロックと呼ばれる南京錠などから着想を得たものです。僕自身も旅行鞄に旅先のシールを貼ったりします。この”丘”を訪れるたびにシールを貼ってもらい、参加の履歴がカラフルにつむがれていく。スタート時とは違った景色がこの場に現れ、更新されていってほしいと願っています。」(クマ氏談)
作品名:リレキの丘
クリエイター:クマタイチ(建築家)
協力:シェルター、つむら工芸
展示前期:10月11日(金)~10月17日(木)/ 作品の施工プロセスの一部を公開
展示後期:10月18日(金)~11月4日(月・振休)/ 一般開放
※10月12日より「リレキシール」を数量限定で配布中、来場者が〈リレキの丘〉に貼ることができる
会期中の開場時間:11:00〜19:00 ※雨天中止
展示場所:芝生広場
入場料:無料
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/logginghill.html
10月11日に行われたプレス内覧会の席上、デザインを担当した津川恵理氏は、東京ミッドタウンの芝生の上に連なる作品〈都市の共動態〉について、以下のように説明しています(津川氏による説明とその後の質疑応答でのコメントを要約)。
「今回の展示では、京都工芸繊維大学のKYOTO Design Labの協力を得て、高精度の3Dスキャナーでミッドタウン・ガーデンのサイトをスキャンして、地形データを作成しています。樹木の位置や芝生の勾配などが1つに統合されたデータの中で、道を挟んで大きく2つに分かれるオブジェ群を設計しました。金属パイプの支持体の角度や高さ、支持体同士の距離感などもすべて、敷地と対話しながら、データ上で厳密に設計したものです」(津川氏談、下の段落に続く)
「形状については、パブリックスペースでの期間限定の展示に際して、アーバンスポーツの文脈からデザインを導き出しています。加えて、これまで私たちが手掛けてきた公共空間のデザインから飛躍できるようなものにしたかった。最初に思い描いたのは、映画『2001年宇宙の旅』の冒頭のシーンに出てくる”モノリス”のようなもの。目にした人がこれはなんだろう?と不思議に思い、想像力を掻き立てられるような、どこか謎めいたシーンをこの場所につくりたいと、リサーチを進めるうちにたどり着いたのが、今回採用したコンクリートキャンバスという素材です」(津川氏談、下の段落に続く)
「コンクリートキャンバスは通常、造成地の斜面を固めたり農業用水路の側溝をつくる際に使われる、シート状の土木資材です。水分を含ませると短時間で硬化します。私たちはあらかじめ要所要所で決め手となることを想定して設計していますが、この素材の特性から生まれる形状と、敷地データという2つの要素は、建築家の意図の外側にあるものです。この2つが介在したことで、他者を受け入れられる、寛容なかたちをつくることができたのではないかと思っています。腰掛けたり、もたれかかったり、手荷物を置いたり、いつの間にかふと、そういった行為・行動をしてしまう。子どもらは大人の説明なしに滑り台にして遊んでいました。そんなふうに、今回の作品が媒体となり、その人の内面から出てくるちょっとした行動なり欲望のようなものをあぶり出すことができれば、都市空間はもっと豊かになっていくのではないか。それは、私たちALTEMYが、これまでに手掛けてきたどのプロジェクトでも取り組んできた、一貫したテーマでもあります」(津川氏談)
作品名:都市の共動態
クリエイター:津川恵理(ALTEMY)
会期中の開場時間:11:00〜19:00 ※雨天中止
展示場所:ミッドタウン・ガーデン
入場料:無料
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/urbanvoice.html
※詳細は別稿「DESIGNART TOKYO 2024」会場レポートを後日掲載(Comming Soon!)
作品名およびクリエイター(作家):下記
開館時間:11:00-20:00
場所:ガレリア 2F
観覧料金:無料
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会
協力:東京ミッドタウン
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/designart.html
作品名:Visible Stress
概要:光弾性(photoelasticity)を可視化した作品
クリエイター:クリエイティブ・ユニット AAAQ(都 淳朗+太田 壮)
場所:ガレリア 2F Aēsop前
作品名:RE 47 CRAFTS
概要:47都道府県の名産品と呼ばれる果物や食品の生産・製造過程で出る廃材をアップサイクルし、新しいプロダクトに生まれ変わらせるプロジェクトを紹介
クリエイター:若田勇輔
制作協力:コル、五十嵐製紙
場所:ガレリア 2F lucien pellat-finet横
作品名:Eeyo
概要:バルサ材の表面を染色後、約200度の熱風をあて、色を変化させたチェア12脚(展示品に腰掛けることはできない)。バルサ材は”世界一軽い木材”と言われており、家具としての構造材は別の材が内部に構築されている
クリエイター:竹下早紀
場所:ガレリア 2F lucien pellat-finet前
作品名:ヤワラカサカ
概要:今春開催されたファッション&アートイベント「TOKYO CREATIVE SALON 2024」の赤坂エリア・赤坂サカス広場で披露されたインスタレーションより、再利用可能な素材をアップサイクルして制作された家具の展示(腰掛けることもできる)
開館時間:11:00-20:00
場所:ガレリア3F IDÉE SHOP/IDÉE CAFÉ PARC前
観覧料:無料
主催:TBSホールディングス、nendo
協力:東京ミッドタウン
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/yawarakasaka.html
作品名:InForms
概要:「レアメタル産出量」「世界人口」の2つのテーマに焦点を当て、データから生成した造形・ビジュアルを用いた映像作品の展示と、それらをフィジカルに派生させた作品群を紹介
開館時間:11:00-20:00
場所:プラザB1 メトロアベニュー
観覧料:無料
主催:WOW
協力:東京ミッドタウン
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/informs.html
WOWによるプロジェクトの公式ウェブサイト
https://informs.design/
概要:「DESIGN TOUCH 2024」の参加クリエイターらによるトークセッション
実施期間:10月24日(木)~10月27日(日)
日時:10月24日(木)11:30〜
テーマ:革新するブランディング
登壇者:田川欣哉(Takram 代表)、細尾真孝(細尾 代表取締役)、木田隆子(デザインジャーナリスト)
日時:10月24日(木)16:00〜
テーマ:廃棄物を暮らしを彩るアイテムに変えるデザイナー狩野佑真のアプローチ
登壇者:狩野佑真(デザインディレクター、デザイナー)、木熊太郎(『ELLE DECOR』日本語版編集長)、高坂敦信(『モダンリビング 編集長)
※狩野氏は21_21 DESIGN SIGHTで開催中の企画展「ゴミうんち展」出展者の1人
日時:10月24日(木)18:00〜
テーマ:Reframing ~転換のはじまり~
登壇者:金澤 韻(現代美術キュレーター、コダマシーン アーティスティックディレクター)、川合将人(BUNDLESTUDIO Inc.代表、インテリアスタイリスト、スペースデザイナー)、青木竜太(芸術監督、社会彫刻家)、立川裕大(t.c.k.w
伝統技術ディレクター)、谷本有香(『Forbes JAPAN』執行役員:ウェブ編集長)
※「DESIGNART TOKYO 2024」ディレクター陣4氏が登壇
日時:10月25日(金)16:00〜
テーマ:建築家の視点から読み解くデザインとアート
登壇者:中村拓志(建築家、NAP建築設計事務所主宰)、永山祐子(建築家、永山祐子建築設計代表)、清野由美(ジャーナリスト、都市再生コーディネーター)
日時:10月25日(金)18:00〜
テーマ:公共をつくるデザイン
登壇者:クマタイチ(建築家、TAILAND代表取締役)、中原慎一郎(コンランショップ・ジャパン代表取締役社長)、長坂 常(建築家、スキーマ建築計画代表取締役)
日時:10月25日(金)18:00〜
テーマ:公共をつくるデザイン
登壇者:クマタイチ(建築家、TAILAND代表取締役)、中原慎一郎(コンランショップ・ジャパン代表取締役社長)、長坂 常(建築家、スキーマ建築計画代表取締役)
日時:10月26日(土)11:30〜
テーマ:都市と身体の新たな試み
登壇者:津川恵理(建築家、ALTEMY株式会社代表)、木内俊克(建築家、SUNAKI Inc.共同代表、京都工芸繊維大学特任准教授)
日時:10月26日(土)13:30〜
テーマ:ストラテジックデザイン ~社会を変えるデザイン戦略~
登壇者:永井一史(多摩美術大学教授)、佐々木千穂(多摩美術大学教授)、田中美帆(多摩美術大学[ソーシャルデザイン]非常勤講師)
日時:10月26日(土)16:00〜
テーマ:都市の緑を歩く ~建築家・造園家・研究者と散策する 東京ミッドタウン~
登壇者:大野友資(建築家、DOMINO ARCHITECTS代表)、西尾耀輔(造園家、veig、越路ガーデン)、片野晃輔(生物学研究者、veig)
※3氏は21_21 DESIGN SIGHTで開催中の企画展「ゴミうんち展」出展者(会場構成を含む)
日時:10月27日(日)13:30〜
テーマ:デザイン創造都市を目指す 旭川市のデザインシステムとは
登壇者:石川俊祐(KESIKI プログラムディレクター、多摩美術大学クリエイティブリーダーシップ特任教授)、木住野彰悟(グラフィックデザイナー、6D代表)
日時:10月27日(日)16:00〜
テーマ:SFとデザイン ーAI時代サブカルチャーの想像力
登壇者:有馬トモユキ(日本デザインセンター アートディレクター)、樋口恭介(SF作家、編集者、コンサルタント)小松尚平(VR研究者、デザインシップ理事、東京大学特任研究員)
会場(共有):インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター(ミッドタウン・タワー 5F)
参加料(共有):無料
申込方法(共有):Peatix特設ページより要申し込み
詳細(申し込み受付Peatixページへのリンク)
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/talksalon.html
会期:2023年10月11日(金)~11月4日(月・振休)
会場:東京ミッドタウン 各所
施設所在地:東京都港区赤坂9丁目7-1(Google Map)
主催:東京ミッドタウン
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2023」公式Webサイト
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/
※開場時間・休場日など詳細は、それぞれの公式ウェブサイトを参照
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」
会場:東京ミッドタウン(六本木)
概要:上記
「DESIGN TIDE TOKYO 2024」
会期:2024年11月27日(水)~12月1日(日)
会場:日本橋エリア
概要:ディレクター陣を刷新して12年ぶりに開催。デザインとアートの境界を超え、クリエイター自身が「個」に向きあうことで生まれる美意識を表現し、社会の変化に伴い移り変わるデザインの意味と役割を問うことで、今の時代に必要とされるデザインの可能性を模索する
公式サイト:https://designtide.tokyo/
「between A and B」
会期:2024年10月20日(日)~27日(日)
会場:日本橋・三井本館、日本橋三井タワーアトリウム
概要:10代向けクリエイティブスクール「GAKU」の成果発表、プロの写真家と10代の生徒による写真展
公式サイト:https://gaku.school/class/mikata/
「ソノ アイダ#TOKYO MIDTOWN AWARD」
会期:2024年10月5日(土)~12月1日(日) ※月火曜と祝日は休館
・アーティストスタジオ:10月5日(土)~11月15日(金)
・成果展:2024年11月16日(土)~12月1日(日)
クロージングトーク:11月29日(金)
参加アーティスト:山上 渡、角 文平
概要:才能あるアーティストを支援するアートプロジェクト「ソノ アイダ」の第5期、「TOKYO MIDTOWN AWARD」の過去の受賞者による展示
公式ウェブサイト:https://sonoaida.jp/
プロジェクト詳細:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0228_01/
「NIHONBASHI PUBLIC JAZZ」
実施期間:2024年11月1日(金)~3日(日)
会場:東京ミッドタウン(六本木)、東京ミッドタウン八重洲、東京ミッドタウン日比谷
概要:屋外ステージでのジャズコンサート
公式サイト:https://www.nihonbashipublicjazz.com/
「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2024」
会期:2024年10月5日(土)~27日(日)
会場:東京ミッドタウン八重洲
概要:作品を探索しながら東京の新たな一面を発見する楽しみ、東京という街を舞台に生み出される新たな表現との出会い、そして都市による文化観光を生み出す写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」に参加、会場としては最大級
公式サイト:https://t3photo.tokyo/
「HIBIYA CINEMA FESTIVAL 2024」
実施期間:2024年10月11日(金)~27日(日)
会場:東京ミッドタウン日比谷 ほか
概要:“日比谷から始まる体験する映画祭”をコンセプトに、様々な新しい映画の楽しみ方を提案するイベント、今年で開催7回目、テーマは昨年に続き「ながらシネマ」。
公式サイト:https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/hibiya-cinema-festival/