2025年10月20日初掲、10月29日ガレリア1F会場風景とTAKT PROJECT作品の画像を差し替え
東京・六本木の東京ミッドタウンにて、デザインと触れ合う秋の祭典「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025(東京ミッドタウン デザインライブ / 以下DESIGN LIVE 2025)」が10月10日より開催されています。会期は11月5日まで。
同館では、“デザインを五感で楽しむ” をコンセプトに「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」が2007年から昨年まで、秋恒例のデザインイベントとして開催されてきました。18回目を数える今年から、タイトルを「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE」に刷新。イベントのクリエイティブディレクターに佐藤 卓氏を、エキシビションのキュレーターにはデザインジャーナリストの土田貴宏氏を務め、「あたりまえの日常が、おもしろくなるデザインイベント」をスローガンに、初回となる今年のテーマ「ゆさぶる」のもと、国内外で活躍するクリエイターと新進気鋭の作家ら27組による作品展示「DESIGN LIVE EXHIBITION」のほか、ワークショップやトークセッションなど多彩なプログラムも展開されます。

館内風景 提供:東京ミッドタウン

初日の10月10日には、メディア向けに、東京ミッドタウン ガレリア北側の吹き抜け空間・アトリウムにて、佐藤氏と土田氏によるトークイベントが開催され、ロゴデザインやテーマに掲げた「ゆさぶる」が生まれた背景、展示の見どころなどが説明されました。

「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE」ロゴデザイン:佐藤 卓(TSDO主宰)
「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE」ロゴデザインについて
「間をつなぐもの」。適切につなぐためには、つなぐ両者に気遣いが必要です。
ゆえにDESIGNの文字の中にある「I」のところにハートを3つ入れました。気遣いの心で間をつなぎ、デザインが成り立っているという姿です。つまり間に愛( I )があるのです。
そしてよく見ると、四角いハートが上から下へと柔らかいハートに変化しています。時には優しく、そして時には角を立てながらも、間をつなぐ必要があるという意味をここに込めてみました。(「デザイン:佐藤 卓)

テーマ「ゆさぶる」について
常識や時流にとらわれず、あたりまえを超えていくような多様なデザインが、東京ミッドタウンの芝生広場と館内各所に集まります。ゆさぶるデザインは、あらゆる人々の感性をポジティブに刺激し、日常に向き合う姿勢を活性化させます。そしてLIVE=「生」のエッセンスである変化、動き、移り変わりを促していくのです。

東京ミッドタウン アトリウム(ガレリアB1)で初日に行われたトークイベントの様子(左から、ナビゲーターの男性、佐藤 卓氏、土田貴宏氏) 提供:東京ミッドタウン



芝生広場での「DESIGN LIVE EXHIBITION」の様子 提供:東京ミッドタウン
参加クリエイター(敬称略、順不同):
AtMa、we+、山田紗子、秋山かおり、荒牧 悠、MD2V、小野 栞、小泉 創、小関隆一、小宮山 洋、坂下 麦、sasamoto natsuki、SHOKKI、鈴木 元、SO TANAKA、TAKT PROJECT、竹下早紀、TOSHIKI YAGISAWA、西本良太、長谷川依与、松山祥樹、盛永省治、柳川えいみ、山田裕人、吉添裕人、SOHMA FURUTATE、May Masutani
キュレーター:土田貴宏
開場時間:芝生広場 11:00-19:00 ※雨天中止、11月5日(水)は13:00まで / ガレリアB1F 11:00-23:00 / ガレリア1F 9:30-23:00
芝生広場での展示に共通するテーマは「家具」。今回が初披露となる新作のほか、過去に発表されたものが本展のためにバージョンアップしてお目見え。
we+による〈SO-Colored〉

展示作品について説明するwe+の林 登志也氏(右)と安藤北斗氏(左) Photo: TEAM TECTURE MAG
林 登志也と安藤北斗の両氏により2013年に設立されたコンテンポラリーデザインスタジオ・we+(ウィープラス)は、昨年、日本橋で開催された 「DESIGNTIDE TOKYO 2024」で披露した、微細藻類の「色」の可能性を探究する、アルガルバイオとの共同リサーチプロジェクト〈SO-Colored(ソーカラード)〉を展示。
コンセプトは色の地産地消(その土地の藻類から色を抽出し、その土地で使われる家具をつくるの意)。ミッドタウンガーデンで採取した微細藻類を培養し、天然由来の樹脂とブレンドしてつくられたタイルが、作品の一部に使われています(製作協力:アルガルバイオ、MagnaRecta、MOLp®︎by 三井化学 、カリモク家具)。

画像提供:東京ミッドタウン

画像提供:東京ミッドタウン

画像提供:東京ミッドタウン
山田紗子建築設計事務所

〈drawing chair (ドローイングチェア)〉について説明する山田紗子氏 Photo: TEAM TECTURE MAG
建築家の山田紗子氏は、人と周囲の境界線としての家具から発想された、自由なアウトラインによって構成したスチール製の”家具”を出展。2024年に都内にあるオカムラ ガーデンコートショールームで行われた企画展「ショールーム・フィクション 線のような家具と家具のような立体」にて、「家具のようで家具ではない、家具のような実態」として披露された、硬質な金属製にも関わらず、座ったり触れると柔らかさを感じる作品です。より座りやすさを考慮して付加されたシートと、テーブル、本展のために用意されたガラスのフラワーベースが一体となり、芝生広場に5つを展開。昨年の発表時はショールーム空間でのインスタレーションでしたが、今回は大人から子どもまで多様な人々の目に触れる、開放的な屋外・芝生広場での展開となり、場の捉え方を含めた人々の感覚をゆさぶることを意図した展示となっています。

手前:黒いスチールに合わせてつくられた木製の座面 Photo: TEAM TECTURE MAG

展示される芝生広場にあわせて用意されたフラワーベース Photo: TEAM TECTURE MAG

提供:東京ミッドタウン
山田紗子建築設計事務所のスチール製家具〈drawing chair〉はいずれも購入することができる(詳細・問合せは同事務所まで)

提供:東京ミッドタウン

提供:東京ミッドタウン
AtMaによる〈0% SURPLUS〉

展示作品について説明するAtMaの鈴木 良氏(右)と小山あゆみ氏(左) Photo: TEAM TECTURE MAG
鈴木 良と小山あゆみの両氏によって2013年に設立されたクリエイティブユニット・AtMa(アトマ)は、店舗の内装施工時に発生が不可避である余材(廃材)の大理石やタイルを用いて、椅子やベンチをデザイン。偶然に現れた形状も生かし、最小限の金属パーツで連結して座るための機能をもたせた〈0% SURPLUS (ゼロパーセントサープラス)〉は、美しく洗練された店舗がオープンするその裏側には、廃材が存在することを人々に教えてくれます。

提供:東京ミッドタウン

提供:東京ミッドタウン

提供:東京ミッドタウン

提供:東京ミッドタウン

ガレリア1Fから、B1F「DESIGN LIVE EXHIBITION」見下ろし Photo: TEAM TECTURE MAG

松山祥樹〈Vestige〉 Photo: TEAM TECTURE MAG
作品概要:インテリア志向の高まりから「家具のような家電」が決められる現在。この作品は逆に「冷蔵庫のようなキャビネット」を提示し、ささやかに常識への異議を唱えています。人とテクノロジーの関係から一部の要素を引用し、反転させる試みです。(展示解説より)

西本良太〈三角コーン〉〈コンクリートブロック〉 Photo: TEAM TECTURE MAG
作品概要:工事現場などに置かれる三角コーンと、塀の一部として使われるコンクリートブロック。どちらもよく目にする形ですが、素材が脂のネットに置き換わっています。当たり前の造形の存在が希薄になることには、心をくすぐるような感覚があります。(展示解説より)

長谷川依与〈Wrench〉 Photo: TEAM TECTURE MAG
作品概要:このテーブルは、メガネレンチ、長ネジ、六角ナットといった工具やパーツを組み、締め上げることで自立しています。接着や溶接を用いず、変形も分解も可能。道具の機能、家具の類型、素材の価値など、あらゆる常識にとらわれない作品です。(展示解説より)

ガレリア1F「DESIGN LIVE EXHIBITION」展示風景 Photo: Junya Igarashi

TAKT PROJECT〈OOPARTS 場違いな工芸品〉Photo: Junya Igarashi

TAKT PROJECT〈OOPARTS 場違いな工芸品〉部分 Photo: Junya Igarashi
作品概要:多くは産業用であるガラス繊維を、多くは衣服に用いられる無縫製ニット技術で編み、焼成しています。「多くは」の外側にある可能性を掛け合わせた「場違いな異物」は、古代の謎めいたオーパーツのように、わからなさによって新しい意識を目覚めさせます。(展示解説より)
第一線で活躍するクリエイターが、デザインの視点を”ゆさぶる”ようなトークを展開。「DESIGN LIVE」のクリエイティブディレクターをはじめ、デザイナー、建築家、キュレーター、編集者らが登壇します。

登壇者の顔ぶれ(上段左から)佐藤 卓、土田貴宏、小松尚平、永井一史、(下段左から)天野譲滋、荒牧 悠、倉本 仁、永山祐子
開催日:10月18日(土)、10月19日(日)、10月21日(火)、10月22日(水)
タイムスケジュール・登壇者:下記の通り
10月18日(土)
14:00-15:30
テーマ:デザインが導くスタートアップ企業の成功戦略
登壇者:天野譲滋(デザインビジネスプロデューサー)、糸山彰徳(モカブル代表取締役社長)、石井裕之(早稲田大学創造理工学部教授、同大学アントレプレナーシップセンター所長、栄田 源(Genics代表取締役)、森國 麦(NOMU Enterprise合同会社CEO)
17:00-18:00
テーマ:越境するアイデアの秘訣
登壇者:林 登志也+安藤北斗(we+)、出村光世+荻野靖洋(Konel)
ファシリテーター:木田隆子(デザインジャーナリスト)
10月19日(日)
14:00-15:00
テーマ:新しい視点の見つけかた
登壇者:ゴッティンガム(写真家)、中村竜治(建築家、中村竜治建築設計事務所)
ファシリテーター:山田泰巨(編集者)
17:00-18:00
テーマ:3つの視点で紐解く、『そのとき』のデザイン
登壇者:大内裕史(WOWディレクター)、佐々木 拓(YOHAK_DESIGN STUDIOアートディレクター)、鈴野浩一(建築家、トラフ建築設計事務所)
10月21日(火)
16:00-17:00
テーマ:あなたにとって、デザインとは?
登壇者:佐藤 卓(グラフィックデザイナー、TSDO代表、21_21 DESIGN SIGHT館長)、土田貴宏(デザインジャーナリスト)
18:00-19:00
テーマ:AIと手触りの間で – Tama Design Universityの活動より
登壇者:永井一史(多摩美術大学教授)、清水淳子(多摩美術大学講師)、荒牧 悠(多摩美術大学講師)
10月22日(水)
14:00-15:00
テーマ:木材を余すところなく使い描く家具の姿
登壇者:倉本 仁(プロダクトデザイナー、JIN KURAMOTO STUDIO代表)、阿部貢三(木と暮らしの制作所代表取締役)、高倉 泰(中川政七商店商品部ディレクター)
16:00-17:00
テーマ:「環(めぐ)るデザイン」「動く建築」へ
登壇者:永山祐子(建築家、永山祐子建築設計)
ファシリテーター:三井 渉(編集者、グラフィック社)
18:00-19:00
テーマ:Beyond the Design — 宇宙体験を形づくるクリエイションとは?
登壇者:山下コウセイ(宇宙デザイナー、東京大学連携研究員)、小松尚平(東京大学特任研究員、Designship)、長福紳太郎(JAXAチーフエンジニア室主任研究開発員)
会場:東京ミッドタウン ガレリア アトリウム
料金:無料(予約不要)
主催:東京ミッドタウン
詳細:
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designlive/talk-baton.html
愛知県新城市の井代の森の間伐材を活用するものづくりワークショップや、芝生広場でのラジオ体操など、このほかの各種イベントの詳細は、東京ミッドタウン ウェブサイトを参照。

佐藤 卓氏(左)プロフィール:東京藝術大学デザイン科卒業、同大学院修了。「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」のパッケージデザインをはじめ、ポスターなどのグラフィック、商品や施設のブランディング、企業のCIを中心に活動。NHK Eテレ「デザインあ」「デザインあneo」総合指導、21_21 DESIGN SIGHT ディレクター兼館長を務め、展覧会も多数企画・開催。京都芸術大学学長を務める。毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章他受賞
土田貴宏氏(右)プロフィール;会社員を経て2001年からフリーランスで活動。国内外での取材やリサーチをもとに専門誌などに寄稿している。コンテンポラリーデザインを主なテーマとして、プロダクト、インテリア、日用品について書くことが多い。デザイン誌『Ilmm』(アイエルエムエム)でエディターを、東京藝術大学、専門学校桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める。21_21DESIGN SIGHT 企画展「The Original」ディレクター(2023)。著書に『デザインの現在』(PRINT & BUILD)ほか
佐藤氏コメント:「デザインは「間をつなぐもの」。例えば椅子は、人と座るという行為の間にあるもの。牛乳のパッケージは、中身の牛乳と人の間にあって、両者をつないでくれています。デザインが様々な物事の間をつなぐことで、あたりまえの日常が営まれています。そのあたりまえの日常を、デザインでちょっとゆさぶってみるとどうなるか。毎日が新鮮に感じられるかもしれません。イベント名も「デザインタッチ(DESIGN TOUCH)」から「デザインライブ(DESIGN LIVE)」に進化。この機会に、多くのクリエイターによる素晴らしい作品と、数々の楽しいイベントをご体感いただきたいと思います。」
土田氏コメント:「デザインについて、興味がある人も、興味がない人もいます。しかし関係のない人はいません。生活のすみずみにデザインは行き渡っているからです。今年から始まる「デザインライブ」は、そんな視点でデザインを捉え、そのポテンシャルを考え、さまざまに体験化していきます。また一連のイベントの核になるエキシビションでは、これからの日常について想像を刺激し、価値観を新たにするような作品をキュレーションしました。」
会期:2025年10月10日(金)~11月5日(水)
会場:東京ミッドタウン各所
営業時間:上記または東京ミッドタウン ウェブサイトを参照
主催:東京ミッドタウン
東京ミッドタウン ウェブサイト「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025」案内ページ
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designlive/