東海市が横須賀町で進めている、東海市立文化センターの建て替えを中心とした整備計画について、5月9日に記者発表が行われ、新施設の設計を担当する建築家の隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所主宰)と、東海市長が出席し、概要が改めて発表されました。
新施設の建築基本・実施設計業務の委託契約を、隈研吾建築都市設計事務所と正式に締結したことに伴うもので、新施設整備基本計画については、今年1月に東海市が発表し、明らかになっています。
東海市が公表している資料によれば、建設地がある横須賀地区は、1666年(寛文6)に、尾張藩二代藩主の徳川光友が「横須賀御殿」を造営して以降、城下町の扱いを受けて繁栄し、江戸時代の町割りや祭の文化などが今日まで受け継がれています。
同町独自の地域性を前提に、東海市では、新たなまちづくり構想を策定。拠点形成のための事業として、1980年(昭和55)に開館した市立文化センターを解体し、新たな文化施設の建設を決定しました。
横須賀文化の発信拠点として、映像(映画)を中心とした創造活動や、多世代交流の場となることを目指して計画され、映像ホールやギャラリー、会議室、レストラン、カフェなどを付帯した、人々の回遊性を生み出す施設となることを目指しています。
映画鑑賞だけでなく、映像(映画)の制作が可能な設備を有する施設を整備することで、ひとづくり、地域の魅力の再発見、住民の地域に対する誇りの高揚、創造活動の発展、地域への来訪者の増大などを目指しているとのこと。
隈研吾による、(仮称)創造活動・歴史文化交流施設のデザインは、地元・愛宕神社の秋の例祭「尾張横須賀まつり」に登場する山車(だし)や、山車蔵を含めた町並みとの調和や、名鉄沿線からの見え方など、景観に配慮した外観となるようデザインされ、建築材も木材が基調となっています。
同町の古い木造家屋に見られる曲線屋根と木格子をデザインに採用し、横須賀御殿をイメージした大小さまざまな屋根の連続で建物を構成することで、受け継がれてきた文化を継承、未来へとつなげます。
また、ユニバーサルデザインの観点から、バリアフリー法はもちろん、愛知県人にやさしい街づくりの推進に関する条例の規定を満たすことも前提となっています。
2回建ての建物は2棟に分かれ、間に「メインストリート」を通して、人々が自由に通り抜けできるようになります。
1階には大階段を、2階にはテラスを設け、人々が集いやすい屋外空間も整備されます。
付帯設備の1つ、ギャラリーは、この「メインストリート」に面して配置されます。山車蔵の大開口のような、ガラスの大開口がデザインされ、エントランスおよび屋外広場との一体感を持たせています。
例祭の場面など、さまざまな用途に対応した、まちの広場のような ギャラリーが整備されます。
新施設の名称は現時点では未定(仮称:創造活動・歴史文化交流施設)。供用開始は、2025年(令和7)の年度内を予定しています。
建設予定地:愛知県東海市横須賀町狐塚地内(文化センター跡地)
付帯設備:ホール、展示機能(映像ホール、ギャラリーなど)、交流促進機能(歴史文化・情報発信コーナーなど)、レストラン・カフェ、活動支援機能(会議室、編集エリアなど)、管理機能(管理事務室など)
敷地面積:3,395.55m²
延床面積:約2,500m²
階数:地上2階建て
用途地域:商業地域(防火地域)
建蔽率:80%
容積率:400%
設計:隈研吾建築都市設計事務所
施工:2022年度内に選定
スケジュール(予定)
2022年(令和4)年度内:基本設計・実施設計、地質調査など
2023年(令和5)年度内:実施設計、建設工事開始等
2024年(令和6)年度内:建設工事完了
2025年(令和7)年度内:開館
※新施設イメージを含め、上記の計画は2022年5月9日発表時のもの(今後、変更となる場合あり)
東海市発表
「市長だより」(2022年5月10日)
http://www.city.tokai.aichi.jp/item/49552.htm
市政情報(2022年5月9日記者会見資料)
(仮称)創造活動・歴史文化交流施設設計業務の委託契約の締結について
http://www.city.tokai.aichi.jp/22359.htm