介護食、災害食、肥満対応、食品ロス、代替タンパク源など、3Dフードプリンタによって可能になるであろう、未来を予想するアカデミックなSFフードテック本が、グラフィック社より刊行されました。
本書では、食の未来を「かたちが変わる」「原材料が変わる」「時空間が変わる」「食生活が変わる」と4ステージに分け、全24の食シーンを提言しています。本物さながらに作られた「江戸文様の培養肉」、「時空そば」、「古生物のミックスグリル」など、私たちが見慣れた「食のかたち」とは明らかに違う、近未来の食品サンプルも見どころの1つ。3Dフードプリンタで出力されることが当たり前になるであろう2055年には、これらが現実(リアル)になるとして本書では展開されます。
フードテック分野で注目を集め、その社会実装がリアルになってきた「3Dフードプリンタ」。3Dフードプリンタでどのような料理が作られ、どのように世の中が変わっていくのか、その可能性をいち早く示した1冊です。
目次
はじめに 十分に発達した技術は、魔法と見分けがつかない
序章 3Dフードプリンターによる破壊的イノベーション
1章 斬新なかたちをデザインすることができる(物語チョコバナナ / 食べる建築 / 浮かぶラーメン)
2章 時間によって変形することができる(メタモルフォーゼ・パスタ / 形状記憶シリアル / ふるえる納豆)
3章 食品ロスを削減することができる(ほたて殻バーガー / 1,000種の野菜サラダ / コンポストから完全食)
4章 新奇食材の利用を促進することができる(江戸文様の培養肉 / 昆虫アソートクッキー / 屋形船でプランクトン料理)
5章 時間や場所の制限をなくすことができる(時空そば / 拡張する果物狩り / ポケットフード)
6章 データやAIを活用することができる(古生物のミックスグリル / レジェンドモードの機内食 / あなたの「My御前」)
7章 個人に最適化することができる(登山遠足のアイス / “手作り!”の料理 / お弁当メンター)
8章 楽しみを増強することができる(回転パズルコーン / ブロックのカレーキット / おいしい手書き文字)
おわりに なぜ『Cook to the Future』なのか
著者プロフィール
石川伸一(いしかわ しんいち)
東北大学大学院農学研究科修了。北里大学講師、カナダ・ゲルフ大学食品科学部客員研究員などを経て、現在、宮城大学食産業学群教授(www.ishikawalab.com)。専門は、食品学、調理学、栄養学。関心は、食の「アート×サイエンス×デザイン×テクノロジー。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、『「食べること」の進化史』(光文社)などがある。石川繭子(いしかわ まゆこ)
北里大学大学院獣医畜産学研究科修了。イラストレーター・ライター。食や科学に関するイラスト制作・執筆を行っている。「ひとさじのかがく舎」(www.1tspscience.com)にて、石川伸一と食についての書籍作製などに取り組む。共著に『かがくを料理する』、『分子調理の日本食』(共にオライリー・ジャパン)、『絵巻でひろがる食品学』(化学同人)がある。
著・監修:石川伸一
著:石川繭子
判型:A5
仕様:並製
総頁数:212ページ
ISBN:978-4-7661-3698-2
定価(税込):2,640円
刊行:2024年3月
版元:グラフィック社
詳細
https://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=54174
※本稿では「プリンター」を「プリンタ」と表記する