2022年9月24日初掲、10月9日アーカイブ動画シェア
東京・新宿にある、小田急百貨店新宿店が、今年10月2日をもって、本館での営業を終了します[*1]。
小田急電鉄と東京地下鉄、東急不動産が事業主となって進められている「新宿駅西口地区開発計画」[*2]の進捗に伴うもので、建築家の坂倉準三(1901-1969)と坂倉建築研究所が設計したことで知られる〈新宿駅西口ビル・小田急百貨店本館〉は、店舗(本館)の営業終了後に解体されることが決定しています。
小田急百貨店新宿店(本館)は、デパート単独で建設されたものではなく、新宿西口広場の建設に合わせて計画され、地下の広場全体の設計にも坂倉が参画しています(坂倉建築研究所ウェブサイトほか関連書籍より引用)。
上の画像からもわかるように、同ビルは、新宿駅および鉄道の軌道上を立体的に活用した画期的な商業建築でした。小田急百貨店新宿店(現本館)の開業は1967年11月23日。アルミのプレス成型パネルを外装に使用した14階建ての百貨店は、当時は威風堂々の”高層ビル”だったことでしょう(日本初の超高層ビルとして名高い〈霞が関ビルディング〉はこの翌年・1968年の竣工、36階建て・高さ147メートル)。
日本の高度経済成長期に建設された、モダニズム時代の名建築が、また1つ姿を消します。小田急の発表では、「新宿駅西口地区開発計画」の工事着工は年内。ビル解体後の跡地には、地上28階、高さ約260メートルの超高層の複合ビルが建設される予定です(竣工予定:2029年素)。
建物が解体される前に、坂倉が設計した名建築にスポットをあてた講演会(ウェビナー)が、10月2日に開催されます(主催:近代建築と市民の会)。
講師は、建築史家の松隈 洋氏(京都工芸繊維大学教授)。松隈氏は、昨年9月から今年2月にかけて、東京・日本橋の髙島屋史料館TOKYOにて開催された、百貨店の髙島屋との数々の仕事にスポットをあてた企画展「建築家・坂倉準三と髙島屋の戦後復興」の監修を担当し、関連書籍『建築家・坂倉準三と髙島屋の戦後復興-「輝く都市」をめざして―』を青幻舎より著しています。
小田急百貨店新宿店本館の解体を惜しむ本ウェビナー「坂倉準三が目指した『輝く都市』新宿駅西口広場、小田急百貨店本館」は、聴講無料。専用フォームからの申し込みが必要です。
開催日時:2022年10月2日(日)13:00-14:30 ※終了
講師:松隈 洋(建築史家、京都工芸繊維大学教授)
会場:オンライン
配信方式:Zoom
定員:500名
参加費:無料
※Zoom視聴URLは、9月30日にメールにて申込者に通知予定
主催:近代建築と市民の会
参加申込みフォーム(受付終了)
https://forms.gle/CpvKYDEfdRuHGT3p8
*1.同百貨店新宿店は新宿西口ハルクにて営業を継続、10月4日にリニューアルオープン予定(詳細 / 小田急百貨店プレスリリース)
*2.新宿駅西口地区開発計画の計画概要は、2020年9月9日に発表されている(『TECTURE MAG』同日ニュースを参照)
上記・10月2日(日)に開催された講演会「坂倉準三が目指した『輝く都市』新宿駅西口広場と小田急百貨店本館」の模様が、YouTubeで公開されました(再生時間:約1時間10分、質疑応答は別編集で公開中)。
#都市・まち・建築・景観 YouTubeチャンネル 松隈洋氏オンライン講演会「坂倉準三が目指した『輝く都市』新宿駅西口広場と小田急百貨店本館」