東京都庭園美術館にて、旧朝香宮邸を紹介する特別展示とテーマ展示の2つの展示が新たに始まりました。会場は、美術館の正門横のスペースにて。どちらの展示も入場無料。
前者では、東京都庭園美術館の前身である、朝香宮邸が竣工した当時の建物と室内の写真や設計図面、新館改修後の建築模型を展示。後者は「ランドスケープをつくる」をテーマに掲げ、建築家の石上純也氏が率いる石上純也建築設計事務所が現在進めているプロジェクト・徳島文化芸術ホール(仮称)に関する資料の展示で、プロポーザル実施当時に同事務所が制作した全体模型(縮尺:1/300)や、断面模型(縮尺:1/100)や関連する映像資料、図面などが公開されています。
特別展・テーマ展示ともに、今年7月1日付けで同館の新館長に就任した、建築家の妹島和世氏(横浜国立大学名誉教授)が企画から関わっています。
特別展示・テーマ展示 開催趣旨
21世紀は環境の時代と言われる。建築や美術館が果たすべき役割は大きい。とりわけ庭園美術館は、建築と庭園の一体性と調和性を大きな課題とした美術館である。展示作品はランドスケープをテーマとした作品にスポットをあててゆくのがより相応しく、展示形式も、密室展示というよりは、内外に関わるかたちで行われるのがより好ましい。鑑賞者はそのような展示を体験することによって、従来の箱型建築における展示を超えた空間を知り、新世紀の課題と傾向を感じるであろう。環境と人工の調和を説く展示は、新世紀の時代に相応しい庭園美術館のアイデンティティを人々に伝えることにもなるであろう。
東京都庭園美術館は、建築と複数の庭からなる特別な美術館である。今回の企画は建築と庭両方を含むテーマを持ち、また、より多様な人々が本美術館に訪れるきっかけとなるようなものにしたいと考えた。
第1回テーマ展示 概要
内容:「(仮称)徳島文化芸術ホール」/ 石上純也建築設計事務所 設計作品
選定理由:同プロジェクトは、2021年の公共プロポーザルで選ばれた建築の中で、特に突出した提案であった。石上純也建築設計事務所による提案は、ホール建築を箱ではなくランドスケープをつくることを意識した建築で、建築全体が立体公園のようなホールになっており、今回のテーマ展示として選定した。第2回テーマ展示 概要
内容:横浜国立大学大学院 Y-GSA の学生による「スカイハウスの研究」
選定理由:日本建築史の名作と言われる〈スカイハウス〉は1958年に建てられた、建築家の菊竹清訓氏(1928-2011)の自邸である。武蔵野台地の端の段状の敷地の上に浮かび上がるようにつくられたこの建築は、竣工から60年以上が経ち、周囲が過密した住宅地に変貌した現在でも、この街のランドスケープを感じられる建ち方をしている。
この建築を縮尺1/10で巨大模型を制作し、空間的なアプローチから研究を行っている横浜国立大学大学院 Y-GSAの学生たちの研究を、テーマ展示の第2回として選定した。12月6日(火)からの開始を予定している
東京都庭園美術館 特別展示
旧朝香宮邸 関連資料展示
会期(予定):2022年10月28日(金)~2023年1月末
東京都庭園美術館 テーマ展示「ランドスケープをつくる」
第1回:「(仮称)徳島文化芸術ホール」石上純也建築設計事務所設計作品
会期:2022年10月28日(金)~12月4日(日)
会場(共通):東京都庭園美術館 正門横スペース
所在地:東京都港区白金台5丁目21-9(Google Map)
休館日:月曜
入場料:無料(予約不要)
※今後の感染症拡大状況などにより、当初の予定が変更される場合あり
※本館および新館と庭園への入館は、別途料金が必要
東京都庭園美術館ニュース「特別展示及びテーマ展示の開催のお知らせ」(2022年10月25日)
https://www.teien-art-museum.ne.jp/news/22597/
東京都庭園美術館 公式ウェブサイト
https://www.teien-art-museum.ne.jp/
※本稿の画像撮影・提供:東京都庭園美術館