工学院大学(東京都新宿区 / 八王子市)建築学部建築学科の田村雅紀教授と、高橋カーテンウォール工業株式会社(東京都中央区)は、ホタテ殻廃棄物が有する、大気中の二酸化炭素を固定蓄積する性質に着目した、プレキャストコンクリート部材向けのコンクリート調合を共同で開発したことを発表しました(工学院大学 2022年11月29日プレスリリース)。
発表によれば、ホタテは海水中のCO2を吸収して成長し、貝殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)とのこと。貝殻の質量のうち、約44%はCO2を内部に固定蓄積できるため、廃棄せず、プレキャストコンクリートの製造に再利用することで、ホタテが殻に蓄積したCO2をそのままコンクリート内部に固定し続けることができるとしています。
これまで、ホタテ殻廃棄物は、建築用途での活用が期待されてきましたが、粉砕物が不均一であることなどにより、十分な使用ができず、土木用途でのリサイクルに限られていました。
この課題に対し、田村教授は、水や水硬性物質粉末を含む配合物と貝殻を一定の割合で練りこむことで、カーテンウォール製品としての性能を満たすコンクリート組成物を開発することに成功しました。
開発されたコンクリート部材を用いた場合、製造過程における試算では、従前の調合に比べて約3割程度のCO2削減が可能とのこと。カーボンニュートラル実現のほか、SDGs14番のゴールである「海の豊かさを守ろう」への貢献も期待できるとのこと。
今後は、これまでのリサイクル運用とは異なる、コンクリート製品への転用と製造、プレキャストコンクリートカーテンウォールへの実用化など実用化を目指します。
研究名:炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いたPCaコンクリート部材の開発
研究実施機関:高橋カーテンウォール工業、工学院大学
特許情報:
名称:セメント組成物
出願者:学校法人工学院大学、高橋カーテンウォール工業株式会社
発明者:田村雅紀、佐々木哲也、斉藤敬志
出願番号:特願2022-024231
高橋カーテンウォール工業
https://t-cw.co.jp/feature/cn/
工学院大学発表(2022年11月29日)
https://www.kogakuin.ac.jp/news/2022/112991.html